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【徹底解説】GDP(国内総生産)と人口構造、株価の関係

2017/01/08

現在、日本では急速に少子高齢化が進行し、経済的な成長率の低下につながる中長期的なリスクに大きな関心が寄せられています。

2015年、第一次ベビーブーム世代、1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれた、いわゆる団塊の世代が65歳以上となり、高齢者人口は3,392万人、総人口に占める割合(高齢化率)でみると26.7%となりました。

国内の総人口から見ても、国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」の推計によれば、2040年(平成52年)には、およそ1億人まで減少することが予測されています。

こうした人口動向の変化が経済に与える影響については、これまでも数多くの研究がなされました。もし、人口とGDP(国内総生産)や株価に有意な相関関係が認められるのであれば、人口の推移はこれからの経済成長に、どのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、この人口の変化が世界経済に与えるインパクトについて、国民経済の指標となるGDP(国内総生産)、そして株価との関係から調査しました。

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GDPと株価に相関関係はあるか

人口と経済の関連について考える上で、まずはGDP(国民総生産)と株価の相関関係について見ていきましょう。

とくに、長く株式投資を行っている方、特に市場の平均価格が大きく影響するインデックス投資をメインにされている方であれば、ある国のGDP成長率と、平均株価(または株式時価総額)の相関関係については、一度は調べたことがあるのではないでしょうか。

しかし、このGDPと株価の相関関係に関しては、アナリストや研究機関など専門家の間でも、大きく見解の別れるところです。実際、実質GDP、あるいは名目GDPと日経平均株価の推移をグラフにして単純に比較した場合、またOECD諸国全体で見た場合も、有意といえるほど直接的な相関関係は認められません。

とはいえ、株価に大きな影響を与えるのは、市場経済、業界の景気動向、為替相場、政治情勢、金利など、外部から影響を与えるマクロ要因と、企業自体の経営や財務、ブランド力や商品力など個別の経営状況を反映したミクロ要因の2つです。

個別銘柄については間接的な影響に留まるとはいえ、為替(円安、円高)やNYダウ、そしてアジア各国の株価などマクロ要因からの影響を強く受ける日経平均株価やTOPIXで見た場合は、一国の経済状況を図る大きな指標となるGDP成長率が、長期的な株価動向に及ぼす影響自体は否定できないでしょう。

人口構造の変化がGDP(国内総生産)に与える影響

次に、人口動向がGDP(国内総生産)に与える影響について考えます。

GDPは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額です。つまり単純に言えば、労働生産性が同じであれば総人口が多い国ほど、GDPも高くなります。

この労働生産性を測る基準としてよく引用されるのが、各国のGDPを人口で割った、IMF統計に基づく名目GDP(USドル)で算出された国民一人当たりGDPです。

●人口が多い国の中で日本は1人当たりGDPが高い
2015年度の日本の順位は、世界で26位。この数字を日本の労働生産性の低さと見ることもできますが、1位のルクセンブルクをはじめ、スイス、ノルウェー、カタール、シンガポールなど、1人当りGDP上位国家の大半は、金融や情報産業、あるいは観光や資源など、特定の部門に大きく依存した産業構造が可能となる人口1000万人未満の国家で占められているため、単純な比較はできません。

むしろ全体で見た場合、人口が1億を超えながら、国民1人当たりのGDP、また新たな経済成長の指標として着目されている国民1人当たりGNI(国民総所得)でも上位につけている、米国と日本の2ヶ国が例外ともいえます。

●人口減少よりも少子高齢化による人口構造の変化が問題
日本の人口推移と労働生産性、つまり1人当たりGDPとの相関において、長期にわたる懸念材料として考えられているのは、人口の減少以上に、少子高齢化による年齢別人口構造の変化です。

2030年には、実に日本の総人口の1/3近くが、65歳以上の高齢者になると予測されています。今後、10年、20年の間に、国内の労働生産性が大幅に上昇するような産業構造の変化が起きるとは考えにくく、15~64歳の働き手、すなわち生産年齢人口の減少が、1人当たりGDPの低下を招く可能性は高いといえるでしょう。

年齢別人口構造の変化から考える、中長期的な株価への影響

●生産年齢人口の多寡が株価に影響する
こうした年齢別人口構造の変化は、株価に対しては大きな影響を与えるひとつの要因となります。

世界の有望市場を特定する上で、有益な指標となりうるのが、経済成長を後押しする生産年齢人口が多い状態、いわゆる「人口ボーナス期」です。

国連が公表している「世界人口見通し(WWP)」は、世界の年齢別人口を2100年までの長期にわたり、1年単位で予測しています。

中長期的な有望市場を特定する上では、こうした一般の投資家でも高い精度で入手できる、各国の人口構造に関する予測情報を検証していくことは大変重要になります。

●米国・中国はしばらく「人口ボーナス期」にある
例えば日本の株価に大きな影響を持つ米国で見ると、先進国の中では高齢化の進展が緩やかで若い世代が多く、現在3億強の人口も、2100年には4.6億人まで継続して増加していくことが予測されています。とくに長期投資をメインとして行う方には視野にいれるべき、魅力的な市場です。

また、13億を超える人口を武器として、世界2位のGDPまで急速な経済発展を遂げてきた中国は、2034年まで「人口ボーナス期」が継続し、その後「人口オーナス期(生産年齢人口以外の子ども、高齢者が多くなる状態)」へ突入することが予測されています。

この巨大市場の人口構造の変化より、長期的に見た場合にシニア・高齢者向け商品への需要増加を見込んだ期待を寄せる見方もできます。

●人口構造が与える影響を視野に入れて有望市場を探す
国連が2015年に発表した世界人口予測によれば、現在の世界人口・約73億年から、2050年には97億人、2100年には112億人まで増加すると試算されています。

日本の人口が減少を続ける一方、世界的に見れば人口は増加しています。人口とGDP、株価の相関関係から資産の運用について考える上では、高齢化や人口減少が日本の経済的な成長力を低下させるリスクにばかり気を取られず、人口構造の変化が世界各国の経済成長にあたえるポジティブな影響も視野に入れながら将来の有望市場を開拓し、中長期的な視点で海外売上比率の高い銘柄を狙うことも大切になるでしょう。

インデックス運用(パッシブ運用)に関する注意点

近年はインデックス投資を行う個人投資家が増加しています。しかし理由を深く理解せず「インデックスが有効と聞いたから」というだけで投資をしていると、期待したような投資成果が得られない可能性があります。

まずインデックス運用の前提はその国の経済成長を信じるかどうかです。経済が拡大するからインデックス投資は実を結ぶのです。経済がドンドン縮小していく国の平均株価を狙っても勝率は低くなります。そういう意味では日本株式インデックスにこだわるより世界株式インデックスや新興国株式インデックスの方が長期的に有望といえるのではないでしょうか。

また債券インデックス運用にも注意が必要です。世界的に低金利(国によってはマイナス金利)の時代に債券インデックスに投資しても得られる期待リターンはほとんどないと言っていいでしょう。期待リターンが少ない割に、今後金利が上昇した際のリスクの方が大きいように感じています。

インデックス運用を有効なものとするためにも、各国のGDPや金利動向も考慮した銘柄選定が必要になっているのです。

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