今新聞や雑誌で「Fintech」という言葉が話題となっている。
検索サイトからこのコラムに来ていただいている皆様なら、すでに骨子は把握されているかもしれない。しかし、何度説明を聞いてみても「結局Fintechって何なの?」とピンとこないのが現状ではないだろうか。
この記事では、いまいち実態の掴めないFintechを分解して整理し、みなさまの理解に役立てていただきたいと思う。

Fintechとは
FintechとはFinanceTechnologyを掛けあわせた造語のことである。ITやテクノロジーを用いて、金融業界で新サービスを行うスタートアップ企業(今までにない全く新しいサービスを創造する企業)を主にさす。

「インターネットもテクノロジーじゃないか?じゃあオンライントレード(ネット証券)はFintechなのか?」と思われた方もいるだろう。
その答えは、過去においてイエスであり、現在においてノーである。

日本では昨年辺りから話題になり始めたFintechだが、米国では2000年頃からその種は芽吹きつつあった。
例えば決済サービスを提供する「Paypal」という企業もかつてはFintechであった。90年代の米国でネットオークションなどが盛んになるなかで、1998年に決済サービスをはじめた会社である。
テクノロジーを使って金融業を営むPaypalはFintechの先駆けとして、人々に驚きをもって迎えられ、その後既存の金融サービスを「より便利に、手助け」する様な形で様々なサービスが提供され始めた。

だが、現代のFintechはその姿を変えつつあり、「古臭い金融業から仕事を奪い、『Disrupt(崩壊させる)』サービス」だと言われている。
例えば、みなさまも「なんで送金にいちいち銀行に行って用紙をかかなくてはいけないのか。そもそも銀行を通す必要があるのか」などと思ったことはないだろうか。実は海外では個人間の送金サービスはスタートアップ企業によって行えるようになっており、個人間のクレジットカード決済までできるようになっている。

実のところ、現在日本人がイメージするFintechと海外のFintechの実情が異なっているためイメージしづらいのである。
Fintechは、
 ①金融業が成熟する
 ②金融機関がITを活用したサービスを行う
 ③IT企業が金融サービスを行う
 ④Fintech自体を目的とした様々なスタートアップが生まれる

と4段階で成熟していくと言われる。

オンライントレードは第②段階であるため、過去の段階ではFintechといえ、現在では当てはまらない。また、日本人がイメージしてのは実は①~③までである。
米国等ではすでにFintechとは「産業」であり、それ自体を目的として企業が作られる時代となっているのである。
既存のIT企業(例えば楽天やリクルート)が金融サービスを行うのではなく、金融機関から仕事を奪うことを目的に、新しいスタートアップが立ち上がることこそが現在のFintechなのである。

なぜアメリカで昔からある産業が日本に入ってこなかったのか?という答えの一つがここにある。
スタートアップが米国内で「成熟」し、展開先を家計貯蓄率の高い日本にも求めてきたので、話題となってきた。(もちろん、スマートフォンの普及によるモバイル端末の発展等も大きな要因ではある)。

では日本人の我々は何を利用したら良いのか、何がいいのかを考える前に、もう少々Fintechの整理に付き合っていただきたい。

Fintechの分類
とはいえ、Fintechは未成熟な産業であり、「何をしたからFintech」という定義がないのも確かである。
ここでは、ボトムアップ的に定義されるFintechのジャンルを整理したいと思う。

Fintechの主な領域は、以下のように分類されると言われている。
1.融資(Lending)…銀行を通さずに金銭の貸し借りを個人、法人間で行う「ソーシャルレンディング」を指すことが多い。

2.個人資産管理(Personal Finance Management)…自動家計簿アプリ。保有する金融機関の口座を一覧表示にしたり(アカウントアグリゲーション)、レシートを撮影するだけで家計簿に記帳することができるようなサービスを指す。

3.決済(Payments)…個人間でのカードのやり取りを可能にしたり、海外との決済をスムーズに行うサービス。

4.個人投資(Retail Investments)…アルゴリズムによる自動投資(ロボアドバイザー)や手数料無料の株取引など、個人の投資を支援するサービス。

5.仮想通貨(Crypt Currency)…ビットコインを中心に、仮想通貨の銀行や決済を行うサービス。現在はここから派生し、仮想通貨内のブロックチェーン(取引管理システム)が決済や送金分野に応用されようとしている。

6.機関投資(Institutional Investments)…個人投資の対義語、というわけではなく、スタートアップへの支援等を含めて機関投資家達が交流するためのプラットフォームを提供するサービスを主に指す。

7.株式資金調達(Equity Finance)…株式公開など今まで証券会社に頼らなければならなかった部分にメスを入れるサービス。

8.送金(Remittances)…地域や通貨によらず、個人や法人間の送金を支援するサービス。お金のやり取りに銀行を介在させない方式を提供する。

9.個人のための銀行(Consumer Banking)…今ある銀行の一次請け窓口を提供し、無料の引き下ろしやポイント制度を提供するサービス。

10.金融の調査(Financial Research)…金融のニュースを提供するだけでなく、個人にパーソナルな情報の提供をBtoB、BtoCで提供する。

11.銀行インフラ(Banking Infrastructure)…金融業のバックオフィスを改革するサービス。オンプレミスでサービス提供の地盤を構築する場合もあれば、クラウドでのサービス提供を行う場合もある。

それぞれの分野に発展余地があり、今後の利用可能性があるのだが、我々が資産運用を行う中で注目すべきは「2.個人資産管理」「4.個人投資」であろう。

例えば日本でも今話題になりつつある「マネーフォワード」は様々な金融機関の残高を一覧で見ることができる口座集約機能(アカウントアグリゲーション)をもち、「2.個人資産管理」ジャンルにおけるFintech企業と言われている。

また、日本でもアルゴリズムによる自動投資を行うロボアドバイザーや、格安の手数料、管理しやすいユーザーインターフェースを武器に、「4.個人投資」ジャンルにおけるFintech企業が出てきている。

次回は、2.個人資産管理と4.個人投資のもう少し詳しい紹介と利用上の注意点を見ていきたい。
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金融・資産運用への影響シリーズ
シリーズ②
シリーズ③
シリーズ④
シリーズ⑤
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