県民性比較 お金持ちの多い都道府県は?
地域によって価値観や文化が違うとはよく言われるものですが、資産に関しても地域によって違いはあるのでしょうか?本稿では貯蓄や投資の上手な県民を探してみることにしました。
将来に向けての資産づくりには、必要になるときに備えてコツコツお金を貯める「貯蓄」と、今あるお金を元手に将来の利益につなげる「投資」に、バランス良く取り組むことが大切です。
総務省の公表している全国の家計調査によれば、2016年の二人以上の世帯における貯蓄現在高は、全国で平均して1,820万円。そのうち株式や債券を含む、有価証券の占める割合は14.6%、およそ265万円となっています。
こうした家計のなかに占める「貯蓄」と「投資」の割合を、都道府県別に詳しく見ていくと、それぞれの県民性が伺えるような、興味深い差が浮かび上がります。
そこで今回は、総務省統計局の「社会生活統計指標-都道府県の指標-(2017年)」から、収入を堅実に貯蓄している「貯め上手な都道府県」と、収入を賢く運用している「投資上手な都道府県」について調査しました。
「貯め上手な都道府県」のランキングは?
都道府県別の平均的な貯蓄額のランキングでは、例年平均年収が高い三大都市圏が上位を占めています。
しかし、勤労者世帯が収入の中からどれくらい貯金しているかを示す「平均貯蓄率」を見てみると、意外な結果が見えてきます。
【「平均貯蓄率」が高い都道府県ランキング】
1位… 福井県(32.5%)
2位… 大阪府(28.9%)
3位… 愛知県(28.4%)
4位… 佐賀県(27.9%)
5位… 島根県(25.3%)
※総務省統計局「社会生活統計指標-都道府県の指標-(2017)」より
【「平均貯蓄率」が低い都道府県ランキング】
47位… 長崎県(-1.2%)
46位… 山形県(10.1%)
45位… 神奈川県(11.4%)
44位… 京都府(11.7%)
43位… 宮城県(11.8%)
1世帯あたりの貯蓄額では常にランキングの上位を占める神奈川県や京都府も、実際の収入の中から貯金に回している割合で見ると、意外なまでに低い数値を示しています。
そして、2位の大阪府は2010年の前回調査では全国20位、また3位の愛知県も前回30位と、三大都市圏の貯蓄率は調査年度によって大きく変動するのが大きな特徴です。
しかし、1位の福井県は、1995年の調査から安定してベスト10入りを果たしている「貯蓄県」。今回5位の島根県、11位の富山県と福島県も、同じくランキング上位の常連です。
こうした「貯蓄上位な県」に共通するのは、持ち家率や世帯あたりの平均人数です。
共働き世帯の割合も、全国1位の福井県をはじめ、3位の富山、5位の島根、8位の石川といずれも上位を占めています。
2世帯、3世帯で暮らしながら、家族みんなで働いて収入の多くを貯金している、堅実な県民性が浮かび上がってきます。
「投資上手な都道府県」のランキングは?
家計の資産形成には、コツコツと貯金する「貯める力」も重要ですが、元手を活用して「お金を増やす」資産運用の力も大切です。
それでは、投資に積極的な都道府県といえば、いったいどこなのでしょうか?
同じく総務省の最新調査データから、貯蓄のなかでも株式・国債・投資信託など有価証券の占める割合が高い、「投資に積極的な県」のランキングを調査しました。(※全国平均…10.9%)
【「有価証券現在高割合」が高い都道府県ランキング】
1位 東京都 21.9%
2位 神奈川県 16.9%
3位 愛知県 16.4%
4位 千葉県 15.7%
5位 兵庫県 15.4%
反対に、貯蓄の中で有価証券の占める割合の低い、投資に消極的な世帯の多い都道府県のランキング見ていきましょう。
【「有価証券現在高割合」が低い都道府県ランキング】
47位 鹿児島県 5.4%
46位 岩手県 5.6%
45位 北海道 6.2%
44位 青森県 6.6%
43位 福島県 7%
ランキングを地方別にみると、「投資に積極的な県」は関東・中部・近畿の三大都市圏にほぼ集中するのに対し、北海道・東北・北陸・九州の各地方では、ほとんどの県が全国平均を下回る結果に。
このデータは、ほぼ都道府県別の平均年収や、世帯別の貯蓄残高とも重なるため、収入や貯蓄高が多いほど資産運用に回す余裕がある、と見ることもできます。
家計の統計から浮かび上がる「資産づくりの地域性」
例外的な動きを見せるのが、北陸地方の富山、福井、石川の3県です。
この北陸の3県は、1人あたりの平均年収こそ全国でも平均的ではありますが、先に挙げた世帯別の貯蓄率、そして勤労者世帯の可処分所得の額では全国でもトップクラスの「お金持ち県」。
しかし有価証券現在高で見ると、12.6%の富山県がわずかに全国平均を上回る程度で、福井件と石川県は平均以下。決して高い数値とはいえません。
家族みんなで貯蓄して資産を形成する北陸地方と、投資にも積極的に取り組くみ資産運用している三大都市圏。
都道府県別の家計データから、同じ資産づくりでも対照的な2つの地域性が浮かび上がってきます。