以前の当コラムでSell in Mayについてご紹介したことがありますが、今回はその格言の検証を行ってみたいと思います。

この格言はいわゆる「アノマリー」といわれる現象であり、現象の背景にある理屈や成立根拠がはっきりしないものの、何となく市場参加者の間で存在が認識されている現象のことを指しています。1月株効果(米国では1月に株が上がりやすい)、半値八掛け二割引(株式が暴落する際の下値目途)などはお聞きになられたことがあるのではないでしょうか? 

本日のテーマは所詮アノマリーの話であり、「なぜそうなるのか」という難しい話は一旦忘れて、リラックスモードで以下の文章にお付き合い頂ければと思います。今年中に株を売らなければならないけど、売るならいつが良い? という時など、少しだけお役に立てる瞬間があるかも知れません。


まずセルインメイ(Sell in May)という格言を今一度確認したいと思います。正確には、「Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day.」と少し長い言葉になります。

直訳すると、5月に相場から立ち去り(売却)、セント・レジャー・デイ(9月第2土曜日)までは相場に戻ってくるな、という意味です。したがって、5月に相場が下落するという意味ではありません。

念のため月間リターンを日米ともに調べてみましたが(各月の株式リターンがマイナスになった割合の比較)、5月の月間リターンが有意に低いという事実はありませんでした。

月別で最も相場下落となる可能性が高いのは、TOPIXでは8月、S&P500では9月という結果になっています。

以下のチャートはTOPIXの過去591か月の月間リターンが下落となった割合を調べたものですが、全月の下落確率(平均43%)と比べても、5月は平均程度です。日本株では4月の月間リターンがマイナスになる確率がやや低く(上昇しやすい)、夏ごろ(7月~9月)が最も下落しやすいという結果になっています。一応米国でもやってみましたが、日本株と似たような傾向にあるようです。
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次に格言通りに投資行動を行った場合を想定し、その検証を行ってみました。果たして格言通りの行動は利益になるのでしょうか? 

そこで、「5月に相場から立ち去れ」の意味を5月末に売却するものと解釈し、「9月第二土曜日までは相場に戻るな」の意味を9月末には相場に戻れ(買付せよ)、と解釈して過去のリターンを検証しました。この格言が正しい場合には、格言の逆をやれば損をするはずです。つまり5月に相場に参入し(新規で買付)、9月末に立ち去った場合(売却をする)、その投資家は損をするはず(投資期間4か月間)です。

このことを検証するために、1月~12月の全ての月について、過去4か月の累積リターン(非年率表示:配当は考慮せず)を調べてみました。期間は約60年間です(1969年12月~2019年2月)。

格言が成立していれば、9月から始まる過去4か月の累積リターン(6月~9月)が最も低くなるはずです。結果は以下のチャートの通りとなりました。なんと「格言通り」になっています。

逆に9月末に買い付けをし、4か月後の1月に売るパターンが最もリターンが高くなっています(Buy in September?)。

残念なのは、格言が成立するのは米国S&P500のケースであり、日本のTOPIXでは1か月ずれてしまいましたが(Sell in June?)、およそ似たような状況にあるとは言えそうです。


過去4か月累積リターン。1月の4か月累積リターン(10月買い・1月売り)が最も成績が良い。
逆に9月の過去4か月累積リターン(5月買い・9月売り)が最も低調(=格言成立)。

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