教えて投信先生!! 新興国株式で損する理由

2019/04/02

投信先生:
その通り。以下に(図表4)を再度載せたけど(ドル建てのインド株式、米国株式のリターン比較)、もう一度よく見てほしい。

インド株式のリターンが顕著に米国株式を上回った時期(2000年代の前半頃)があるけど、当時のインド株式のPERは対米国でも低く、あまり投資家の期待値が高くなかった可能性があるね。

ただ実際のインド株式の利益成長は対米国でも大きく伸びる結果になっており(図表7)、2000年代前半のインド株式は高い利益成長が投資家の事前期待値が低い状況下で実現した可能性があるね(理想的な環境)。この二つが重なったことが同期間のインド株式の大幅な上昇につながった可能性を示唆している。

逆に言えば、仮に同期間のインド株式のPERが非常に高かった場合、高い利益成長が実現しても株価はそこまで上昇しなかった可能性がある。高い利益成長が高い株式リターンに必ずしもならないケースがあるのは、投資家の事前期待値(PER)が大きく影響している場合があるよ。

横田くん:
なるほど・・株式リターン=経済成長と単純に考えていましたが、それ以外の様々な要素が株式リターンに大きな影響を与えていることが分かってきた気がします! だけどリスク面に関する知識がついてくると、投資が楽しくなりそうですね! 考えることは増えそうですが・・

投信先生:
リスク面に関する正しい知識がないと、大きな下落に直面した時に怖くなって売ってしまうでしょう? でもそればかり繰り返していると、投資ではなかなか成功できないよ。逆に正しい知識があれば、新たな情報を正しく咀嚼できる可能性も上がるし、何よりも投資自体が楽しくなる。投資は単なる博打ではなく、少し知的なゲームである、といった感覚も大切だと思うよ。

(再掲 図表4)

<ここまでのまとめ~>
・新興国株式の現地通貨建てリターンが堅調でも、通貨安がそれを相殺してしまう場合がある
・経済成長率の高い新興国ではインフレ率が高い場合が多く、通貨安の主因になるケースが多い
・新興国株式の当期利益は順調に成長していても、増資/IPO等でEPSがそれほど伸びていないケースがある
・新興国株式に対する投資家の期待(PER)が過大であった場合、その後のリターン低迷に繋がることがある

<全体のまとめ>

以上見てきた通り、新興国株式にとって高い経済成長率はポジティブな要因ですが、それを阻害するようなその他の要因次第では株式リターンが思ったほど高くならないケースがあります。現地通貨建ての株式リターンが高い場合でも、高いインフレ率に伴う通貨安がそれを相殺してしまうことがあります。

また利益成長が高い場合でも、企業の資金調達(増資/IPOの増加)が大きければ、当期利益は成長していてもEPS(一株当たり利益)がそれほど伸びないケースも出てきます。また利益成長率が高い場合でも、投資家の事前の期待値が高過ぎた場合には(割高なPER)、その後の株式リターンはそれほど高くならないケースも出てきます。

本稿の冒頭で述べた通り、ある国の経済成長率と株式リターンが必ずしもリンクしないのは、株式リターンに影響を及ぼす要素が経済成長率だけではないからです。
したがって、新興国株式に投資する際には、経済成長率以外の様々な要素にも十分配慮する必要があります。今回はあまり触れませんでしたが、新興国の政治体制などは先進国ほど確立していないケースもあります。

例えば、高いインフレ率に悩む新興国の中には、企業に自由に製品値上げを許さないといったケースも起こり得ます。新興国では低所得者層が人口の多くを占めているケースが珍しくなく、食品メーカー等の製品値上げは彼らの生活を直撃してしまうからです。経済成長の果実が株主に落ちる保証はない、という事例を紹介致しましたが、このように政治が株主の利益を強制的に消費者に還元させることも起こり得るのです。

新興国株式は高い成長を実現させるポテンシャルを持っており、それを否定する人は少ないと思います。したがって、それを楽しみにしながら長期的な視点で投資をしてみるのもアリだと思います。そんな時、リスク面に関する知識、視点を同時に併せ持って頂ければと思います。事前にリスク面を把握しておけば、大きな株価変動が起こった場合でも、慌ててしまうリスクが減るかもしれません。

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