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プライベートバンクとは?外資系金融機関に学ぶ資産を守る運用術

2016/05/11

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———日本ではプライベートバンクというと、富裕層が個人的に活用する特別な銀行、というような認識をしている方が多いのですが、その認識は正しいのでしょうか?正しくは、プライベートバンクとはどのような定義なのでしょうか(どのような業務を行っているのでしょうか)

プライベートバンクのサービスの本質は、世代を超えて長期的にお客様の大切な資産を守っていくことです。そのため守るべき資産を既に保有している方々、いわゆる富裕層と呼ばれる方々が主なお客様となるという構図です。

何から資産を守るのかというと、各時代で顕在化するリスク、例えば戦争や国内経済の混乱よる資産価値の減耗や逸失、インフレによる実質資産価値の低下などです。

プライベートバンクのお客様の多くは、ご自身で事業に成功されたり、相続・贈与などで資産を継承されキャッシュフローを生み出す術を既にもたれている方々です。プライベートバンクは、お客様の事業や資産運用から生み出されるキャッシュフロー生成パターンとは異なる資産運用戦略をご案内し、お持ちの資産全体としての理想的なポートフォリオの構築を追求します。このようなご提案によりお客様が描く目標の達成に向けたお手伝いをしています。

また資産運用以外にも、お客様のライフイベントを先回りする形で多様なソリューションを提供しています。お客様とのお付き合いは長期に亘りますので、お客様に寄り添うプロフェッショナルサービスが必要です。

———富裕層向けに様々なサービスを提供するプライベートバンクはどのような組織なのでしょうか?

「プライベートバンクの組織体系はこうあるべき」というものはありませんが、スイスを拠点とする老舗プライベートバンクの多くは、いわゆるパートナー制による企業経営を行っています。

パートナー制で運営されるプライベートバンクは、株式市場に上場している金融機関と異なり、長期的で安定した企業経営のもとでお客様にサービスを提供することが可能です。お客様の資産を守る目的を追求するには、自らが安定していることが肝要です。

一方、上場企業の形態による規模のメリットを生かし、複合的なサービスを提供している金融機関もあります。どちらが良いという話ではなく、お客様ご自身の目的やスタイルによって使い分けるのがよろしいかと思います。

———日本では馴染みのない欧州のプライベートバンクは、どのような顧客にどのような提案を行っているのでしょうか。

人生やご一族の目標、ご資産の特性、お考えなどをお伺いし、お客様ごとにテーラーメイドの様々なソリューションを提供するのが一般的で、その内容は多岐に渡ります。そのため、プライベートバンカーは様々な要望に対応できる奥行きの深いスキルや知見、人的ネットワークが重要で、お客様から「何でも相談される」立場になることが理想像です。

金融ソリューションの提供は、プライベートバンカーとお客様との長期的で良好なリレーションシップを維持する手段として、双方にとって重要な存在ですが、金融以外のソリューションの質も重要です。お客様の金融以外のニーズにお応えするためにも、目利き役またはガイドとしてお客様に寄り添い続けるという姿勢が重要となります。

お客様への提案活動はこの基本姿勢があってこそ意味があるものであり、それがないがしろにされた状態での提案には、プライベートバンカーの提案として全く価値がないと考えています。

————御社をはじめ、プライベートバンクはスイスに多いですが、何か特別な理由があるのでしょうか?

プライベートバンクは傭兵として出稼ぎに出たスイス人の資産を運用・管理する目的で始まったという説があります。他にもきっかけは色々あったようですが、スイスでここまでプライベートバンクビジネスが拡大した理由は、自国を守るという気質を持ったスイス人の国民性にあると思います。

スイスは永世中立国だから安全だという意見がありますが、実は第二次世界大戦前には永世中立を掲げる国が欧州でスイス以外にも複数存在していました。しかし、スイスのようにずっと永世中立を維持できた国はありません。スイスはただ永世中立を掲げていただけではなく、巧みな外交力や軍事力、経済力によって永世中立を守り抜いてきたのです。

私はスイスに住んでいたことがありますが、スイス人が真剣に国を守ることを現在も実践している様子を垣間見ることができました。当時私は集合住宅に住んでおりましたが、地下にはシェルターが備えられていました。また、スイス人の同僚は国民皆兵制度の下、毎年会社を休んで軍事訓練に参加しており、自宅には軍用ライフルが備えられていると聞きました。

つまり、スイスが安全で何かが守られるということは、スイス人が「真剣に守ることを実践し続けてきた」結果であり、この姿勢がプライベートバンクを含めたビジネスにも反映されているからこそ、スイス企業に対する信頼性が非常に高いのではないでしょうか。

———欧州の富裕層はどのような投資意向があるのでしょうか。

資産保全を志向されるお客様が多いため、必然的に相対的に低リスクの投資戦略に収斂されます。

従前は、金利低下局面が長期に亘り継続しましたので、低リスクで安定運用の代表格である債券投資が投資戦略の中心的な存在でした。しかし、昨今のマイナス金利の導入もあり債券セクターからの期待収益率は厳しい水準です。一方、株式セクター単体のリスク水準はお客様にとって高過ぎます。

また、富裕層の方々の投資戦略において分散投資は基本中の基本で、従前から現在まで変わらない鉄則です。債券セクター並みにリスクを抑えるために様々なアセットクラスへの分散投資を徹底する、また様々な市場環境に応じ機動的に分散投資の内容を調整するといういわゆるアセットアロケーション型運用戦略が、現在は多くのお客様の目的を達成する手段となっています。

———日本では「投資は良くない」という意識が強いため、資産の大半を預金にしている方が多いようです。プラベートバンクのお客様は、投資に対してどのような認識なのでしょうか?

