「資本金1億円」の境界線、中小企業と大企業は何が変わるのか?
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5月上旬、経営再建中の電機大手・シャープ <6753> が減資を検討しているというニュースが流れました。シャープは,218億円近い資本金を当初の計画では1億円にまで減資する予定でしたが、批判が相次いだため取りやめ、減資する資本金を5億円に抑える方向で決定しています。
資本金1億円への減資が与えるインパクト
資本金が1億円を超えるかどうかは、中小企業と大企業との分かれ目です。シャープが資本金を1億円にすると、法人税法上では大企業ではなく「中小企業」として扱われることになります。
なぜシャープは、大企業からあえて「中小企業」になろうとしたのでしょうか。
中小企業と大企業とでは何が変わるのか
資本金が1億円であろうと2億円であろうと受ける印象は一般的にはあまり変わりはありません。むしろ資本金が”億”を超えているため、規模が大きな会社だな、という印象を受けることが多いようです。
しかし、法人税法上では資本金が1億円の会社と、2億円の会社とでは大きな違いが存在します。資本金が1億円以下の企業であれば「中小企業」として税法上扱われ、多くの優遇策を受けることができます。大企業よりも中小企業に多くの優遇策を適用し、企業の育成を後押ししようという意図のもと優遇策が設けられています。
具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
(1)法人税率の軽減
通常は30%の法人税率が資本金1億円以下の中小企業の場合、800万円以下の所得に対しては25.5%ではなく15%の税率が適用されます。税率が大幅に軽減されています。また、赤字でもあっても納付しなければいけない外形標準課税が適用対象外となり、法人税が低くなります。
(2)機械等の特別償却
新品の機械等を購入した場合、通常の減価償却費に加えて追加で特別償却を計上できます。さらに10万円以上30万円未満の資産を購入した場合、通常は減価償却を毎年行うことで費用化させていくものを購入した年に一度に費用とすることができます。
(3)試験研究費の税額控除
試験研究に要した費用の一部を、支払いを予定している法人税から控除することができます。
(4)人材投資促進
教育訓練費用の一定割合を法人税額から控除し、法人税を少なくすることができます。
(5)交際費の控除限度額
交際費のうち800万円までは全額損金に算入することができるようになります。
このように中小企業には多くの優遇策が設けられており、国としても中小企業は保護しようという意図が読み取れます。
シャープの資本金が5億円にとどまったワケ
今回の決定では、シャープの資本金は5億円で落ち着きました。1億円以上であれば「大企業」となるため1億円以上であればいくらでも良さそうですが、なぜ「5億円」にとどまるようになるのでしょうか。
資本金が5億円以上の場合は、公認会計士や監査法人による監査が義務づけられます。
資本金を5億円よりも低いものに減資し監査法人等への報酬を減らすという方法もあるでしょうが、そこまでしてしまうと上場している企業である以上、監査法人によるチェック体制は温存しておきたいという意識があったのかもしれません。
資本金の金額によって企業の規模が決まり、中小企業には多くのメリットがあります。
ただ上場企業が突然中小企業になってしまうのもなかなか難しいものなのでしょう。