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欧米経済の歩みとユーロ相場の動向

2017/08/18

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通貨統合から20年目 欧米経済の歩みとユーロ相場の動向

2017年仏マクロン大統領誕生や欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁が金融緩和縮小を視野に入れた発言をしたためユーロが大幅に上昇してきています。今回のユーロ復活は本物か?2018年ユーロは通貨統合から20年目の節目を迎えます。これまでのユーロの歩みを検証します。

欧州の経済・通貨統合による平和と繁栄を支えてきたユーロ。現在欧州の25ヶ国で流通し、世界各国の政府や中央銀行が、対外支払準備として保有している準備通貨としては、USドルに次いで世界2位の取引量があります。

今回は、ユーロ発足前から、リーマンショック、ギリシャ・ショックを乗り越え、そしてイギリスが国民投票によりEU離脱(Brexit)を表明してから現在に至るまでの、欧州経済の歩みとユーロ相場の変遷について、駆け足でご紹介します。

①2017年ユーロは急反発チャート&ユーロ圏利回り
2017年春以降ユーロは急上昇

新しいヨーロッパの枠組みを目指して…ユーロ発足

ユーロはヨーロッパの複数の国で用いられている共通通貨です。
誕生のきっかけには、ヨーロッパ戦禍の歴史があるといわれています。世界大戦の舞台となったヨーロッパが三度目の戦場となることがないよう、調和ある共同体的な枠組みの確立を目指して発足しました。

経済的な側面としては、1950年代後半のヨーロッパが人、モノ、金、サービスを自由に提供できる統一された経済環境を築こうとしていた背景が挙げられます。

ユーロが流通する以前のヨーロッパでは、1979年から1998年にかけて『ECU』という通貨が使われていました。正式名称はEuropean Currency Unit。通称「エキュ」と呼ばれるこの通貨は、ユーロが誕生するまで加盟国間の通貨レートを固定する役割を果たしていました。

実際、ヨーロッパでは国ごとによって通貨が異なっており、国境をまたぐ商取引となると滞りが生じる懸念がありました。その打開策として、経済通貨同盟(EMU)を発足させ、欧州単一の通貨を作ることを目指したのです。

ユーロは1999年に、まずは帳簿上の決済通貨としてEU加盟国11か国で導入がスタートし、2002年に実際の通貨として紙幣と通貨が流通しはじめました。ユーロ紙幣のデザインは統一されていますが、印字された番号の先頭の文字で、どの国で印刷された紙幣か判別できるようになっています。

ECU(エキュ)発足以降の為替相場は、第二次石油ショックや原油価格の引き上げに伴い、1979年には1米ドル=260円台へと急激に値を下げた後、1980年に210円台まで回復するなど激しい起伏を見せます。
1985年のプラザ合意では1米ドル=150円台の円高を示し、急激なドル安への措置として、1米ドル=153円50銭とする水準が設けられますが、2年後の1987年にはニューヨーク株式市場が大暴落。更にその翌年は120円台まで円高が進みます。
円は1990年に160円台にまで水準を戻しますが、その後は再び円高傾向が強まり、1995年に1米ドル=79円75銭という史上最高値をつけました。

こうした歴史的な変遷を経て1999年1月に決済用仮想通貨として登場したユーロは、外国為替市場にて、1ユーロ1.17ドル台、132円55銭で取引をスタート。
その後、ユーロの相場はUSドルに対して値下げ傾向を見せ、2000年の10月には、史上最安値の1ユーロ0.82ドル台を示しました。

②ユーロドル ユーロ円の長期チャート

史上最大の経済破綻…リーマンショック

順風満帆とは言い難い道のりを経てきたユーロですが、2002年~2004年にかけて、少しずつ値の動きを取り戻していきます。2002年7月には1ユーロ1ドル台を示し、2004年12月は当時の史上最高値となる1ユーロ1.36ドル台をつけるまでに至りました。

当時、一部には1ユーロ=1.4~1.6ドル台にまで達すると見る向きもありましたが、結局は連邦準備制度の政策金利引き上げから値下げ傾向を示し、2005年11月に1ユーロ=1.16ドル台の最安値をつけました。アメリカ経済は2006年から後退の兆しを見せ、ユーロの回復傾向が継続されることはありませんでした。

そして2008年には、世界市場を揺るがす大きな事件が起こりました。アメリカ経済だけでなく、世界経済の危機と言われた「リーマンショック」です。

信用不安を抱えていたアメリカ住宅市場は、2007年から低迷傾向が顕著になりました。これを受けて、連邦準備制度は政策金利の引き下げを決定し、ユーロは相対的に値を上げます。
しかしその甲斐なく、2008年に多額の損失を抱えていた米投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産。事実上の経営破たんとなりました。負債総額は約6,000億ドル(約64兆円)。超大規模となったこの倒産は、ユーロ相場にも大きな影を落としました。

