教えて投信先生!! グローバル・ロボティクス株式ファンド 今後の見通し・評価
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なぜ投資家は勘違いをするのか??テーマ型投信の問題点
横田くん:
「どういうことですか?先生」
投信先生:
「AI/ロボットに明るい将来性があり、今後急速に成長するのは恐らく事実だと思う。だけどこれらの分野だけで事業展開を行う投資対象(企業)はかなり限られるだろう。
株式市場にはAIを専業とする大企業(もしくはAIが事業の中心)がそれほど多く存在するわけではなく、大半がベンチャー企業のような(未上場の)中小企業、又は本業が他にある大手企業となってくるんだ。
だから、数十億円のファンドならともかく、1000億円単位資金をこうした先端分野に特化した企業だけで運用するのは現実的には難しいだろう。例えば日立製作所やNECもAI関連の技術開発では有名だけど、利益に占めるAI事業の構成比は恐らく微々たるものであり、現時点の本業はAI以外になるね。
そのため投資家がロボット・AIの明るい将来性に惹かれてこのファンドを購入した場合でも、ファンドの実質的なリスクは、AI事業やロボット事業とは別のリスクに集中することになるよね(投資先企業の本業リスク:AI以外)。これはロボットでも同様だね」
横田くん:
「ロボットやAI関連に投資したと思っていたのに、実はそれ以外の分野が本業の会社に投資をしていて、価格が上がったり下がったりする要因はロボットやAI関連の事業以外の方が影響が大きいってことですね」
投信先生:
「そう。だから簡単に言えば投資家は購入した商品のリスクを正しく把握していない」
横田くん:
「それは大問題ですね。将来性のあるロボット関連に投資したと思っていたら、トランプ大統領の一言で貿易戦争が起こったら下落する可能性が高くなる…投資家は貿易戦争がロボティクス株式ファンドの価格変動と密接な関係があるなんて認識はしていないケースが多いでしょうね…」
投信先生:
「そう。日本で人気のテーマ型ファンドは分かりやすいコンセプトで、投資家にイメージしやすい明るい未来を描いているケースがほとんどだ。分かりやすいことは良いことだけど、単純化しすぎていて本当のリスクを投資家が勘違いしてしまいやすいとも言えるね」
横田くん:
「なるほど…」
投信先生:
「ロボティクス株式ファンドには将来性はあるだろう。ただ足元のリスクを正確に認識する必要があるんだ。現在の組入れ銘柄は『鉄腕アトム』みたいな画期的な商品を作っている企業というわけではなく、設備投資関連を本業とする資本財セクターに投資をしている。それは世界の景気動向に左右されやすく、価格変動は比較的大きい投資対象だ。
保有してもいい投資家は
・今後も世界的に景気拡大局面が続くと考える投資家
・将来的にロボティクス関連ファンドは様々な業種に拡大して発展すると考える投資家(かつ、足元の下落は仕方ないと割り切れる投資家)
売却した方がいい投資家は
・現在世界の景気は過熱していると考える投資家
・価格変動の大きな投資対象への投資は控えたい投資家
・世界の景気動向なんて分からない投資家
横田くんもしっかりとリスクの根源を把握して、お客様に正確にお伝えしてください」
横田くん:
「分かりました。今日はありがとうございました!!」
≪参考資料≫
【資本財セクターのPER推移】
*PER格差とは資本財セクターとS&P500連動ETFのPER水準を比較したもの
(1を超えれば資本財セクターのPERが対S&P500連動ETFで高いことを示す)
*例外もあるが、景気先行指数が上向く局面で資本財セクターのPERが割高になる傾向
(資本財セクター株価と景気の連動性が高い)
(Bloombergデータよりファイナンシャルスタンダード作成)
【生産と設備投資の動向:米国の例】
*1990年1月~2018年7月の月次データを利用
*生産の変動も大きいが、それ以上に設備投資は大きく変動する傾向
*生産の変動リスク14%に対して設備受注は同32%(月次データの年率換算標準偏差)
(参考:株式の変動リスクは15-20%程度)
*製造業新規受注(除く国防/航空)は設備投資の先行指標として活用される指標
(Federal Reserve Bank of St. Louisデータよりファイナンシャルスタンダード作成)
【米国鉱工業生産と設備受注の状況:水準】
(Federal Reserve Bank of St. Louisデータよりファイナンシャルスタンダード作成)
【世界の鉱工業生産の動向】
*米国は堅調に推移中
*2018年以降、欧州、日本の伸び率が急速に縮小する傾向
*中国は目立った動きが少ない
(2015年中国ショック以降、2桁成長から5%強の伸び率へ低下)
(Federal Reserve Bank of St. Louisデータよりファイナンシャルスタンダード作成)
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