経済指標 その2 米雇用統計

2015/12/02

米雇用統計とは

米雇用統計とは、米国労働省が毎月発表する、米国の雇用情勢を調べた景気関連の経済指標の事です。
全米の企業や政府機関などに対してサンプリング調査を実施し、失業率や非農業部門就業者数、建設業就業者数などといった10数項目の統計が発表されます。

分かりやすく言うと・・

雇用統計とは、国内のある時点における、労働者数や失業率についての統計値です。
特に米国の雇用統計においては、非農業部門就業者数失業率が最も注目されていますので、ここではこの2つの統計について詳しく書きます。

非農業部門雇用者数とは、非農業部門に属する事業所の給与支払いの帳簿を基に集計されている統計です。
集計対象は、自営業、農業従事者を含まず、対象事業者は約40万社、従業員数約4700万人にと全米の約30%以上を網羅していると言われています。つまり農業以外の産業で働く就業者の内、経営者や自営業者以外の就業者数の増減を示す数値です。米国の雇用情勢を知る上では非常に重要な数値とされており、この統計値の結果によってマーケットが大きく変動することも多くあります。

失業率とは、労働力人口に占める失業者の割合をいいます。国全体の雇用状況を把握する上でチェックされる代表的な経済指標です。
16歳以上の男女が調査対象で、軍隊従事者や労働意志のない者は含まれません。米国では失業率が5%程度であれば、完全雇用の状態と言われています。
これは、失業している人の中には、転職中などで自分の意志で失業している人達もいる為、その人達を除けば、完全雇用状態であると考えられるからです。しかしながら、仕事を探す事を諦めてしまった人などは、失業率の計算対象から外れるため、実際の失業率とは乖離があると考えられます。

米雇用統計の発表時期

米国雇用統計の発表は、毎月第一金曜日に発表になります。
最近の雇用統計の数値の変化を見てみましょう。

主要項目や注目点

11月6日の雇用統計の発表では、非農業部門就業者数が20万を超えるかどうかがポイントとして意識されており、予想は18.1万人でした。結果は27.1万人増と予想を大きく上回る結果になり、これを受けて12月の米国の利上げ見通しが高まり、ドル高円安へとマーケットが動きました。
このように、エコノミストが出す予測に対して大きく乖離する場合、株や為替のマーケットが大きく変動する要因になっています。

雇用の状況は米経済にとって最重要課題と言っても過言ではありません。米国GDPの約7割は個人消費だからです。失業中にたくさん買い物をしたり、ローンで車や家を購入したりする人は多くないでしょう。そのため失業者が多い状況では米経済は急失速してしまいます。

もう一歩 深読み

どうしても失業率や非農業部門就業者数に注目が集まりますが、同時に発表される「週労働時間」や「平均時給」にも注目してみてください。

米国では景気が悪くなり、企業業績が低迷すると従業員をレイオフ(一時解雇)します。その後、景気が良くなり会社の仕事が増加してきても、経営者はすぐに従業員を増やしません。この景気回復が一時的なものなのか、長期に渡る景気拡大局面なのか判断がつかないからです。そのため、まずは残業を多くして、現在いる人員で業務をこなそうとします。つまり週労働時間が増加します。
残業を増やしても仕事がこなせないようになると、経営者はようやく人材を募集するようになります。ほかの企業も従業員を募集するようになると平均時給は上昇し始めます。

米国は失業率が5%で完全雇用と言われており、2015年11月時点でその状態を達成しています。そのため年始から早期利上げ観測が多くありましたが、実際には2015年10月のFOMCの段階では利上げは行われませんでした。FRBが利上げに踏み切れない最大の理由は賃金が上昇していないからでしょう。
失業率は低下するが、賃金の上昇率が鈍い

2000年頃・2007年頃は失業率が5%を下回る状態で、賃金の上昇率は4%程度だったのですが、2015年は賃金の上昇率は2%程度で推移しており、デフレ懸念が払拭出来ない状態が続いています。ですから失業率が低いから利上げと簡単にはいかないのです。

FRBのイエレン議長は労働問題の専門家であり、大学時代は失業のコストと原因を専門としていたため、労働の「質」を重視すると言われています。失業率や就業者数の増加は労働の「量」に関わる部分と言えます。「質」の部分への理解を深める材料として「週労働時間」や「平均時給」に注目してみてはどうでしょうか。

11月27日現在、12月4日発表の米国雇用統計 非農業部門雇用者数変化の予想中央値は20万人増。雇用統計は調査方法の問題から予想が大幅に外れやすい経済指標として有名です。そのためサプライズが発生しやすく、大幅な相場の変動を生み出します。普段であれば予想中央値を上回ればポジティブサプライズとなり、株高・円安方向に相場が動きますが、今回は予想中央値を上回れば12月の米国利上げがほぼ決定的となるため、利上げを嫌気して株安というシナリオも考えられます。利上げ後の相場への影響については次のコラムをご参照ください。12月米利上げが日本株などに与える影響は?

2015年11月28日現在 11月雇用統計 各社事前予想
参考資料 出所 Bloomberg

__________________________________________________________________________________
※経済指標シリーズ記事※
経済指標と相場変動
経済指標 その1 米国GDP
経済指標 その3 FOMC
経済指標 その4 米国中古住宅販売件数が相場に与える影響
__________________________________________________________________________________

>>購入者の7割が不満?なぜあなたの投資信託選びは失敗するのか?

損をする落とし穴をわかりやすく解説 無料 投資信託セミナー

10,000人が参加した投資信託セミナー 受付中

CLOSE