2008年のリーマンショック以降、多くの輸出企業は超円高に苦しみましたが、アベノミクスの一環として大胆な金融緩和政策が実施されると、1ドル=80円を切る円高から120円前後まで、急激な円安へと一気に傾きました。
これを受け、多くの企業の業績が回復し、日経平均株価も2万円を超える水準にまで回復してきています。

株価上昇局面なので、投資で利益を上げるのは簡単にみえますが、そう思っていてもリスクを恐れてなかなか踏み出せない場合もあるのではないでしょうか。

そういう人に特に注目してほしいのが、投資スタンスとして重要視されている分散投資です。

リスクを減らす運用手法「分散投資」
 株式相場で個別銘柄をみてみると、トヨタ自動車 <7203> の場合、2011年の株価は2,500円を下回る水準でしたが、足下では8,500円前後で推移し、ここ3年ほどで3倍以上、値上がりしています。2,500円の時期に仕込んでおけば、株高の恩恵を最大限に受けることができましたが、底値を見分けるのはそうたやすいことではありません。
 
一方、スカイマークのように、民事再生法を申請し、破綻した場合、株は文字通り紙くず同然となります。堅実に蓄えたい人は資産運用を躊躇してしまうかもしれませんが、投資で重要なのはリスクを減らすこと。
そのための効果的な手段のひとつが「分散投資」となのです。

 分散投資とひと口に言っても、考え方はさまざまです。ただ単に投資対象を分散させればいいというものではなく、分散させることで「リスクを軽減」させることが重要になってきます。

分散投資のメリット・デメリット
 一般的な投資先といえば、株式、債券、投資信託、不動産、金などの商品、外貨などですが、これらの投資先は大きく分けると金融資産と実物資産に分けられます。
前者が、株式や債券の場合、投資先の会社の倒産などで資産がゼロになってしまうリスクがある一方、後者の不動産などは現物が残ります。
しかし不動産などは、購入した時点より、資産価値が下がったり、災害などで建物が被害を受けたりして使い物にならない危険性も潜んでいます。

こうした、それぞれのメリット・デメリットを考慮して、金融資産と実物資産へ投資を分散することで、リスクを軽減することができるのです。


株価上昇局面の中での分散投資の在り方
 金融資産への投資をみても、先述のように1つの銘柄に全資産を投入すると、トヨタ自動車のように一攫千金を掴めるチャンスに恵まれることもあれば、スカイマークのように全資産を失ってしまうことにもなりかねません。
四季報や、世の中の情勢を読み解きながら、値上がりが見込める銘柄にピンポイントで投資することは、プロの投資家でも至難の業になります。

近年の日経平均株価の上昇局面のような場合、それに連動するインデックス型の投資信託を購入すれば、日経平均株価に組み込まれる銘柄に幅広く投資していることと同じ状況になり、株高の利益を享受できるという方法もあります。
 
 それならば、金融資産の部分は日本株を対象に絞ればよいかというと、そう単純ではありません。
足元の株価の推移は右肩上がりが続いていますが、先行きは常に不確実だともいえます。日本株以外に国内債券、外国株、外国債券も投資の対象として検討すべきでしょう。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のデータによると、国内債券と国内株式は、外国債券と逆の値動きをする傾向があります。つまり両者は、相互補完の関係にあると言っていいでしょう。

 三井住友トラスト・アセットマネジメントがまとめたデータによると、2014年は先進国株式の収益が21.7%で最も高く、国内株式・債券/先進国株式・債券の4つの資産に投資分散した収益は13.2%でした。分散投資の場合、最も高い利益が期待できる運用スタイルではないのがデメリットかもしれません。
しかし、2008年に先進国株式の損益が53.4%に上がった時は、4つの分散投資はマイナス幅が26.5%と半分程度に収まっています。直近10年の平均値をみても、最も高いパフォーマンスを上げたのが新興国株式で、年平均18.6%の収益ですが、分散投資も7.3%と、収益を確保できています。

 このように、異なる投資対象が相反する動きをしたり、他にない特性で資産アップに寄与したりすることで、リスクコントロールし、安定した資産運用に貢献することから、分散投資は今の時代の重要な投資の考え方なのです。


>>購入者の7割が不満?なぜあなたの投資信託選びは失敗するのか?