節分天井彼岸底とは?相場の格言を検証する
「節分天井、彼岸底」
「節分天井、彼岸底」という格言はアノマリーのひとつです。
アノマリーとは、論理的な説明に基づくものではないが、よく当たるとされる経験則のことです。
では、この格言がどういったアノマリーかというと、節分(2月上旬)に相場が高値をつけて、彼岸(3月中旬)に安値をつけるというものです。
なぜそのような動きをするかというと、以下のような流れがあるからともいわれています。
【上昇局面・要因(1月初旬〜2月上旬)】
①例年、年末にかけて含み損を確定させて課税対象金額を少なくするための税金対策が行われる為、この時期に金融資産の売却が集中。
逆に1月はその売却資金や新規資金がマーケットに流入しやすく、これらの資金の登場で相場上昇に繋がりやすい傾向となる。
②アメリカでは多くの企業が1月に新しい期をスタートする。そこで1月は、株式市場に活発な資金流入が見られる。
③日本企業は2月頃には業績が出そろい、その決算内容によっては多額の資金が株式マーケットに流入する。
【下落局面・要因(2月中旬〜3月中旬)】
①3月決算を前に機関投資家などの利益確定売りがピークを迎える。
②3月決算の企業の中で、業績の悪い企業が、保有している株式を売って利益を出そうとする動きが活発化する。
③3月は決算期末の企業が多いので、新たに投資を始め、損失を出すリスクを抑えるために法人による新規の投資は減少傾向となる。
このような経緯で「節分天井、彼岸底」の相場が形成されていきます。
この格言の後には、3月末の配当を狙った投資家による買いが入り、再び上昇傾向に繋がるとされています。
ここまでの説明で「節分天井、彼岸底」が発生するメカニズムについてはご理解頂けたと思います。
ここからは本コラムのサブタイトルにもなっている、この格言の正否のついて、検証していきたいと思います。
結果によっては今後の投資戦略の参考にもなりうるのかもしれません。
以下の表は、過去10年の1月から3月末までの日経平均株価の終値を表したものです。
このように過去10年間の検証結果では「節分天井、彼岸底」は格言通りに株価は推移しないようです。
「節分天井、彼岸底」という格言はもともと、コメ相場から生まれたもので、秋口の新米が流通する時期に相場が上昇し、彼岸を迎える頃には価格が底をつくという傾向が多かったことを由来として誕生したアノマリーです。
『ポートフォリオ理論』をはじめ、先人の知恵として長い期間使用されている格言も今では通用しないものが多くなっています。
皆さんも自分が知っている格言が本当に正しいのか否か、一度検証されてみてはいかがでしょうか?