フィリピンのトランプ?ロドリゴ・ドゥテルテ氏とはどんな人物か
2016年6月にフィリピンの大統領に就任した、ロドリゴ・ドゥテルテ氏。
選挙期間中は過激な発言から、「フィリピンのトランプ」と揶揄されていました。30年近く市長を務めた末に大統領の座を勝ち取ったドゥテルテ氏とは、どんな経歴を持つのでしょうか?
フィリピンは近年、めざましい経済成長を遂げています。ドゥテルテ新大統領は、フィリピンのさらなる発展のキーとなる人物です。今後の政策がどうなっていくのかを予想するために、彼の歩んできた政治家人生について知っておきましょう。
ロドリゴ・ドゥテルテ氏の経歴
ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ(Rodorigo Roa Duterte)は、1945年3月28日、レイテ島マアシンで生まれました。父親は法律家、母親は教師というエリート家庭で育ち、幼少期にダバオ市に移り住みました。大学時代の恩師は、フィリピン共産党の創設者であるジョマ・シソン氏です。
ドゥテルテ氏は大学卒業後、検察官として約10年働いたのち、政界に進出します。1988年、ダバオ市長に選出され、2010年まで合計6期市長職を務めました。2010年の市長選挙には、憲法の規定で自らは立候補できず、市長の座を娘のサラ・ドゥテルテ氏に譲っています。2013年の市長選で再び当選し、7期目の市長を務めることになりました。
2016年の大統領選挙については、2015年10月の時点では不出馬を表明していましたが、その翌月に出馬を表明。2016年6月30日に当選が決まり、第16代フィリピン大統領に就任しています。
ダバオ市長としてドゥテルテ氏が行ったこと
ドゥテルテ氏の犯罪者に対する徹底抗戦(ゼロトラレンス)の手法が、人権団体などから批判されてきました。このような、過激すぎるようにも見える手法を取る彼がフィリピン国民から大きな支持を受けている理由は、ダバオ市長として市の発展に貢献したことにあります。
ダバオ市の治安を劇的に改善させた
ドゥテルテ氏は市長就任後、モールなどの大型店舗には条例で監視カメラを設置するなどの犯罪対策を徹底しました。その結果、治安が劇的に改善し、今ではダバオ市が「東南アジアで最も平和な都市」と呼ばれるまでになっています。
ダバオ市を住民にとって住みやすい街に発展させた
ドゥテルテ氏は、フィリピンで初の無料救急センター911電話サービスを開始したり、女性の権利向上の条例を発布したりと、ダバオ市を住みやすい街にしました。市への貢献により市長世界栄誉賞に選ばれましたが、彼は「仕事を仕事としてやっただけ」として受賞を断っています。
ダバオ・デス・スクワット(自警団組織)による私刑などの深刻な問題に、ドゥテルテ氏の関与が否定できない部分はあります。しかし、ダバオ市の治安を改善し、住みやすい都市に変えたことが彼の人気の最大要因でしょう。