教えて投信先生!! グローバル・ロボティクス株式ファンド 今後の見通し・評価
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資本財セクターとは??注意点と可能性を考える
横田くん:
「資本財セクターって何ですか?」
投信先生:
「資本財は、簡単に言えば機械・建物・道具などの、何かを作り出す時に使用されるもののことだよ。自動車工場をイメージしてごらん。建物があって、中には機械がたくさんあるだろ?自動車を作り出すために活用される生産手段のことだね。そうした建物や設備を作っている企業が多いから敢えて『資本財セクターファンド』と表現したんだよ」
(※セクター…分野・グループ・関連)
横田くん:
「なるほど、組入れ銘柄を見てみると『重厚長大系(重電・社会インフラ)』、『ロボット・センサー等の工場設備系』、『半導体製造装置系』の銘柄が多いから、たしかに資本財関連というわけですね。やっぱりイメージと違いますね…。
でも先生、資本財セクターってダメなんですか??」
投信先生:
「別に資本財セクターだからダメ、というわけではない。ただ、この分野は世界的な景気動向に業績が影響されやすい『景気敏感株』ということを忘れてはいけないよ」
横田くん:
「どういうことですか??」
投信先生:
「多くの企業にとって設備投資とは、多額の資金を投じた上でそれを長期間にわたって資金回収していくリスクの高い行動だよね。だから判断を間違えれば、企業の存続問題になってしまう。
また多くの場合には外部からの資金調達(銀行借入等)も必要になるため、設備投資は企業のセンチメント(将来への確信度)、金利、為替、銀行の与信態度等、様々な外部環境に大きな影響を受けるんだ。
そのため、経営者が景気は悪くなりそうと思えば、設備投資は直ちに抑制される運命にあるんだよ。設備投資と景気の連動性が極めて高いのは、このような背景があるからなんだ」
横田くん:
「世界的な景気の動向に左右されやすいわけですね…」
投信先生:
「さらに昨今の企業行動はグローバル化していて、例えばトヨタが工場投資を行う場合、どこの国・地域に行うかは重要な問題だよね。実際、トヨタは日本、中国、インド、米国、カナダ、等の様々な地域に投資を行っているんだ。
昨今、米中貿易問題が過熱する傾向にあり、今後は中国、日本からの米国向け輸出が現在ほど自由に行えなくなるリスクも懸念材料だよね。このような政治要因・外交要因などの不透明要因も企業の設備投資意欲を一時的に弱める大きな要因になってしまうんだ」
横田くん:
「なるほど、一民間企業の努力では何とも出来ない問題に振り回されて、業績が大きく変動することがあり得るんですね」
投信先生:
「そうだよ。一般的には、資本財メーカーの株価変動は大きいというのは投資の世界では常識なんだ。資本財メーカーは世界の生産変動や設備投資サイクルから大きな影響を受けるので、ある意味当然だね。したがって、ロボットやAI等に注目するテーマ型ファンドに投資する際には、事業環境による株価変動リスクには十分注意する必要があるんだよ」
≪参考資料≫資本財セクターの株価は変動が大きい。(リターンも大きいが、リスクも高い分野である)
(Bloombergデータよりファイナンシャルスタンダード作成)
横田くん:
「なるほど。ではロボティクス株式ファンドの運用成績が良いのは、ここ数年は世界的に景気が良くて設備投資が活発だからですか?」
投信先生:
「その通り。過去数年の米国の景気(例えば鉱工業生産)は順調な回復を続けており、既存設備の稼働率も改善が続いているね。既存の設備で生産が追い付かないくらい大量の注文が入るようだと、企業は新しい工場を建ててたくさん生産できるように準備するよね。
つまり、ここまでのところ設備投資関連銘柄にとっての外部環境は堅調であったと言えるね。一方、米国を除く地域(日本、欧州、中国)の生産活動が停滞しており、先進国全般の経済先行きを示す『OECD景気先行指数』は総じて軟調な展開となりつつある点には注意が必要だ。2018年以降、設備投資関連銘柄の株価は軟調な展開となっているけど、この辺りが背景にありそうだね」
横田くん:
「そうか、2018年に入ってからはロボティクス株式ファンドは確かに値動きが良くないけど、そうした理由があるんですね。投信先生、OECD景気先行指数って何ですか?その指標と資本財セクターの株式の推移は関係が深いんですか?」
投信先生:
「とても深いかかわりがあるよ。この指標はOECD(経済協力開発機構)が各国の様々な経済指標を基に出している指標で、GDPよりも半年程度早めに変化の出るように設計されているんだ。
http://www.tokaitokyo.co.jp/common_products/bond/foreignbond/global/oecd.html
一般的には100を超えていれば経済は好調、下回れば不調という認識で大丈夫だよ」
横田くん:
「なるほど、じゃあこの指標が好調なときには景気が良くて、資本財セクターは好調。指標が不調なときには景気が悪いから資本財セクターも不調ということですか?」
投信先生:
「あくまでも目安だけど、やっぱりこれまでもOECD景気先行指数と資本財セクターの株価の関連性は高そうだね」
≪参考資料≫OECD景気先行指数と資本財セクター株価の関係性
*一般的には100を超えれば好調を示す
*景気先行指数が上向く局面では資本財セクターが好調となり易い
*18年年初以降の景気先行指数は微妙な位置(下落が止まりつつある?)
(Bloombergデータよりファイナンシャルスタンダード作成)
横田くん:
「じゃあOECD景気先行指数を見ていればロボティクス株式ファンドの上下動が分かるなら簡単に儲かりそうじゃないですか!!」
投信先生:
「そんな簡単なものではないよ。景気動向はニュース一つで随分変わるし、悪くなってきたと言っても一時的なことですぐに回復することも多いからね」
横田くん:
「そうか…そんなうまい話は無いか…でも先生、じゃあロボティクス株式ファンドには今後の成長性がないってことですか??」