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財政破綻時の資産保全 外資系銀行活用の注意点

2015/08/20

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もし財政破綻があったとき!資産保全は可能なのか?

お客様から「日本が財政破綻した時、資産保全のために外資系銀行を利用出来ないか」というお問い合わせを多くいただきます。
今年6月にあった、ギリシャの財政破綻懸念のニュースを見て、日本の将来に不安を感じた方も多いのではないでしょうか。日本が将来的に財政破綻する可能性について、詳しくは別の機会に言及することにします。
「破綻する」と主張する方の意見の多くは、とても筋が通っていると思います。

しかし、実際には10年以上前から書店でよく見る「20××年日本破綻」といった予測は今のところ全部外れています。
それに対して、財政破綻否定派の意見の多くは「日本独特の要因によって、ギリシャのような財政破綻には発展しない」というものです。しかしその意見もちょっとした財政見通しの変化や外部(海外)要因の変化があれば、修正を求められる結果になると思います。

では今回の本題に戻ります。仮に〝将来、日本が先日のギリシャのように一日の預金引き出しの上限出来て(ギリシャは1日60ユーロでした)、銀行が再開しなければ明日の支払いも出来ない。
でも銀行が再開したら、朝から取り付け騒ぎが起きて、金融機関は現金が枯渇して倒産してしまう”、という状況が来たとして、その時に外資系銀行が役に立つかというと・・・、
私は外資系銀行が役に立つ可能性は高いと思います。しかし同時にいくつも注意点があると思います。
私の考える外資系銀行を活用する際の注意点をご案内いたします。
結論は、口座を「作るのは簡単だが、維持するのが難しい」ということです。

外資系金融機関の活用時の6つの注意点

①外資系銀行(リテール部門)は近年日本からの事業撤退が相次いでいる
HSBC・シティバンク・スタンダートチャーターなど世界の大手銀行が、近年日本国内の個人向けビジネスから撤退しております(法人向けビジネスは継続)。
撤退が相次ぐ最大の理由は、「金融機関に対する規制強化」のためです。
巨大金融機関の放漫経営によりリーマンショックが発生しました。その際に、規律の無い経営をしていた大手民間企業が「大きすぎて潰せない」ために国民の税金を投入してでも危機を収めないといけない、という事態が起こりました。
このようなことを未然に防止するために、巨大な金融機関ほど多くの現金を手元に置いておかなくてはならない、という規制が生まれました。

本来、余裕資金があればその資金を効率的に使って事業を大きくするのが普通ですが、事業をどんどん大きくしていってリーマンショックの時と同じことを繰り返さないように(無駄ではあるが敢えて)、手元に資金を余らせて余裕のある経営をさせようとしているのです。

ただ、巨大金融機関はこの「手元に置いておかなくてはいけない資金」も巨額です。
そのため、銀行は自分の持つ資産の中でコア(中核)でない事業や、今後の成長が見込めない地域の事業を売却して現金を作っているのです。現在国内でリテール営業を続けている外資系銀行の多くは(悪く言えば)世界規模ではないため厳しい規制は受けていません。
ですから、すぐに事業売却とはならないと思いますが、気にかけておく必要はあるのかもしれません。

②外資系といえど在日支店では資産保全が出来ない可能性がある
外資系で本社が海外にあっても、在日支店は日本の金融庁から免許をとって営業をしています。お上には逆らえませんので、日本国内の制限を受けることになります。
万が一、日本がギリシャのような状況になったとき、日系の銀行は営業を停止している中、外資系銀行は窓口で現金を支払ってくれるか、となればその可能性は低いと思います。

③在日支店と現地口座はほぼ別の会社
外資系銀行に勤務している時、「現地に口座があって、そのことでお尋ねしたいのですが…」というお問い合わせが多かったのですが、現地口座に関しては、お役に立てませんでした。
なぜなら、システムが現地と繋がっていないため、海外にお客様の口座があるかどうかすら日本の社員にはわからないからです。「同じ看板掲げているのに・・・」と仰るお客様も多かったのですが、お応え出来ませんでした。つまり別の会社みたいなものです。

