人生100年時代「長生きのリスク」を検証
長生きをすることがリスクとなる。
そんな時代がもうすぐやってくるということはご存知でしょうか。
長生きのリスクとは、少子高齢化が進んでいくことにより、社会福祉の制度がどんどん脆弱になっていく一方で高齢者の割合は増えていくので、老後に政府からの十分な支援が受けられずに長く生きるほど財政的に困窮になりやすいということです。
平成28年の厚生労働省のデータによると、男性の平均寿命は80.98歳。女性は87.14歳となっています。また、60歳まで生きた男性の平均余命は23.67年で女性の場合は28.91年です。そして65歳まで生きる人の割合は男性の場合89.1%、女性の場合は 94.3%となっています。
男女ともにほとんどの割合で65歳までは生きるということです。
60歳まで会社勤めをした人は、年金支給開始年齢である65歳までどのようにやりくりしようかと悩んでいる人が多いようです。体力的にもかなり厳しくなってきている中、以前と同じようにバリバリ働くというようなことは難しいですし、かといって5年間無収入で過ごすというのは余りにも心もとありません。このように、定年という概念が曖昧になってきており、セカンドライフをどのように設計したらよいのかということで悩んでいる高齢者の方は非常に多いのです。
何年生きるかわからないという不確実性
また、長生きのリスクとして考えられるのは、実際に自分の老後が何年なのかが分からないということです。
自分がいつ死ぬのかということは誰にもわからないので、「何歳まで生きるから、これくらいお金が必要」という計算をすることができません。人生の中でこれほど不確定な要素はほかにありません。私たちはこんな不確定な要素を踏まえながら老後の計画を立てなければならないのです。
老後の生活にかかる費用は
では、老後の生活にはいくらくらいのお金が必要なのでしょうか。
まずは1カ月の生活費にどれくらい必要なのかを考えてみましょう。
倹約すれば月12~13万円程度に抑えることできるかもしれません。しかし、趣味や旅行などにお金を使う人の場合は、月22~23万円程度の出費を覚悟しておいたほうがよいでしょう。余裕を持った生活であれば月35万円前後必要というデータもあります。
また、人間はなかなか生活水準を下げられないといわれます。ですから現役時代に所得の多かった人は引退後も支出を多めに見積もる必要があります。
もちろんこれらは健康で普通に生活していくうえで必要な出費です。もし病気やけがなどをして治療費がかかってしまう場合には、さらなる出費がかさむことを考えておいたほうがよいでしょう。
今後減っていく年金受給額
少子高齢化の影響により、将来的に公的年金制度が改正されることはまず間違いありません。
年金受給額の減少や年金支給開始年齢の引き上げなど、これから年金を受けとる人達にとっては痛みを伴う改革になることでしょう。
また、一般的に、昭和40年代以降に生まれた人は今までに支払った年金保険料の額以上の年金を受け取ることはできないと言われています。
公的年金制度のみに頼らずに、個人年金保険制度を上手く活用して老後に備える必要があります。今回は個人で備えることができる年金制度をいくつか紹介いたします。
個人年金保険制度
個人年金保険は年金を受け取れる期間で終身個人年金保険と確定年金保険に分かれており、他に積立利率変動型個人年金保険や無選択型個人年金保険などがあります。
【終身個人年金保険】
年金受給開始年齢から死亡するまで年金を受け取り続けることができます。
終身年金に加盟する人は、年金受給開始後一定期間は受給者本人が死亡しても遺族が年金を受けとることができる保証期間付終身年金を選択するのが一般的です。
【確定年金】
将来の受取額が確定しており、本人の死亡にかかわらず一定期間(5年・10年・15年)年金の受け取りが可能なもののことです。
【積立利率変動型個人年金】
積み立てている年金の積み立て利率が、市中金利(中央銀行以外の一般の銀行が適用している貸し出し金利)に連動するタイプの年金保険制度です。積立利率には最低保証がついているので、元本割れをすることはありません。
これから日本の景気がよくなると思う方は積み立て型にするとよいでしょう。しかし、人口が減っていく中でなかなか景気が上向いていく可能性は低いかもしれません。
【無選択型個人年金】
持病があっても無告知で加入することができます。しかし保険料払い込み免除が適用されません。よって、もし将来不慮の事故などに遭って働けなくなったときでも、保険料を継続して払い続けなければなりません。
その代わり、保険料は比較的安く設定されています。こちらは持病などがあって審査を通るのが厳しいという方におすすめです。
※個人年金制度は会社ごとに細かな制度が変わってくるので、プラン内容は必ず漏れが無いように確認しておきましょう。
長生きをリスクにせず、楽しい老後を過ごすためには、金融リテラシーが欠かせません。
今回ご紹介した個人年金制度も含め、今のうちにどのような備えができるのかということについて勉強することをお勧めします。