退職金の運用はどんな方法がおすすめ?注意点も紹介
退職金という大きな資金を前に、「そもそもどうやって受け取るべきか」「どのように運用をしていったらいいか」等のお悩みは尽きないかと思います。
本稿では、退職金運用を失敗しないための注意点やポイントを紹介します。
退職金運用を始める前にやるべきこと
退職金運用を始める前に大事なことは、計画をしっかりと立てたうえで、運用を開始するということです。
通常の投資や資産運用にもいえることですが、退職金運用にも絶対の正解はありません。
人それぞれにセカンドライフを迎える時点での資産状況も違えば、それ以降のキャッシュフローの状況なども異なります。
まずは退職金を加えた現在の資産状況を整理することから始め、住宅ローンなどの返済が残っている人は残額などもしっかり把握しましょう。
その上で、セカンドライフでどのような老後を過ごしたいかなどの希望をまとめ、収入と支出のバランスについて、キャッシュフロー表などを作成することで確認し、資産運用のゴール(目標)を策定することが第一歩となります。
次に目標を達成するための運用計画を策定します。
まずは適正な運用金額を決めることが重要です。
現状の資産の中から、数年以内にキャッシュアウトする資金、生活に必要な資金、ローンなどの残債を除外することから始めます。
住宅ローンなどについては、一概に一括で残債返済をする必要はなく、金利などの借り入れの条件によっては、残債を残したうえで運用を選択するのも方法の一つといえます。
そうして決まった金額を全て運用にまわすのかどうかという部分ですが、これについては無理のない金額を設定することが重要です。
長期間運用していくことが重要で、ご自身にストレスのかかる金額で始めてしまい、途中で解約をしてしまうということになると本末転倒の結果になってしまいます。
ここでようやくどういった商品で運用するのかという段階になります。
商品の選択については、内容はもちろんのこと最も重要になってくるのが、過去にどのような実績(リターン)をあげたのかという点と、どのくらいのリスクが存在するのかという部分をしっかりと把握するということです。
ここでリターンのみに着目してしまうと、市場に大きな下落が起こったりした際に、運用を継続していくことが難しくなってしまうため、リスクの把握は退職金の運用においては非常に需要な要素といえます。
退職金運用に失敗しないための注意点
退職金運用において、最も必要なことは「大きな失敗をする可能性がある運用」は行わないということです。
そもそも退職金は老後のセカンドライフを支えるうえで非常に大切な資産です。
例えばそのような資産全額を株式などで運用をしてしまい、マーケットが下落して資産の大部分を失ってしまっては大変なことになってしまいます。
ではどうすればよいのでしょうか?
まずは、リスクを取れる資金とリスク取れない資金を大別します。
多くの方がリスクの取れない(減らしたくない)資金の比率が大きくなるはずです。
そういった資金については資産を分散して、リスクを抑えるということが言うまでもなく重要になってきます。
ただ、単純に資産を分散しただけでは、十分にリスクが抑えられないという問題もある為、どういった商品を選択して、どういった組み合わせにするのかという部分も十分に検討が必要です。
退職金の運用方法、おすすめはどれ?
ここからは退職金運用におすすめの方法を紹介します。
まずは前項で触れたとおり、極力リスクを抑えた安定的な運用方法を選択するのが良いかと思います。
ご自身の状況も踏まえて設定した運用目標から逆算して、目標リターンを設定し、そのリターンを得るために、極力リスクを抑える運用手法を検討することからはじめましょう。
具体的な方法を紹介していきます。
まずはリスクを全くとりたくないという方もいらっしゃるかと思います。
その場合は、様々な銀行で設定されている「退職金用定期預金」などの活用がおすすめです。
通常の金利よりも高めに設定されており、元本保証ということで活用されている方も非常に多くいらっしゃいます。
ただ注意点としては、高い金利を受け取るために、投資信託などの商品もセットで購入しないといけないケースもある為、その場合は購入にかかる手数料やリスクなども十分に点検したうえで、判断する必要があります。
それ以外にも、個人向け国債なども例としてあげておきます。
低金利下ということもあり、十分な利回りでの運用を行うことはできませんが、各金融機関がキャンペーンで購入時に特典を用意していることもあり、それを目当てにという購入を決める方も多いようです。
次に銀行預金よりは少し高い金利で安定的に運用を行いたいという方におすすめの方法を紹介します。
まずは代表的な方法としては、複数の投資信託を組み合わせて保有するというやり方です。
もちろん選ぶ商品や組み合わせ方が重要であることは言うまでもありませんが、しっかりとしたリスクリターンの実績を持つ投資信託を選び、正しく組み合わせることで相場の下落に左右されづらい安定的な運用を実現することが可能になります。
最近では、それらの商品選択や管理までを全てお任せできる「ラップ口座」というものもあり、正直運用は良くわからないという方は、これを活用してみるのも一つの手段といえそうです。
上記以外にもセカンドライフでの収入が年金のみになってしまう点を考慮して、社債などを選択するのもよいでしょう。
ただし、購入する社債の発行体によっては、利回りは高いものの、リスクも高くなってしまうこともある為、十分に精査が必要です。
番外編になりますが、金融機関からよく提案される退職金運用の提案も紹介しておきます。
先程説明した、退職金セットプランでの投資信託もそうですが、意外にも一時払いで加入する保険も非常にケースとしては多いようです。
運用成果が一定で推移するタイプのものもありますが、多くは運用を投資信託などで行う変額タイプのものがよく提案される場面をみかけます。
保険という商品名から安心感を持って契約する方が多いようですが、商品によってはリスクがそれなりに高いもので運用しているケースもあり注意が必要です。
また、これらの保険商品については、運用に関わる手数料以外にも、保険関係費用と呼ばれる保険独自の手数料も発生することが多く、想定以上のコストがかかってしまうこともあるため、ご自身の目的とあっているかも含めて、十分に検討する必要がありそうです。