例えば「みずほ銀行」と「みずほ証券」は同じ「みずほフィナンシャルグループ」なので、看板は同じですが、みずほ銀行の窓口で、みずほ証券で持っている投資信託について質問しても分からない、という感じです。
「現地からこんな書類が届いたのだが…」というお問い合わせも、日本の社員は見たことない書類なので分からないのです。

④現地に行って本人確認が必要だったり、法人は規制が多い。
国ごとにもちろんルールは違うのですが、現地で口座開設するためには、口座開設の際に現地支店に訪問して本人確認を行う必要があるケースがほとんどです。
個人の場合は、事前に訪問アポをしておいて、旅行の時にふらっと立ち寄る程度で口座開設が可能です。それに対して法人の場合は、現地での法人登記が必要であったり、現地在住の役員が必要となるケースもあります。
国の姿勢によりますが、法人口座を受け入れてくれる企業は少なくなっています(受け入れている金融機関もあります)。世界中でマネーロンダリングや、経済制裁の対象国への資金移動には神経質になっているようです。

⑤届く書類はもちろんすべて英語。トラブルは多い。文化の違いを痛感する。
「通帳」というのは日本独特の便利な文化ですので、外資系銀行ではほとんど見られません。
取引の都度、証書が届きますので、ご自身で管理する必要があります。自己責任の文化です。
もちろん書類は英語で届きますし、重要なお知らせが難しい文章で届きます。

例えばオーストラリアでは3年間入出金などの取引が無い場合、預金が国庫に移されることになります。所定の手続きをすれば返還請求は出来るのですが、全てご自身で交渉いただいて手続きをすることになります。
ですからトラブルになるケースは増えます。金融機関の人とは日本語で話していても難しいし、誤解が生じやすいのに、それが英語で行われるので、どれだけ注意してもトラブルは増えて当然かと思います。

また、相続時の書類や手続きに関しては、相当面倒であることをご認識ください。その他、預金額が一定以下になると月々口座の管理料が発生する銀行は多いです。日本では当たり前と思っている仕組みやサービスが無いということになります。

⑥国外財産調書制度
平成26年から合計5千万超の国外資産を有する場合には毎年国外財産調書を提出することが義務付けられました。
従来から、一定の所得の合計が2千万超の納税者は「財産(国外財産も含む)・債務の明細」の提出義務がありました。今回創設された国外財産調書では、虚偽記載・不提出・提出遅れについて刑事罰があります(平成26年より適用)。

また、調書に適正に記載されなかった国外財産に関連する加算税について優遇(所得税・相続税)や、逆に加重税の規定があります。実務レベルでは適用されたばかりの規定であり、不確定要素が多いです。
現在、ほとんどの国と日本は租税条約を結んでいるため、税務当局同士の情報交換が行われおります。国税庁から発した「要請に基づく情報交換」の要請件数は、22年度646件、23年度1006件、24年度634件(平成25年11月国税庁資料「平成24年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」より)となっており、当局は日本人の海外資産をしっかり把握しようとしているようです。
日本の税務当局は海外資産の情報把握のために
・銀行等による100万円以上の送金
・納税者の取引相手に対する反面調査
・納税者本人に対する調査
など様々な手段を使っています。

また、日本ではマイナンバー制の導入により、更に資産の把握がしやすくなる可能性が高いため注意が必要かもしれません。

現実的な資産保全の方法とは

海外口座は作るのは簡単ですが、その後が面倒なのです。
実際、海外に口座を作ったが、メンテナンスが面倒だったり、海外の行員の対応がいい加減、といった理由で資金を日本に戻されるお客様が多かったのも事実です(現地に言わせると「それが普通です。日本人の対応がまじめすぎるだけです」とのことです)。
資産保全で一番いいのは、「海外に資産を全部持って引っ越して、住みつくこと」だと思いますが、現実的ではないですよね。日本の居住者が出来る資産保全策は、実際には制限が多く、難しい点が多々あります。

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