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ヘッジファンドから考える安定運用

2015/10/16

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1、ヘッジファンドってなんでしょう。

ヘッジファンドとは、現在では「特定の投資家から任された資金を運用して、利益を出すプロ集団」という意味で使われています。ヘッジファンドと言っても色々なタイプがあります。

例えば、「優良株を見つけて長期間保有する」という王道スタイルがあります。著名投資家ジョージ・ソロスは、「世界経済の先行きを想定して、株でも通貨でも儲かりそうなものは買う(もしくは空売り)する」という投資手法です。90年代に話題となり、その後破綻したヘッジファンド「LTCM」に代表されるのは裁定取引タイプ。そして現在は、コンピュータープログラムでトレンドフォローするCTAタイプの存在感が近年一段と増してきています。

ヘッジとは「危険を回避する」という意味ですので、もともとは、危険を回避する投資手法を取り入れながら運用を行うプロの投資家、という意味だったのです。ですからヘッジの手段を取り入れていないファンドは、ヘッジファンドではないのかもしれませんが、現在ではそのような厳密な区分はされていないようです。

・ヘッジファンドの起源とは?
今でこそ投資対象や手法が多様化されているヘッジファンドですが、もともと誰がどのような手法で始めたのでしょうか?ヘッジファンドの起源は1949年アメリカ人の社会学者アルフレッド・ジョーンズが創設したファンドだと言われています。このファンドには、それまでには一般的でなかった特徴的な投資手法がありました。安い株を買って高くなったら売る、という大原則に加えて、「空売り」と「レバレッジ」を加えたことです。「空売り」は下がるほど儲かる取引、「レバレッジ」は資金を借り入れて多額の取引をすることで、より利益を多く得ようとする取引です。今回はヘッジと空売りに注目したいと思います。

・ヘッジと空売り
「空売り」というと投機的なイメージを持つかもしれませんが、そんなことはありません。空売りを使うことで安定的な運用が可能となるからです。普通の株取引は、株価が上がれば利益になります。空売りの取引は株価が下がれば利益になります。(例えば、最初に100円で空売りした株が、その後値下がりして80円で決済(買戻し)すれば20円の儲けになります。順序が逆になってますが、80円で買ったものを100円で売って20円儲けるのと同じです。)

最近運用を始めたAさんが株式を買おうとして、一生懸命銘柄の研究をしたとしましょう。そしてAさんはトヨタ自動車の株が、成長性があって割安だ、という結論に至ったとします。そしていざトヨタ自動車の株を買ってみたところ、チャイナショックがあり、日経平均もトヨタ自動車の株も全部下がってしまった・・・。これはあり得ることです。

株式市場全体が下がれば、大抵の個別銘柄の株価は下落します。トヨタ自動車のような大型株ならなおさらです。ですから、全体の影響を受けにくい小型株を購入する、というのも一つの手段でしょう。しかしせっかく研究したのだからトヨタ自動車の株を購入したい、という人もいるでしょうし、機関投資家のように何百億円分も株を購入しないといけないなら、小型株をそんなに大量に購入するわけにもいきません。そうした時には空売りを使うのも一つの手段です。

例えば、トヨタ自動車の株を買って、同時に日経平均先物を空売りします。もし本当にトヨタ自動車の株価が割安であれば、その後の損益はどうなるでしょうか。相場が上昇する時には、日経平均先物の価格は上昇するため、空売りしている分は損をします(例えばマイナス1%としましょう)。しかしトヨタ自動車の株価も上昇します。そして、トヨタ自動車の株価は割安なのですから日経平均先物より大きく上昇します(例えば+1.5%)。すると差引0.5%の利益となります。

相場が下落したときには日経平均先物は下落するため、空売りしている分は利益になります(例えば+1%)。それに対してトヨタ自動車の株価はもともと割安なため、下落幅は日経平均先物よりも小幅になります(例えば-0・5%)すると差引0・5%の利益になります。

2、ヘッジファンドの真価は高い運用成果ではなく、高いディフェンス力ではないでしょうか?

