「欧州選挙の年」とも呼ばれた2017年。
各国の選挙で、反移民や反EUを掲げるポピュリズム政党が第一党となるか注目を集め、市場ではリスク回避の動きが強まる局面も見られた1年でしたが、親EU、親グローバリズムを掲げるエマニュエル・マクロン大統領率いる新党「前進する共和国」が圧勝したフランスの総選挙をはじめ、蓋を開けてみれば各国で反EU派は敗退する結果となりました。

しかし、ドイツではメルケル首相が4選を決めたとはいえ、反ユーロを掲げる新興の右派政党「ドイツのための選択肢」が94議席を獲得して第3党に躍進し、オランダ ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党が第一党の座を守ったものの、反EU・反移民の自由党も議席を増やして第2党へ納まるなど、各国で反EUの火種はくすぶり続け、ユーロ圏の政治リスクは払拭されたとはいえません。

日経平均株価も2017年の最安値【18,335円 4/14】はフランス大統領選挙の時期でした。海外の選挙動向が大きく影響しています。
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今回は、そのEU圏でも最後の火種となりうるイタリア総選挙をはじめ、ロシア大統領選やキューバの議長交代、長期政権が続くカンボジアの総選挙など、2018年に控える世界に大きな波乱をもたらす可能性のある5つの政治イベントの日程と、それぞれ注目すべき焦点をご紹介します。

イタリア総選挙|2018年5月まで
2018年に予定されているイタリア総選挙は、反ユーロ、反体制を掲げる「五つ星運動」が第1党となる可能性もある、欧州に残された警戒すべき政治リスクとなっています。
その注目政党「五つ星運動」や、民主党首のレンツィ前首相が総選挙の前倒しを求め、2017年秋の実施も濃厚と言われてきたイタリア総選挙。

しかし、唯一前倒しを決定できる権限を持つ現職のセルジョ・マッタレッラ大統領は、インタビューの中で年内に総選挙が実施される可能性は低いとの見方を示し、イタリアでは6月以降に総選挙が行われたケースはなく、議会が任期を迎える2018年の2月から5月までにかけて総選挙が実施される公算が高まっています。

ポピュリスト政党「五つ星運動」は現在連立を否定していますが、次回の総選挙で「北部同盟」「イタリアの同胞」など反EUを掲げる政党が議席を獲得し、五つ星運動との連立が成立すれば、イタリアは一挙にEU離脱へ傾くことも予測される注目の選挙です。
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ブラジル大統領選|2018年10月
2018年10月に予定されているブラジル大統領選。日本の個人投資家はブラジル関連商品へ投資されている方も多く、注目の選挙戦になりそうです。世論調査では左派のルラ元大統領が2位以下に大差をつけています。

しかしルラ元大統領は自身が汚職関連の裁判を抱えており、有罪判決となれば出馬資格を失う可能性があります。本命不在となれば選挙は混戦模様となります。

ブラジルの現大統領はテメル氏。前任のルセフ前大統領が弾劾により失職となったため2016年8月に就任。改革志向の経済政策に転換したため、海外投資家や企業からは高い評価を受けるものの国民の支持率は低い(大手調査会社IBOPEが9月実施した世論調査では支持率は約3%とのこと)。

国民からの支持は低いなか、ブラジルの株価は過去最高を更新。2018年末までの任期で経済を更に立て直すことが出来るのか注目が集まります。
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ロシア大統領選|2018年3月
2018年3月は、ロシア大統領選が予定されています。
注目はやはり、過去17年間ロシア政界に君臨し続けているプーチン大統領の去就です。
1999年、エリツィン大統領辞任後の大統領代行を務めたプーチン氏は、2000年の大統領選で正式に当選以来、2期連続で大統領へ就任。ロシア大統領は3選を禁止しているため、2008年から一旦首相に転身した後、2012年には再び大統領へ当選を果たしました。
プーチン大統領は、現段階では2018年の大統領選へ出馬の可能性について時期尚早と語り、明言を避けています。

