知っておきたい、年金の基礎知識!
高齢化の進展によって、老後の生活資金に不安を感じる人が増えています。
年金には、「公的年金」「企業年金」「個人年金」があり、さらに細分化され非常に複雑になっています。そこで、今回は公的年金に焦点を当てて基本的なしくみについて解説していきます。
公的年金の特徴
公的年金の特徴は、加入が義務付けられており、加入したくないからといって加入しないということは認められないということです。もっとも、サラリーマンの場合には、加入手続は会社がやってくれるので、特に加入手続をしなくても自動的に加入しています。
また、年金の支給が死亡するまで支払われる終身年金であるというのも公的年金の特徴です。公的年金には、「国民年金」、「厚生年金」、「共済年金」の3つがあり、加入者の所属によりどの年金に加入するかが決まります。
国民年金
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入しなければならない年金です。個人事業主などが加入する制度というイメージがあるせいか、サラリーマンには関係ないと思われている人も多いようですが、サラリーマンや公務員も国民年金に加入しています。国民年金を基礎として、サラリーマンや公務員はそれに別の年金が上乗せされているのです。
国民年金は、20歳から60歳になるまでの40年加入して、満額の年金(平成27年度は年額78万100円)を受給することができます。国民年金は、加入者の職業などにより3つに分類されています。
会社員や公務員は「第2号被保険者」第2号被保険者に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」第2号被保険者と第3号被保険者以外は「第1号被保険者」となります。
「第1号被保険者」の人は自分で保険料(平成27年度月額15590円)を納付し、「第2号被保険者」の人は厚生年金、共済年金の保険料の中から納付され、「第3号被保険者」の人は保険料を負担する必要はありません。
なお、通常「年金」という場合、老後に給付されるものを指しますが、正確には、「老齢基礎年金」と呼ばれます。その他、障害を負った場合に支給される「障害基礎年金」、被保険者が死亡した場合に遺族(子)に支払われる「遺族基礎年金」があります。
厚生年金
厚生年金保険は、会社などで働く人たちが加入する公的年金です。国民年金とそれに上乗せされた報酬比例部分を合わせて厚生年金と言います。法人の場合には、たとえ社長が1人でやっている場合であっても厚生年金に加入しなければなりません。
また、従業員が常時5人以上いる個人事業については、厚生年金保険の強制適用事業所となります。これに違反した場合、保険料が追徴されると共に、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が課されます(厚生年金保険法第102条1号)
厚生年金の保険料額は、報酬の額に応じて変わるので、給料が多くなればそれだけ保険料も高くなります。ただ、保険料は労使折半で支払うことになっているので、例えば、4万円の厚生年金保険料を支払う必要がある場合には、会社が2万円を支払うので、労働者は2万円の負担で済みます。
当然のことながら、高い給与の人は、将来高額の年金を受け取ることができます。なお、厚生年金にも、老後に支払われる「老齢厚生年金」障害を負ったときに支給される「障害厚生年金」被保険者が死亡した場合に支給される「遺族厚生年金」があります。
共済年金
共済年金は、公務員や私立学校の職員などが加入する年金です。国民年金に報酬比例部分が上乗せされるという意味では、厚生年金と変わりはありませんが、最大の違いは、共済には「職域加算」があることです。この職域加算がある分、厚生年金よりも給付額が多くなっています。
ただ、公務員優遇との批判があり、平成27年10月から、共済年金制度は厚生年金に統合されます。保険料の格差の解消には一定の期間がかかるようですが、いずれ、18.3%に統一されます。
厚生年金や共済年金は、給付も充実しているので、老後の心配は比較的すくないですが、国民年金の場合、満額受け取れる場合であっても月額65000円程度と、とても年金だけで生活できる水準ではありません。したがって、毎月少額でも積み立てるなど、国民年金を補完する手立てをしっかりと考えておくことが重要です。