教えて投信先生!! グローバル・ロボティクス株式ファンド 今後の見通し・評価
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ロボティクス株式ファンドの成長の可能性を考える
投信先生:
「いや、そうでもないんだよ。さっき『産業用ロボットは自動車や半導体業界に偏っている』っていったよね。
だから今後、医療・介護・自動運転などの新たなビジネスシーンでロボットが活用されるようになるとしたら、巨大なマーケットを新たに切り開くことになるね」
横田くん:
「確かに!今まで使ってなかった分野が一斉に使い出したらとんでもない経済効果になりますね!」
投信先生:
「AIも同様の評価ができるよね。AIを様々な分野で活用する動きが進んでいるのはみんな分かっている。だから、まずはその下準備としてあらゆる分野におけるデータ収集が盛んになっているね(ビッグデータ分析)。
データ収集を効率的に行うには、あらゆる活動をセンシング(検知)しなければならない。
例えば車の運転情報、携帯電話の通話や位置情報、インターネットの検索情報、カード決済情報、ネットでの購買情報、SNS等で発信される個人情報、等様々な分野に及ぶんだ」
横田くん:
「確かにそうですね。たくさんのデータを集めないと効果が薄いですもんね」
投信先生:
「そうなんだ。そして、データ収集を行うためには、あらゆる電子機器、家電製品、自動車等に半導体やセンサーを搭載し、情報収集や情報処理を行う必要性が高まってくるね。その過程では半導体/センサーを利用しなくてはならない場面が一気に拡大する可能性はあるということだね」
横田くん:
「ふむふむ…」
投信先生:
「現状の半導体の主たる用途はPC・スマホ用にかなり偏っている。だから今後は家電製品、自動車等に飛躍的に広がる兆しがあるんだ。ソフトバンクは半導体設計メーカーの英アーム社を3兆円で買収したけど、これは今後の半導体利用シーンの拡大を想定してのことだろうね」
横田くん:
「なるほど!仮にこのようなストーリーが実現した場合、それと関連する業界、企業には大きな恩恵が期待できそうですね!ロボティクス株式ファンドは、このような銘柄や産業に集中的に投資を行い、投資成果を狙いにいく金融商品と言えますね。これは人気化するわけだ!」
投信先生:
「そういう可能性は否定できないし、夢があっていいよね」
横田くん:
「よし!そうと決まればお客様に提案してみよう!」
投信先生:
「横田くん、将来性に賭けることを全面的に否定はしないけど、将来性と今の状況は分けてお客様にお伝えしないとダメだよ」
横田くん:
「どういうことですか??」
投信先生:
「さっきから言っている通り、これらの企業の「現状の姿」は世界の自動車、エレクトロニクスの需要動向、又は自動車メーカー、半導体メーカーの設備投資動向に大きく依存している事実を忘れてはいけないよ。
将来の明るい成長ストーリーは3-5年程度の時間軸で徐々に始まる「可能性の話」だよね。けど1-2年程度の時間軸では「足元の現実」の方がはるかに重要だろう。
そして「足元の現実」とは、世界の生産、設備投資の変動リスクのことなんだ。ロボティクス株式ファンドの実質的なリスクはこうした足元の景気動向を見通すことが前提になっているんだよ」
横田くん:
「なんだか難しいですね。もっとわかりやすく、『これまで使われていなかった分野にロボットが使われるようになる可能性があるから大きく値上がりするかもしれない』だけではダメなんですか?」
投信先生:
「その説明ではお客様に誤解を与えてしまう可能性があるよ。だって仮に今年リーマンショックのようなことがまた起こったら、資本財セクターの株式は―50%程度の下落もありうる。そんな時に今の横田くんの説明を信頼して購入してくださったお客様からは『こんなはずじゃなかった』って言われないかな?」
横田くん:
「それはそうですね…」
投信先生:
「例えば『このファンドは資本財セクターの塊です。足元の景気動向に大きく左右される可能性が高いです。今後大きな相場下落が来たら平均よりも大きく下落をする可能性は高いと思います。
反面、世界的な景気拡大が今後も続くとお考えの場合や、短期的に下落しても5年後の新分野へのロボティクスの普及に期待したいとお考えの場合には、このファンドは平均を上回るリターンをあげる可能性が高いと思います』ってここまで説明して、現状のリスクと将来の成長性を天秤にかけて判断してもらうなら問題ないだろうね」
横田くん:
「そうか。だから世界の景気が拡大すると考えるならこのファンドはずっと持っていた方が良いけど、景気拡大期が終わると考えるなら売却したほうがいいのか。でも、そういう説明になるとお客様としては分かりにくいから投資することを躊躇されそうじゃないですか?」
投信先生:
「そうなんだよ。だから販売する側は投資家の心に響くような「明るく分かり易いテーマ」に基づく商品を作ろうとするんじゃないかな。イメージが良く、分かり易ければ販売が簡単になる可能性が高まるからね」
横田くん:
「確かにそうですね」
投信先生:
「でもその考え方が投資家に誤解を与えるケースを増やす原因になりかねないんだよ」