しかし、2016年の下院選挙では、プーチン大統領率いる与党「統一ロシア」が得票率76%を獲得し、一方でリベラル派の野党は議席ゼロと圧勝。そして大統領選の前哨戦と位置づけられる2017年9月に行われたロシア統一地方選でも、首長選が行われた15の州と共和国すべてで政権与党の候補が勝利と、盤石の体制を整えています。ロシア国民から高い支持率を誇るプーチン大統領が出馬すれば、最有力候補となることは確実といえるでしょう。
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キューバ(カストロ議長の退任)|2018年2月
そのロシアと旧ソ連時代から現在まで緊密な経済関係を維持してきたのが、アメリカ大陸のカリブ海に浮かぶ社会主義国・キューバです。
2016年、最高指導者としておよそ50年にわたりキューバ共産党の一党独裁を敷いてきた「革命の英雄」フィデル・カストロ前議長の訃報は、キューバ国民に大きな動揺を与えました。2008年に議長職を継いだ実弟のラウル・カストロ氏も、2期目の任期が切れる2018年の退任を表明しています。

現職の米大統領として、実に88年ぶりにキューバ訪問を果たし、「キューバの雪解け」と呼ばれる歴史的な国交回復を実現したオバマ前大統領。米国の対キューバ経済制裁の緩和措置を受け、カナダや欧州など各国でもキューバビジネスを狙う動きが活発化し、2016年9月、日本の首相として初めてキューバを訪問した安倍首相も、二国間の経済関係を強化する方針を示しました。

しかし、前大統領の制裁緩和措置の転換を公約に掲げ当選したトランプ大統領は、米国民の渡航制限強化や、キューバ軍関係の企業グループとの新規取引を禁止するなど、キューバ経済制裁の再強化策を打ち出し、再び関係が冷え込みを見せたことで、キューバ事業へ与える影響も心配されています。
2018年のカストロ議長退任後、キューバ国内で改革派の勢力が拡大することがあれば、再び米国との関係改善も期待されます。各国の企業が開拓を狙うキューバ市場の今後を占う、注目の政治イベントです。

カンボジア総選挙|2018年7月29日
過去10年間で高い経済成長を見せる東南アジアのASEAN加盟10カ国で、城内関税がすべてゼロになる2018年。その参加国のひとつ・カンボジアは、7月29日に下院議会選挙(総選挙)の実施を予定しています。

30年余りの長期に渡り政権を維持し続けるフン・セン首相の率いる与党・人民党に、最大野党の救国党がどこまで迫れるかが大きな焦点となる次回の総選挙。
前回2013年に行われた総選挙では、人民党は下院の過半数は獲得したものの、議席を大幅に減らす結果となりました。対する野党の救国党は、来年7月の総選挙を占う前哨戦として世界から注目を集めた2017年6月の国内1634のコミューン(地域行政区)の選挙でも、議席を大幅に伸ばしています。

強権的な政治手法へ批判もあり、長期独裁に対する警戒も強まるフン・セン氏が、政権交代もありうるとされる次回の選挙で強硬策に出る可能性についても指摘されており、2018年のカンボジア情勢は厳重な注視が必要になるでしょう。
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まとめ
テロリズムや移民問題、高い失業率など政治的な不安の残る欧州の今後を占う試金石となるイタリア総選挙、「強いロシア」を率いて、世界に影響力を及ぼし続けたプーチン大統領の去就が注目されるロシア大統領選、「アメリカの裏庭」と呼ばれるカリブ海の社会主義国家・キューバの世代交代、そして成長の続くASEAN諸国で長期独裁への懸念から政治的不透明感の高まるカンボジア。

いずれも大きな波乱を招きかねない政治リスクを抱えた2018年の政治イベント。しかし、今後の政治日程から、リスクが発生する可能性のあるスケジュールさえ押さえていれば、もしもの時を想定して、事前に考え、準備することもできます。今回ご紹介した注目の4つの政治イベントを、先の見えない世界を見通す確かな情報を集める参考に、ぜひお役立てください。



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