話題のボラティリティ・インデックスを運用に活かすには
大荒れの相場環境は定期的に訪れるものです。そうした中で、実際に投資家がどの程度、相場の変動を予測しているかを数値化したものが「変動性指数(ボラティリティ・インデックス)」です。
代表例は米国のS&P500種株価指数を対象とした「VIX(恐怖指数)」や、日経平均株価を対象に算出する「日経平均VI」、欧州では「VSTOXX(欧州恐怖指数)」があります。
日経VIは、市場が開いている間は常に価格が開示されています。指数の算出方法は複雑ですが、前提となっている考え方は、「オプション市場で取引されている日経225の価格は、投資家の将来の日経平均の予測値を反映している」というものです。
オプション市場で、1か月後の日経平均株価を予想して取引されている価格と、2か月後の日経平均株価を予想して取引されている価格とは異なってきます。期間ごとに価格差が大きくなるほど、投資家は「今後の変動が大きくなる」と予測しているということになります。
一般的に、相場が下落する局面には日経VIは高まり、相場が上昇を続ける局面では日経VIは下がるといわれています。
ボラティリティ・インデックスにおいて目安となる数値は、
10ポイント台・・・・安定期や相場上昇期
20ポイント台・・・・警戒ゾーン
30ポイント台・・・・悲観一色
40ポイント台・・・・パニック状態
といわれています。しかし、歴史に残るような相場の変動期には更に高い数値を記録しています。
2008年 リーマンショック 92.03
2011年 東日本大震災 69.88
今年も8月に、原油価格が下落し、中国が人民元を切り下げた際の混乱した局面では一時47・01まで急騰しています。
この20や30という数値にはどのような意味があるかというと、例えば日経VIが20という状態であれば「今後1か月間の変動幅は年率で20%、1営業日あたり約1%の変動を市場が期待している」ということです。日経平均20,000円なら、明日の日経は約68%の可能性で19,800円~20,200円に収まると想定しているということになります。
では、実際の運用例にはどのようなものがあるのか?
運用例としては、日経VI(2035)は連動指標を日経平均VI先物指数としており、株式と同じように東証で買付が可能です。しかし、日経オプションの価格を参考値にしているため、価格変動は日経平均と比べて圧倒的に大きくなっていますので、ご注意ください。
本稿では、日経VIそのものを投資対象とするのではなく、日経VIをいかに投資に役立てるかという視点で運用例を考えていきたいと思います。
①現金ポジションを持つ
相場が乱高下する中で、敢えて投資をするのではなく、時機を待つということも必要です。一日投資した日が違うだけで(短期投資では)随分違いが出るのです。最近は投資信託でも現金ポジションを持ち、良いパフォーマンスを出す商品が複数あります。株も投資信託も、全ての運用商品は相場の悪い時に勝負をしていたら損をするのです。
詳細→なぜあなたの投信選びは失敗するのか
②小型株投資に活かす
小型株の中には流動性が低い銘柄も多く、相場の混乱時には思わぬ安値で購入出来ることも少なくありません。また普段は、まとまった株数を買おうとしても、売り注文が少なくて買えないというケースもあります。ボラティリティが高まる時期には、普段より売り注文も増えることが多く、安値で買い付けるチャンスとなります。ですからボラティリティの高い時には小型株の良い買い時となるでしょう。
③混乱期に複数回に分けて購入する
市場が混乱している状況で、安いと思って買っても更に値下がりすることはよくあります。ですから自分の中でルールを決めて何回かに分散して購入していくことで、後から見れば「良い時期に投資出来た」という結果が得られるのではないでしょうか。
④相場急落後の反騰局面を狙う目安にする
多くの場合、下落相場は次のような経緯をたどります。
・良好な相場環境(日経VI 10台)
↓
・悪材料が発覚する(日経VI 20台~30台に上昇)
↓
・不透明感を嫌気して、最悪のケースを織り込む形で株価が下落する(日経VI 30台~、40台以上の場合も)
↓
・相場下落の原因や、今後の対応策が示される (悪材料出尽くし)
↓
・(多くの場合は当初想定した最悪のケースに至らないため)下げすぎた株価が反騰する(日経VI20台に下落)
つまり、行き過ぎた悲観シナリオからの反発局面は投資のチャンスといえます。過去の例からは、日経VIが30を超えていた状態から20程度まで低下した後には、しばらく上昇相場が続くことが多いです。(ただし、日経VIが40を超えるようなパニックの後には、30前後まで下落したら相場にエントリーしてもいいでしょう)
近年は相場の変動が激しく、日経VIが30を超える局面が年に2回程度見られます。その時に市場のパニックの度合いを可視化できるボラティリティ・インデックスを運用に活用してはいかがでしょうか。
(本ホームページに掲載されている事項は、投資に関する情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。)