6.人気のリートファンド。小さいマーケットに資金が流入
米国のリート市場を上昇させた要因は米国外の投資家がリートに投資したことも大きいと思われます。
以下の表をご覧ください。日本の人気投信上位10位のうち6銘柄は米国リートの含まれたものです。
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これら6銘柄の純資産総額だけで6兆円を超えており、更に現在も米国リート関連の投資信託は毎月資産流入額の上位を占めています(日本の投資信託経由での米国リートへの資金流入は2016年後半には総額で約10兆円と試算されています)。米国リートの市場規模は2016年5月現在で約1兆ドルです(世界のREITの時価総額は2016年4月末現在 約162兆円と過去最高水準)。あまり大きくない市場に巨額の資金が流入したと言えます。

1兆ドル(2017年5月9日現在 約113兆円)の市場に対して10兆円というのはどの程度の影響なのでしょうか。アベノミクスが本格的に始動した2013年に1年間で外国人投資家は日本株式を約15兆円の買い越しました。当時の日本の株式市場の時価総額は300兆円程度でしたので、時価総額に対して5%程度の資金流入があっただけで日本株式は歴史的な上昇をしました。

そのことから考えると、米国リートの110兆円市場に日本の投資家からだけで10兆円の資金流入があったというのは、非常に大きな影響があったと言えそうです。

ドイチェ・アセット・マネジメントの調べでは2016年1月~4月に海外リートファンドへの資金流入が増えており、購入から解約を差し引いた純流入額が9017億円にのぼり、昨年の同期間よりも27%増加しています。また5月も資金流入は続いており、年間で2兆円を超える可能性もあるとのことです。日本では海外リートへの投資熱が加熱し続けていると考えた方がよさそうです。

しかし一気に巨額の資金流入があった場合には、その後は注意が必要です。ご存じのとおり2015年7月以降、日本株は外国人投資家の大幅な売り越しのため急落をしました。一気に資金が流入した市場は誰もが儲かっているため、相場が反落したら投資家は迷わず一気に売却する傾向があります。
今後リート価格の下落と米ドルの下落から米国リートに投資した投資家の売りが増加することがあれば、リート価格が急落することもあるかもしれません。


7.まとめ

  • リートは利上げの時期に上昇するのではなく、景気拡大期に上昇する。

  • 米国はリーマンショック後の景気拡大期に利上げが出来なかった。金利低下時や景気拡大局面に有利なリートは、リーマン後の7年間、その恩恵を最大限受けられる環境にあったため、大幅に上昇したと考えられる。

  • 米国リートは価格・利回り格差共に他国と比較して割高である可能性が高い。

  • リーマンショック以降の金融緩和により多くの資金が米国リート市場に流入した。日本やヨーロッパからも資金が大量に流入した。

  • 景気循環からは米国の景気はピークに近く、リートも割高水準であると考えるため、今後米国のリートの価格動向についてファイナンシャルスタンダードは弱気の見通しを持っている。


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8.追記 利上げとドル円相場
米国の利上げで米ドルが上昇すると聞いた人は多いのではないでしょうか。本来利上げをしたら、その通貨の魅力が増しますので上昇要因です。しかし2015年12月に利上げが実施されて以来、米ドルは各国通貨に対して大幅に下落しています。

次のチャートは2015年の利上げを含む、米国の過去5回の利上げ開始日前後180日の価格推移です。利上げ当日を100として指数化してあります。
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このように米国の利上げは、利上げが実施されると下落する傾向があるように見えます。これは米国の利上げは、利上げが実施されるずっと以前から市場では織り込まれており、先に安い価格で購入した投資家が利益確定で売っていると考えられます。「噂で買って、事実で売る」ということです。

実際にドルは2014年秋から日本円だけでなく各国通貨に対して大幅に上昇していました。2015年12月に利上げが行われるより1年以上も前から投資家はドルの利上げを見越して先に投資をしていたのです。
「今後~~という理由で値上がりが期待できる」という話を聞いた時には、その材料が既に市場で織り込まれていないかを確認する必要があるのです。
リートの値動きに加えて、米ドルの今後の動きにも注意が必要になるのでしょう。

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