このように取引にヘッジ(狙いと逆になったときに利益になる取引)をしながら、「相場に左右されずに利益を上げる運用」をするのがヘッジファンドです。ヘッジファンドは一か八かの投機集団ではなく、緻密な分析を行い、企業の本当の価値を測定します。さらに、市場が想定外の動きをした時の備えもしながら投資をしているのです。
プラスの運用成果に焦点を当てた場合は、前述したジョージ・ソロスのファンドは69年の設立当初(運用資産600万ドル)から98年(運用資産220億ドル)までの30年間の運用成果は、年平均32%にも達しています。

逆に近年の市場急落局面でのパフォーマンスに焦点を当てましょう。(以下米ドルベースの騰落率)
下落局面①
ギリシャ債務危機(10年4月末~10年6月末)
MSCI世界株価式-12.3%
ヘッジファンド平均-3.5%
下落局面②
欧州ソブリン危機(11年4月末~11年9月末)
MSCI世界株式-20.5%
ヘッジファンド平均-7.2%
下落局面③
バーナンキショック時(13年4月末~13年6月末)
MSCI世界株式-4.1%
ヘッジファンド平均-0.8%

出所)ヘッジファンドリサーチ

となり、運用のプロが、下がらないことを重視していることがわかると思います。

3、ヘッジファンドにも苦戦する投資環境があります。

ヘッジファンドの資産規模は拡大を続けており、2015年末には3兆ドルに達すると言われています。彼らにスランプなど無いと思われる方も多いかもしれませんが、実は最近は苦労しているようなのです。

前述のとおり、ヘッジファンドは下落局面でマイナスをなるべく抑え、安定的に収益を稼ぎ出します。しかし逆に、安定している相場状況が長く続くと、投資家の平均的な運用成果に対してアウトパフォームする(上回る)ことが難しくなります。
2014年9月に米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員年金基金(カルパース)がヘッジファンド投資を停止すると発表し、ヘッジファンド業界に大きな影響を与えました。ヘッジファンド投資の停止に至った理由は複数あるようですが、最大の理由は、ヘッジファンドに支払う手数料に対して、運用成果が平凡すぎるというものでした。

リーマンショック以降、複数回の大規模金融緩和により各国の市場は長期にわたり上昇を続けてきました。通常、株式相場では「20%下落すると弱気相場入り」と言われますが、米国株式市場はリーマン以降何年も(20%の調整をすることなく)順調に上昇を続けてきました。カルパースの1年間の目標リターン7.5%に対して、2014年6月までの1年間の運用成績は12.5%になっており、相場が安定して十分なリターンが得られる中、わざわざ高めの手数料を払う理由がなくなったのでしょう。

ヘッジファンド業界では機関投資家から要請を受け入れ、過度な秘密主義を貫くのではなく、運用報告の開示をし、手数料を引き下げてきました。しかし、これほどの長期間、強気相場が継続する中で、多額の資金を(下落に備えるヘッジをしながら)機動的に動かしながら、市場平均を上回る投資をすることは難しかったようです。
彼らもいいことばかりではなく、難しい局面があるのです。

4、米国利上げ?中国経済減速?再びヘッジファンドにチャンスが訪れるのか??

2015年10月現在、世界的にマーケットの不確実性が増しています。原因は、間近に迫っていると言われている米国の利上げと、中国をはじめとする新興国の景気減速懸念と言われております。「2015年は8月まではずいぶん含み益があったが、9月で一気にマイナスになってしまった」という投資家の方も多いのではないでしょうか。危機は突然訪れますので、運用の難しさを再認識されられました。
今後も不安定な相場が続くのか、それとも引き続き安定相場に戻るのかは、まだ分かりません。しかし「分からない相場」に戻るのであれば、再びヘッジファンドが注目されるようになるのではないでしょうか。相場の「思わぬ下落局面」に対応できるように、戦略を練る必要が出てくるのであれば、ヘッジファンドの戦略が有効になるのは間違いないでしょう。

今までは銀行や年金、そしてごく一部の超富裕層からしか資金を集めていなかったヘッジファンドですが、現在は投資信託を通じて、個人投資家がヘッジファンドの戦略を活用出来るようになっています。
ヘッジファンドは、戦略も投資対象も多種多様です。各ファンドの戦略を吟味すれば安定的なリターンと、下落相場への備えが出来るようになるのではないでしょうか。

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