日本で投資に対してネガティブな認識が広がっている理由は主に二つあると考えています。まず一つ目は、日本人だからという理由だけで日本株に縛られすぎている点。二つ目は、金融業界の努力不足が原因でもありますが、金融リテラシーに問題がある点です。

日本人として日本企業を応援したい、日々の生活の中で日本企業になじみがあるという理由だけで、資産運用の中心は日本株でなければならないと考えている方がとても多いです。日本株が資産運用の中心になってしまうと、バブル崩壊から現在に至るまで日本株投資を通じた投資結果は良くなかったはずで、「投資は良くない」という印象を持ってしまった方も多いかもしれません。

一方、グローバル目線でご自身のビジネスを展開されていたり、ご子息が海外の教育機関で学んでいたり、海外資産や外貨建て資産を承継した経験を持つ富裕層の方々には、この呪縛は大きく作用せず、国際分散投資を受け入れる素地をお持ちで、豊かな選択肢の中からポジティブな投資経験をお持ちの方が多いと考えています。

現在は、日本に居ながらにして充実した国際分散投資ポートフォリオを構築することが可能です。金融リテラシーを有する富裕層の方々は、豊富な選択肢を有しています。

———日本のプライベートバンクをしている企業と欧州のプライベートバンクには違いはあるのでしょうか。

欧州のプライベートバンクは、設立来よりプライベートバンクの業務を展開してきた揺るぎない実績を有しており、その業務を最適に展開するための企業運営が長年に亘り行われています。プライベートバンクサービスを展開する上で必要なサービスやネットワークを常に吟味しながら、あらゆる国々のお客様の期待に応えようとしています。

一方日本では、プライベートバンクサービス自体が比較的新しい事業領域であるという事実があります。しかしながら、日本の金融機関はグループ内の関連企業とのネットワークが充実しており、更に日本に根ざしたサービス展開の歴史が長く、ワンストップでお客様のニーズに応えることも可能です。

どちらが良い悪いということではなく、お客様ご自身が何を一番大切にしたいのかをご判断された上で、長い間お付き合いとなる金融機関をご選択頂くことがよろしいのではないでしょうか。

———「欲張らない投資」と「育てる投資」という投資コンセプトをご案内されていますが、それらの違い(区別)について教えてください。

「欲張らない投資」と「育てる投資」という表現は、お客様にご自身の投資を俯瞰的に見ていただくことを推進するために作ったコンセプトです。

元来よりプライベートバンクがご提供する投資戦略は低リスク型が主流となりますので、「欲張らない投資」とはプライベートバンクが本来業務の中でお客様に提案している低リスク型の投資戦略の総称に近いイメージです。

具体的には価格変動リスクが年率5%を超えない水準の投資戦略が「欲張らない投資」の範疇に入るとお考えください。「欲張らない投資」はお客様の資産運用における中心的な存在となるのが理想です。預金の一歩先にある低リスク型運用戦略で、お客様の資産運用における土台を築いて頂きたいのです。

これをまず整えたところで、リスク水準が一段高い「育てる投資」も充実して頂きたいと思います。このコンセプトをご理解いただけるアドバイザーの方と設計を考えて頂くのが近道かと考えております。

————安定運用と言えば、「債券を買っておけばいい」というわけではないのでしょうか。
従前であれば、安定運用といえば債券を持っていればほぼ目的を達成することが可能でした。一般的に債券投資の魅力は、確定した利金収入が期待でき、価格変動リスクが相対的に低い点ですが、現在ではこの両方の魅力が著しく低下しています。

世界的な金利低下で異常なまでに低い利回り水準となり債券からの利金収入が期待できない上に金利上昇リスク、つまり債券価格の下落リスクを意識しなければならない環境にあります。このため従前のように債券投資を資産運用の中心に据えることは難しい状況です。

超低金利環境となった今、債券の代替となる投資戦略が注目を集めています。債券並みの価格変動リスクに抑えたアセットアロケーション型といわれる投資戦略やオルタナティブ投資戦略、株式では価格変動リスクが相対的に低い高配当公益株式戦略などが代替候補と見られています。

REIT(不動産投資信託)は配当が期待できる魅力的な投資対象ですが、価格変動リスクは株式市場全体とほぼ同等であり、債券の代替とは言えずリスクを受け入れられる投資家のみが投資候補に考えるべきではないでしょうか。

———世界の富裕層は、為替リスクは怖くないのでしょうか。
お客様の居住地での必要性、自国政府に対する信頼、将来における外貨の使用予定など、投資機会の追求以外で為替と向き合う富裕層の方々が多くいます。

短期的な市場見通しに基づき外貨の売り買いをするよりも、このような長期的な考えや実需をベースに外貨と向き合うほうが、結果として良好な結果に結びつく可能性が高まるのではないでしょうか。やはり、時間を味方にできる富裕層ならではの投資姿勢というものが存在すると思われます。

【ピクテ投信投資顧問株式会社】
ピクテは、1805年にスイス・ジュネーブに誕生しました。
王侯貴族の資産管理を包括的に担うプライベートバンク業務から始まり、
今では各国の幅広いお客様に、資産運用・管理サービスを提供しています。
http://www.pictet.co.jp/

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