20年以上もプラス成長を続けるオーストラリア経済の強みと実態
オーストラリアは先進国の中でも継続的な経済発展を遂げている珍しい国家です。実際に、20年以上ものGDPプラス成長が続いています。資源価格の低下や中国の低迷によって先行きが懸念されていますが、専門家の中では「そう悲観することはない」という意見も多いようです。
資源の輸出によってアジア諸国と一緒に成長
オーストラリアは国内の産業構造において、7割近くの第三次産業、その次に第二次、第一次と続く先進国型となります。輸出品目の約10%が個人旅行サービスであり、観光業に強みがあります。
しかし、それをさらに超えるものが鉱物や燃料などの天然資源です。これが資源ブームの時に大きな収入源になりました。大きな成長を誇っていたアジア諸国に多数輸出することで、それに引っ張られる形で自国も発展していきました。実際に、2014年の輸出先は約35%が中国、次いで日本、韓国、シンガポールでした。
資源ブームが過ぎても緩やかに成長していくオーストラリア経済
資源ブームやアジアの成長によって支えられていたオーストラリア経済ですが、鉱物や燃料の価格が下落する、中国経済が減速するなどで、今後が危ぶまれていた時期があります。確かに徐々にGDPの伸び率は鈍化したものの、結果的に24年連続でコンスタントに発展を続けました。
2008年のリーマンショック時にもオーストラリアはプラス成長を達成しました。これはアジアを中心に経済情勢が良かったため、無理をして高値のサブプライム関連商品に手を出した金融機関が少なく、リーマンショックの悪影響が少なかったためと言われています。
このことから、けっして鉱物や燃料などの外需だけに頼っているのではないということが分かります。上記のような安定性は内需によっても支えられていることが要因です。特に最近では経済の牽引役が鉱業以外にシフトしているという分析もあり、とてもバランスが良い経済だと言えるでしょう。
公的債務や金利の面でも安定性が高い
オーストラリアは公的債務の比率が約17~18%ととても低く、発達を遂げている国としてはかなり稀です。金融の信用状態に関する格付けを行っている各国の会社でも高評価を獲得しており、財務的にとても安定していると判断できます。
また、豪ドルは金利が1%を超えており、どこも1%未満である先進国の中ではトップクラスです。この数字を超えているところは新興国や財政リスクを抱えている国が多い一方、豪ドルは安定した成長を維持しているという点も見逃せないポイントでしょう。
また、欧州で金融機関の健全性が疑問視されるなか、オーストラリアの大手銀行の財務状況は優良と言われています。
資源価格の低下や中国の低迷によって一時は先行きが心配されていたオーストラリア経済ですが、「大きく下落することはない」と主張する専門家も多くいます。今もなお、その強さと安定性は健在です。
しかし、豪ドルの運用を検討されている投資家の方にとって、オーストラリアドルと鉄鉱石価格の連動性が高い点には注意が必要ではないでしょうか。
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