なぜ「ROE経営」 が重要視されるのか?

2015/05/06

株主への責任は、資本主義社会の職責

企業の経営状況を表す数値はいくつもあり、経営者たるもの、それらの数値を常に把握した上で経営戦略を立てなければならないことは言うまでもありありません。
経営者が陥りやすいのが、経営上の重要指数として「経常利益」を偏重し過ぎ、経営の内実を見誤ってしまうという事態です。確かに経常利益は重要な指標ですが、その他とのバランスを丁寧に検証することが自社の業績を安定化させるために必要な課題といえます。

企業経営者が経営学の基礎を学ぶ際に、まず問われるのは「株式会社は誰のものか?」という問題です。
自身で起業したオーナー社長なら「自分が作ったのだから、会社は自分のものだ」という思いが強くなりがちです。自負心と自尊心を持って経営にあたるのは悪いことではありません。
しかし、株式会社は株主が出資した資本金を基に運営されている以上、「会社は株主のもの」というのが本来のあり方であり、経営者は株主に利益を配当するという責任を負っているという認識も求められます。

もちろん企業には、利益の中から法律に基づく税金を収めることで社会に貢献し、従業員に正当な報酬を支払うという社会の公器としての役割もあります。「株主への責任」とは、株式会社が成長していく過程でなすべき資本主義経済社会の構造的職責と表現することもできるでしょう。

ROE(株主資本利益率)の重要性

さて、いくつかある経営上の重要指標の中で、近年特に重要視されている項目に「ROE」があり、経済誌や新聞欄にも頻繁に登場するようになりました。一定規模以上の株式会社で、さらに自社を発展させようと思う経営者が知らないでは済まされない項目です。

ROEとは「Return On Equity」、すなわち株式資本利益率を意味する英語の頭3文字で、株主が投下した資本でどのくらい企業の収益につながっているかを表す指標です。

ROEの数値は、当期純利益を自己資本(純資産-新株予約権-少数株主持分)で割って算出されます。業種や業態に関係なく株主の視点での収益率(利回り)を示す数値であることから、いくら純利益が高くてもROEが低ければ株主へのリターンが少ないということになり、株主は経営陣にROEの改善を要求する事態になります。

欧米型の経営指標

株主にとって利益を目的として企業へ投資するのは当然であり、ROE値が国債利回りを下回っている会社への投資は、その会社への思いれがある等の理由がない限り魅力に欠けるといえます。

よりROEの高い会社が投資対象に値する企業というのが一般的な見解です。「株式会社は株主のもの」という意識が根付いている欧米社会では、ROEが重要指標であることは以前から常識化していました。
ようやく日本でROEの重要性が叫ばれるようになったということは、日本企業の評価軸が欧米型に近づいてきている一例とも言えます。

ROEは当該企業の利益の効率性を計るバロメーターともなっており、ROEに1株あたりの利益に対して株価が何倍まで買われているかを表すPER(株価収益率)をかけ、算出された数値がPBR(株価純資産倍率)です。

近年、企業間の合併・吸収・買収などが活発に行われていますが、ROEなど株価の利益効率で示した数値群を吟味した上で実行されていることが多いです。

さらに、金融機関が企業の信用度を計る尺度としてROEを使っていることから、経営者はROEを常に気にかけておく必要があるでしょう。

さいごに、一部の企業では、負債を増やすことでROEの改善を追求する事例も見受けられます。
しかし、それを追求するあまりバランスシートの健全性が保たれないのでは本末転倒です。冒頭でも述べたように、経営の内実を見誤ってしまわないよう他とのバランスを保つことが自社の業績を安定化させます。

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