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凄腕ファンドマネージャー糸島孝俊氏に聞く「運用業界の問題点と課題」とは?

2015/04/24

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《現在、5000本以上存在する投資信託。投資信託は、一般的には「アクティブ運用」(定められたベンチマーク[日経平均株価やTOPIXなどの指標]を上回る投資成績を目指す運用)と「パッシブ運用」(ベンチマークに連動する投資成績を目指す運用)に分類されますが、糸島さんが運用されている『ザ・2020ビジョン』はアクティブ運用のファンドの中でも、他のファンドとは違う特徴があります。》

◆ 運用しているファンドの特徴を教えて下さい。

弊社で運用するファンドはいずれもベンチマークを設けない『絶対収益追求型ファンド』です。こちらはベンチマークと言われる市場平均リターン(TOPIXなど)に関わらず、絶対収益(プラスの利益)を追求する運用手法となります。例えば日本株を投資対象とする場合、市場平均であるTOPIXが▲5%であっても、▲10%であっても絶対リターンでプラス(0%以上)にすることが目標となります。具体的な手法として、弊社で運用する「ザ・2020ビジョン」では、私の相場見通しに基いて、地政学的リスクの高まりなど市場全体の株価下落リスクがある際には、先物やオプションなどのデリバティブ(派生)商品を用いずに、株式の組入比率をコントロールすることで相場下落による損失をできるだけ回避しようとする運用を目指しています。
『絶対収益追求型』にこだわるのには理由があります。『絶対収益追求型』の反対は「相対収益型」ベンチマークありのファンドです。例えば、このファンドがマイナスリターンとなりお客様から委託された大切な資金に損失が発生したとしても、市場平均であるTOPIXよりも下落幅が小さければ優れたファンドと高い評価を与えられます。いくら市場平均よりも下落していないとしても、損失は損失です。それでお客様は満足されるでしょうか。私たちは、お客様が安心して長く運用を任せて下さるように「守りながら増やす」を運用の基本方針として掲げ、お客様にご満足頂けるよう日々パフォーマンスの向上を目指しています。


《投資信託を購入しているお客様も、この点について知らなかった方も多いのではないでしょうか?多くの投資信託は相対的収益型のファンドであり、市場の環境において株式の組み入れ比率をコントロール出来る投資信託は少ないのが現状です。糸島さんが運用されているザ・2020ビジョンは機動的にポジションをコントロールされるファンドということで、特にファンドマネージャーの腕が重要になってくると思うのですが、中に組み込んでいる銘柄についてどのような銘柄を選ばれているのでしょうか?》

◆ 投資する銘柄の基準は何ですか?

ファンドで投資する銘柄はファンドマネージャーが自由に決めているわけではありません。例えば弊社で運用している「ザ・2020ビジョン」においては、運用の基本方針が定められており、それに基いた運用プロセスに沿って投資銘柄が決定されます。この基本方針は、『日本の新しい国づくりに向け、変化しはじめた企業、変化にチャレンジする企業を中心に中長期的な視点で厳選(50銘柄)し、ダイナミックな運用を行います』であり、ここで言う”変化”は5-10年の中期的な視点となります。投資するのは、”変化し始めた企業”、”変化にチャレンジする企業”を中心に株価が割安と判断された銘柄です。弊社では2020年を日本が構造的な世代交代の時代に入る起点と考えており、オリンピック開催やプライマリーバランスの黒字化、新東名高速道路の全面開通など重要な目標になっていることから、先進国の新たなモデルとなる新しい国づくりに向けた歴史的な年になると考えています。つまり1964年の東京オリンピック、東海道新幹線開業が戦後日本の大きな経済発展への転機となったように、2020年が新しい日本の起点になると確信しています。投資銘柄の具体的な選定プロセスについては、私の著書『株・投信で2020年までに資産を倍にする法』(日本実業出版社より2015年1月発売)をご覧ください。

《『ザ・2020ビジョン』において、これから数年先に大きな変化をもたらす企業を選んでいくということです。日本は2020年にオリンピックも控えていますし、ここから大きく変わる転換点になるよう是非期待をしたいです。》

《ファンドマネージャーとして糸島さんは様々なところから情報を取られていると思うのですが、一般投資家が情報収集するのにお勧めの媒体とは何でしょうか。》

◆ 一般投資家が情報収集するのにおすすめの媒体とは?

自動車を運転するにはまず運転免許を取得するように、株式投資をするにはまず新聞を読むことをお薦めしています。

新聞は豊富な情報量と精度を併せ持つ情報媒体であり、株式投資に必要な金融経済、政治、社会についての知識や情報が満載されています。新聞を読まずに株式投資をするのは、バットを持たずに野球の打席に入るようなものです。はじめは見出しだけ、次に自分の得意分野の記事へと少しずつ読んで理解できる範囲を広げることで、情報を集める力は着実に身についてきます。ただし新聞記事は当然のことながら記者という人間、新聞社という営利を目的とした企業から発行されていますので、スポンサーや会社の意向が記事の論調に影響を及ぼしてしまうことがあるということを常に頭に入れた上で、情報収集を行って下さい。
インターネットの普及によって情報の取得速度は格段に上がりましたが、ネットでの情報収集は新聞やテレビなど発信者が判明している伝統的な情報媒体に比べて、情報選別の難易度が格段に上がります。インターネットで『株式投資 情報』をキーワード検索したところ、約130万件ものサイトがヒットしました。これらの記事を全て読むことはあまり現実的ではありませんし、そもそも事実誤認や噂、悪意に満ちたウソなどの情報も溢れかえっています。インターネットの情報に限りませんが、情報は必ず裏を取ってから投資判断に活用することをお薦めします。

《株式投資には近道は無く、普段から新聞で基本的な情報を集めて行く事が重要なのですね。今はインターネットの普及により様々な情報が直に手に入る時代ですが、信憑性がある記事かどうかもしっかりと判別していかなければなりません。》

《去年からNISAも始まり、最近運用という言葉がより身近になったように感じますが、日本における運用業界の課題や問題点は何でしょうか。》

◆ 運用業界の課題や問題点は?

