規模に着目してインデックス投資を有効な投資戦略に
低コストで人気のインデックス投資。運用の透明性やコストの低さなど評価できるポイントは多いです。しかしコストばかりを気にして投資先を決めて、結局運用成果がマイナスになっていませんか?本稿では人気のインデックス投資に一工夫を加えることで、投資パフォーマンスを向上させることが出来ないかを検討します。注目点としてはインデックスを選ぶ際に「規模」と「ファンダメンタル」いう視点を加えることです。
1.インデックス投資とは
インデックス投資とは市場の動きを表す特定のインデックス 【指数 例)日経平均株価・TOPIX・S&P500など】と連動した値動きを目指す運用のことです。主にETFや投資信託で運用が可能です。
メリットとしては、特定の銘柄のリスクを負わない・ファンドマネージャーが必要ないので低コスト・透明性がある、などの点です。最近は多様なETFやインデックスファンドが販売されています。
(東京証券取引所が算出・公表している株価指数の詳細:
http://www.jpx.co.jp/markets/indices/line-up/)
2.人気のインデックス投資の罠
アベノミクス以降の上昇相場が一段落した現在、マネー雑誌ではインデックス投資がこぞって推奨されています。推奨する理由は様々です。
例えば、「投資のリターンは不確定、しかし手数料は確実に毎年かかるものなので安い方がいい」「金融機関が信託報酬として2%近い手数料を毎年徴収しているが実績は芳しくないものが多い」「長期投資だから国際分散投資を低コストでしていればそれでいい」といった理由です。
どれも正しい意見なのだと思います。しかし、運用の世界において完璧な戦略というものは残念ながら今のところ存在していません。インデックス投資にも様々な欠点が指摘されています。
バートン・マルキールやチャールズ・エリスがインデックス投資を推奨していた時代、経済は右肩上がりでした。現在のゼロ成長の時代とは状況が違うのかもしれません。そんなゼロ成長時代に対応するために、今回はインデックス投資の無駄をなくすための「一工夫」について考えてみたいと思います。
3.人気のインデックスは高値掴み?
インデックス投資が高値掴みなのではないか、という疑問については「アクティブ運用とパッシブ運用、結局どちらが有利なのだろうか?」で検証したのですが、現在インデックス投資にはいくつかの「歪み」があるのではないかと考えています。
例えば日経平均の構成ウェートで1位はファーストリテイリング(9983)で8.17%(2016年9月12日現在)を占めています。そのファーストリテイリングのPERは80.3倍(2016年9月12日現在)となっています。日経平均株価のPERは14.3倍(2016年9月9日現在)であり、ファーストリテイリングのPERは随分高い印象を受けます。
日本銀行が金融緩和策の一環でETFを年間6兆円買い入れており、個別銘柄の割安・割高を度外視して資金を投入したり、マイナス金利を導入して株式市場の配当が比較的魅力的と考えられたり、様々な要因が考えられます。
筆者はファーストリテイリングが大好きですし、素晴らしい企業だと思いますし、別にインデックス投資を批判するわけではありません。インデックスのデメリットも理解したうえで「例えファーストリテイリングのPERが80倍を超えていようと、私が買っているのはPER14倍の日経平均全体だ!」とお考えであれば特に問題ございません。
しかし資産コンサルタントとしてお客様から日経インデックスについて意見を求められるなら、本音を言うと「わざわざこのタイミングで日経インデックスを買うなら他に良いものがあるのではないでしょうか……」と言いたくなるのです。
経験則から考えると、現在は日経平均株価の採用銘柄の中に異常と思われるような価格形成をしている銘柄が散見されます。異常な価格形成がなされている銘柄が多い市場は全体を買うのではなく、銘柄選定が重要になると思います。
もちろんバートン・マルキールやチャールズ・エリスがインデックス投資を推奨していた時代、このような市場の歪みはなかったでしょう。