バニラが高騰!いったい何が起きているの?どんな影響があるの?
アイスクリーム、プリン、カスタードクリームやその他にも多くの洋菓子の香り付けに利用されている
甘い香りが魅力の天然バニラが貴金属の銀の価格を大きくこえるほど価格が高騰しています。
なぜそれほど高騰しているのか、その高騰はまだ継続するのでしょうか?高騰の理由とその影響について解説します。
天然バニラの最近の価格の推移
世界の天然バニラ(原料になる豆)の生産の約8割はマダガスカル共和国で大半が収穫されるブルボン産バニラビーンズという種類です。日本ではバニラの輸入量の約9割が同国から輸入されています。
マダガスカル産の輸入価格は2017年3月で1キロ5.7万円、その約1年前の2016年4月の輸入価格は2.3万円、さらにその1年前は2.3万円の半値であったことから、3年で約5倍まで高騰しました。通販サイトでの小売価格は、1キロ約30万円でショップが販売しています。流通経路などの問題があるので単純な比較はできませんが、銀の小売価格は1キロで約6.5万円です(小売価格はいずれも2018年5月現在の価格)。
生産地のマダガスカル共和国とは
天然バニラをほぼ独占的に日本に供給しているマダガスカル共和国は、アフリカ大陸の中央よりやや下の西に浮かぶ島国です。日本の面積の約1.5倍も広く世界で4番目に大きな島で、そこに2016年現在で約2,500万人の人が暮らしています。
ユニセフによると、サイクロン、干ばつ、洪水、イナゴなどの自然災害が35年間で46回も発生。世界で自然災害による被害を最も多く受けている国の1つです。子ども500万人以上を含み延べ人数で1,100万人以上が自然災害の影響を受けています。
天然バニラの価格が高騰した理由
価格が高騰した理由はいくつか考えられています。
1.自然災害による生産量の減少
天然のバニラは栽培が難しく異常気象による気候の変動や病気の流行で収穫が落ちたところに、2017年3月にマダガスカルをサイクロンが襲いバニラを栽培する多くの農園が被害を受け、さらに生産量が低下し価格が高騰しました。
2.需要の増加
バニラの需要がアイスクリームや洋菓子などの食品以外にアルコール飲料、化粧品などにも拡大し需要が増加してきており、生産量が落ちたことでより高騰。また、バニラ香料には合成品も作られていますが、自然志向が強まったことでも天然バニラへの需要が増加、これも価格が高騰している理由の1つです。
3.投機筋の業者による買い占め
価格の高騰を見越した業者によって需要以上の買い占めが起こり、さらに価格が高騰。
価格高騰でどんな影響が出るの?
価格高騰は、当然ですが天然バニラを使用する食品の値上がりにつながる可能性があります。
しかし、価格が上がると売上が落ちると予測されると、販売側で値上げを抑えたり、天然のバニラ香料ではなく代替として人工合成のバニラ香料が使われたり、配分比率が高まることが考えられます。
また、マダガスカルのブルボン産バニラビーンズのシェアが圧倒的に高いですが、それ以外の産地や別種類のバニラビーンズの需要が高まることが考えられます。
バニラビーンズへの投資は魅力的?
バニラの高騰がさらに続くと予想できれば、バニラに投資したら大きな利益が得られるのではと投資に敏感な人は考えるかもしれません。
しかし、原材料別の先物投資は、価格変動が激しいことや、バニラが投資対象の商品に含まれていないため投資は困難です。並行輸入での輸入が考えられますが、バニラの野生種はワシントン条約で輸入が禁止されており、輸入に際して野生ではなく人工的に栽培されたことが証明できないと輸入ができません。そのため、バニラがさらに高騰すると予測できても個人ではほぼ投資は不可能です。
まとめ
バニラの高騰が起きている理由やその影響、およびバニラに投資できるかどうかについて解説しました。これを機会にコーヒーやカカオなどの食品に使われる原材料が組み込まれたETF商品をリスク分散の1つとして投資を検討してみるのもいいのではないでしょうか。