最大の課題は、個人の金融資産に占める株式や投資信託などの比率が上昇していないことにあると私は思います。
今から約18年前(1996年11月橋本内閣が提唱)、日本は金融ビックバンという大規模な金融規制緩和に着手し、金融市場の活性化や証券業界の国際化を計りました。その中で個人の資産運用を預貯金中心から投資信託や株式へ移行する施策が実施されることになりました(個人金融資産に占める現金・預金比率19%)。しかし、2014年12月末時点における同比率は17%とむしろ下落しています。この比率が上昇しない原因は二つあると考えています。
一つ目は投資教育が浸透していないことです。米国は幼少期からの学校教育に加え、従業員のために会社が投資教育の場を提供するなど、国を挙げた積極的な投資教育が実を結び、投資先進国となったので日本も不可能なことではないと思います。二つ目は、投資信託を始めとする個人向け金融商品の仕組みが複雑化し、投資初心者の参入が進まなかったことです。複雑な仕組みを持つファンドの代表例としては、通貨選択型毎月分配投資信託があります。分配金利回りが高くても運用成績が高いとは限らないのですが、それにも関わらず日本中の金融機関はこぞって高い分配金利回りのファンドを追求しました。その結果、投資対象を信用力の低い投機的格付け債券(ハイイールド債)にも広げ、さらには極めてリスクが高い(高い収益を狙う反面、大きな損失が発生する可能性が高い)とされる為替変動差益や為替ヘッジプレミアムをも分配金原資とするようになり、ファンドの仕組みは非常に複雑なものとなりました。そうした高いリスクのあるファンドとは知らずに、分配金が毎月支払われることから定期預金の利息のように分配額が確定されているのだろうと、勘違いして購入した方々(特にシニア層)が多くいるのが実情です。残高明細書を目にして初めて預金とは異なり元本が割れることに気づくことが多いようです。このように投資家の属性(リスク許容度)を無視した金融商品を販売促進する一部の金融機関が運用業界の質を落としてしまっているのではないでしょうか。業界全体の質の向上が不可欠となるのは言うまでもありません。

確かに、ここ数年で高分配の複雑な投資信託が増えてきています。お客様が商品内容を理解しないまま、分配金だけで商品を選んでいる方も多いのではないでしょうか。最終的な投資判断はお客様ご自身ですが、売り手側の金融商品を販売する側にも大きな問題があるように感じます。糸島さんがおっしゃる通り、業界全体の質の向上は不可欠です。
このような状況の中で、欧米では一般的なIFAが日本でも最近拡大してきていますが、我々IFAに糸島さんが期待することは何でしょうか。

◆ ファンドマネージャーからみてIFAに期待することは?

米国でも独立系の運用会社と、独立・中立的な立場からお客さまに資産運用のアドバイスをおこなうIFAと弊社の相性はとても良いと思っています。IFAの皆さまは、地域やお客さまにコミットして転勤がないスタイルですので、必然的に長期的な視点でのアドバイスが中心になると思います。弊社としても、お客さまの長期的な資産形成に貢献することをビジョンの一つとしていますので、お客様への思いは非常に近いと思っています。お客さまにおいては、独立系の運用会社と中立的なIFAは資産形成における車の両輪になっているのではないでしょうか。引き続き、お客さまの資産価値を維持・高めるために、連携が出来れば幸いです。

◆ 販売会社に期待することは?

今後、人口動態や社会の変化、ITの進展などにより金融サービスも大きく変化していくと考えています。そうした時代背景の中、証券会社でもなく銀行でもなく、中立的な立場でアドバイスをするIFAという選択肢が、世の中で定着してほしいですね。
その為には、転勤もなくワンストップでお客さまのニーズに応えられる特徴を生かして、長期的な信頼関係の構築と地域社会への貢献を実現できる会社になると素晴らしいと思います。そうなると、親子での二世代や三世代に渡ってお客さまとお付き合いの出来る会社になっていることでしょう。

◆ 最後に、弊社について一言お願いします。

前述しましたように、今後、金融サービスは大きく変化していくと考えています。そうした中、既存の大手証券を飛び出して、起業されたことは本当に素晴らしいと思います。福田社長から『この業界のオンリーワンではなく、新たなスタンダードに。』との想いから社名をつけられたと伺っています。御社が新しいスタンダードに向けてご尽力される中で、コモンズ投信並びに私も少しでもお役に立てれば幸いです。今後とも応援しています。

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「お客様の資産形成に貢献したい」
そのビジョンは、糸島さんも我々も同じです。
その想いは、金融業界で働く我々の原点です。
金融機関から独立・中立の立場だからこそ抱き続けることが出来るその想いは、決してきれいごとではい「お客様の立場に立ったコンサルティング」に繋がります。

今回のロングインタビューで、糸島さんのような独立系運用会社と、我々のような独立系アドバイザーであるIFAが両輪となって業界全体の質を向上させていくことが使命であると感じました。

糸島さん、ありがとうございました。

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第1回目のインタビューはこちら
凄腕ファンドマネージャー糸島孝俊氏に聞く「独立系運用会社であることのメリット」とは?

第2回目のインタビューはこちら
凄腕ファンドマネージャー糸島孝俊氏に聞く「ファンドマネージャー」の仕事とは?

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