2008年7月、欧州中央銀行の基準相場は、史上最高値の1ユーロ=1.59ドル台をつけ、市場では基準相場を上回る 1ユーロ=1.60ドル台で取引されています。

リーマンショックによるUSドルの下落によって、ほんの一時期ではありますが、ユーロ圏内の総生産はアメリカ合衆国の国内総生産を上回りました。しかしその後は衰退傾向を見せています。

ギリシャ国債の暴落…ギリシャ・ショック

2009年にはギリシャの政権交代による財政赤字の隠蔽が発覚。ユーロ圏全体だけでなく、世界経済を巻き込む大混乱を引き起こしました。

当初はGDPの4%程度とされていた財政赤字が、実際は13%であることが判明すると、格付け会社はギリシャ国債の格付けを相次いで格下げ。デフォルト(債務不履行)の懸念からギリシャ国債が暴落しました。

③ギリシャ10年債利回りチャート
2010年以降ギリシャの国債利回りは急上昇(債券価格は急低下)した

翌年4月、欧州連合統計局によってギリシャの財政赤字が13.6%であることが正式に公表されると、格付け会社はさらに格下げを続行。これに重ねて当時のECB(欧州中央銀行)総裁による「ギリシャ国債の買い上げをしない」との発言から一気に失望が広がり、ニューヨーク市場では大量の売り注文となりました。

株価は過去最大の下落幅998ドルを記録。為替・株式の両相場は大混乱の様相を呈しました。

一方、東京市場でもギリシャ・ショックの影響を直に受ける形となり、ユーロが大幅に下落。対ドルで一時1ユーロ=1.09ドル台、1ユーロ=133円台と、円高・ユーロ安の水準となりました。

移民問題?ポピュリズム政党の台頭?…イギリスのBrexit(脱EU)と今後の展望

2016年6月にはまたしても世界市場を揺るがす出来事が起こりました。イギリスが国民投票の結果、EU離脱(Brexit)を表明したのです。
離脱の理由としては、移民・難民の受け入れ問題が挙げられています。移民・難民が増えると国民が負担する税金も増える、また失業問題の深刻化にもつながる、というもの。

④欧州各国の失業率

離脱表明を受けて、市場ではポンドが急落。ユーロも下落するなど、為替相場は急変動しました。1ユーロ=1.12ドル台を示し、日経平均株価は一時1万4800円台まで売り込まれ、ドル・円が100円を割り込むなど、一時は99円台まで急落しました。

財政的負担だけでなく、自国文化の保護や治安維持の観点からも、イギリスはEUからの離脱を選択し、これ以上の移民・難民の受け入れを阻止したい、という考えです。
しかし、移民・難民を理由とする考え方とは異なった見方もあります。イギリス労働者階級の不満解決を、税制改革や富の再分配で図るのではなく、移民や難民、EUの離脱へと矛先をすり替えた、というものです。

近年、台頭が目覚ましいといわれるポピュリズムを煽る政党に人々が影響された結果、移民・難民がいなくなれば生活が楽になる、EUを離脱すれば解決する、と信じて票を投じ、イギリスはEU離脱の道を選んだ、と見る向きもあります。

一時は2008年のリーマンショックの再来かとの憶測も飛んだBrexit騒動でしたが、多くの金融関係者、識者は冷静です。今後ユーロをはじめ、市場に直接大きな影響を与えることはないだろう、との見解を示しています。

イギリスが実際にEUから正式離脱するのは2019年といわれていますが、周辺諸国からも離脱を問う国民投票を求める動きが出てきてもおかしくはありません。EU離脱により、瞬間的にユーロが売られることになってもそれは短期的なもの、と深刻な見方はされていません。しかし、今後2年間にわたるヨーロッパの情勢次第では大きな政治リスクに繋がることも予測され、継続して注視したいところです。

政治問題・南北格差 構造問題は続いているが・・

自国第一主義のポピュリズム、移民問題、テロ、銀行の不良債権問題などユーロが克服しなければならない課題は未だ多いのが現状です。また、ドイツは景気拡大が続き、失業率も3.9%と東西ドイツ統一以来の最低水準でほぼ完全雇用状態であるのに対して、南欧は低水準のGDP成長率、高い失業率に悩んでいます。ユーロ内の国々で景況感が違う中で欧州中央銀行は(ECB)は金融政策を決定しなければいけないという難易度の高い問題はユーロ発足時からの古くて新しい課題です。

しかし不安要素はもちろん多い中、ポジティブなニュースも増え始めています。
2016年6月のブレグジット以降欧州の選挙ではポピュリズム政党の躍進が抑えられている状態に出来ています。
またECBが2017年6月発表した経済見通しでは2017~2019年のユーロ圏の経済見通しをそろって上方修正しました。

国家を超えて経済圏を支えあうユーロ。通貨統合から20年目を迎える2018年に向けて、各国のさらなる前向きな対応を期待したいところですね。(私見ですがアジアの通貨統合って絶対無理だと思いますので・・)

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