「貯蓄から投資へ」というスローガンが提唱されて久しくなりましたが、2015年3月23日に日本銀行調査統計局が発表した「資金循環の日米欧比較」によると、日本は現金・預金の割合が52.5%と半数以上を占めるのに対し、株式・出資金はわずか9.5%にとどまります。

一方、アメリカでは現金・預金が13.4%に対し株式・出資金の割合は33.4%と上回っており、投資に対するスタンスの違いがうかがえます。ユーロ圏でも預金・現金が34.9%、株式・出資金が17.5%であり、日本人は欧米人よりも資産運用に保守的なことが読み取れます。

 政府も日本人の投資スタイルに変化をもたらすべく、投資に関する税制優遇制度を充実させています。
例えば2014年には、現金・預金の資産を株式などに振り向けようと、NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)がスタートしました。2020年にNISA口座の残高25兆円という目標を政府は掲げていますが、3月初旬の金融庁の発表によると、2014年12月末時点でのNISA口座開設数は824万口座、購入総額は2兆9797億円と目標の12%程にとどまっています。

日本経済の変遷と資産運用スタイル
 日本経済は、1999年秋以降、消費者物価指数が前年割れし、長らくデフレの時代が続いてきました。
この間は現金・預貯金で保有しておけば、お金の価値は上がりました。言い換えれば、リスクをとった運用をしなくても資産価値が上昇する局面だったのです。
90年代は政策金利が6%に達した時期もあり、定期預金も3〜5%程度の金利がついていたので、銀行に預けさえすれば、相応の金利収入が見込めました。

 ところが、バブル崩壊後ゼロ金利時代に突入すると、そういった時代は終わり、預貯金から得られる利息収入はスズメの涙ほどになりました。

 さらに家計に打撃となったのが、消費税の5%から8%への税率増です。
これに加え、日銀による追加金融緩和で2%のインフレ目標が設定され、物価上昇時代に突入したのではないかとの見方もできます。当然ながら、この局面ではお金の価値は下がっていくため、現金・預貯金を保有している場合は、資産が実質的には目減りしていきます。

リスク性資産での運用も検討を
 2008年のリーマンショック以降、日経平均株価はバブル後最安値となる7000円割れの水準にありましたが、アベノミクスにより状況は一変。日経平均株価は一時2万円の大台を回復する水準まで上昇しています。株価の上昇局面で利益を上げる投資家がいる一方、これまでの投資経験が浅い人にとっては、アベノミクスが始まる前に投資をしていれば良かったと後悔が先に立つかもしれません。

 しかし、銀行の10年ものの定期預金の金利がわずか0.1%台の低金利時代では、金利収入は見込めません。さらに物価上昇も追い打ちをかけます。リスク性のある金融商品で運用をせずに、預金・預貯金だけに偏っていると、インフレによりお金の価値が下がり、実質的には損失を被ることになってしまいます。

こうした局面では、資産運用である程度のリスクと向き合うとともに、資産を守るための手段でもあるとマインドを切り替える必要があります。現金・預貯金に偏ったポートフォリオを改め、家計の状況に見合った適正なリスクを取りながら、資産運用に取り組むことが重要となります。


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