マーケットにおけるトレーディング手法は、AIの進化もあり日々高度化しています。
代表的な存在として、アルゴリズム取引が挙げられます。本コンテンツではアルゴリズム取引の概要とそれが及ぼした影響についてみていきます。


アルゴリズム取引とは?
一般的にアルゴリズムとは課題を解決するために組み立てられた計算処理手順のことをいい、その基盤には主にコンピュータープログラムが用いられます。

これを応用し、証券取引において刻々と変化するマーケットの情報を適切に処理しながら、取引コストや小口分割発注など様々なモデルを組み合わせて事前に作成したアルゴリズムに従ってコンピュータにより自動的にトレードを行うことをアルゴリズム取引といい、システムトレードとも呼ばれます。主に巨額の有価証券を売買する証券会社や保険会社、資産運用会社などといった機関投資家によって、自己の注文を有利に約定させるために用いられています。

これまでアルゴリズム自体はブローカーとしての証券会社が投資家に提供していることが多かったのですが、アルゴリズムの高度化にはAI開発やフィンテックの技術が欠かせないことから、今後IT企業がこの分野に直接参入してくることが増えると考えられます。


アルゴリズム取引の種類
アルゴリズム取引には数多くの種類があります。以下では、その代表的な一例をご紹介します。

(1)アイスバーグ注文
機関投資家の売買注文は、執行したいときの最良気配値に対する注文数に対してボリュームが非常に大きいことがよくあります。そのまま市場で全量を執行すると、自らの注文でマーケットを崩してしまう「マーケット・インパクト」を起こしてしまうこともあります。
これを防ぐため、自らの大口注文を小口に分割して可能な限りマーケットの価格形成に影響を及ぼさないように執行する方法です。他の日と比べて大した値動きはないのに、出来高が相当に増えている場合はアイスバーグ注文が出されている可能性があります。


(2)TWAP注文
TWAPとはTime-weighted average priceの略です。
その名のとおり大口注文を約定単価をできるだけ日中の平均単価に近づくように分割して執行する方法であり、アイスバーグ注文に類似しています。出来高が大きい銘柄に多くみられる執行方法であり、年金など委託者から約定単価の妥当性を問われやすい性質の資金でよく行われます。


(3)ステルス注文
HFT取引(High-Frequency Trading、高頻度取引)のシステムを併用して、他の投資家が売買注文を入れようとしてきたのを察知し、それに先回りして売買注文を執行する方法です。板の状況は変わらないのに、出来高だけ増えている場合はステルス注文が出されている可能性があります。


(4)見せ板
自らが売買したい銘柄の板に、投資家を呼びこむために用いられる手法です。
実際は約定させるつもりは無いのにもかかわらず、他の投資家の注文を誘うために大口の売買注文を出し、約定する直前に売買注文を取り消したり価格訂正するなどして、あたかも相場が動意付いているように見せかけます。そして多くの投資家が集まってきたところで自らの注文をぶつけ約定させるのです。


アルゴリズム取引が及ぼした影響
機関投資家の間でアルゴリズム取引が一般的になる前のマーケットは、実需売買を除きトレーダー個人の経験や相場観などに基づいて取引が展開される、ある種の職人芸を競うような場でした。

しかし、アルゴリズム取引が広まることにより人間が機械に勝てないことが残酷なまでに証明されていきました。特に日本では2010年に東京証券取引所がアルゴリズム取引を用いる機関投資家のニーズに呼応するかのように売買注文の超高速処理を可能にするアローヘッドを稼動させたことにより、アルゴリズム取引に挑んだ多くの個人デイトレーダーが損失を被り株式市場から撤退、さらには収益を自社の自己売買に依存していた中小証券のいくつかは廃業という道を選んだのです。
海外でも類似する事象は起きており、たとえばゴールドマン・サックスでは2000年初頭に数百名いたトレーダーが2016年には一桁台まで減ってしまったという事実は有名です。


まとめ
短期のトレーディングにおいて人間がアルゴリズムに勝てないのであれば、それに代わる資産運用方法を見出す必要があります。
たとえば、積立NISAに代表される長期のドルコスト平均法などはアルゴリズムの影響を受けないことから、個人にも向いているのではないのでしょうか。



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