生成AI関連の本命へ アマゾンも注目の「アンソロピック社」とは
米アルファベット傘下のグーグルは2023年10月、生成人工知能(AI)のスタートアップ、アンソロピックに、約3,000億円を投資することを約束しました。また9月にはアマゾン・ドット・コムも最大6,000億円すると発表しています。
こうした米国の大手企業から投資を呼び込むアンソロピックとはどのような会社なのでしょうか?
アンソロピック社、および同社が提供しているAIチャットボット「クロード」の概要について解説します。
アンソロピックとは
アンソロピック社は、AIを専門とする非営利研究機関であるオープンAIのもと従業員6人が2021年に立ち上げたスタートアップです。アンソロピック社のCEO兼共同創業者であるダリオ・アモディ氏も、かつてオープンAIで研究部門の責任者を務めていました。
米中央銀行がインフレ対策で政策金利を引き上げたため、マクロ経済への不透明感が高まりから新興企業への投資が減少。しかし唯一、生成AI分野の資金流入だけが拡大しています。
2023年1月から7月までに生成AI分野で8社のユニコーン※が登場。なかでもアンソロピック社は圧倒的な企業価値を誇ります。
※ユニコーン…企業価値が10億ドル以上、かつ創業10年以内の未上場ベンチャーやスタートアップ企業のこと
【2023年に誕生した生成AIユニコーン】
出典:JETRO地域・分析レポート 勢い増す世界の生成AI開発と投資の動向を追う より
アンソロピック社が提供するサービス「クロード(Claude)」の特徴は?
アンソロピック社が2023年に発表したAIチャットボット「クロード(Claude)」は、次のような特徴があります。
- 憲法AIという独自のトレーニング技術を採用
- 膨大なデータを処理できる
- 満足な回答を得られる可能性が高い
クロードの最大の特徴は、「役に立つこと」「無害であること」「誠実であること」といったユーザーと対話するうえで守るべき価値観や原則がまとめられている点です。こうした価値観や原則は、基本的人権の尊重を定めた世界人権宣言やAI研究所が提案した原則などが引用されているため、クロードは有害なアウトプットを生み出しにくいと言われています。
また、技術的、科学的、文化的背景などを含めた膨大なデータをもとに学習しているため、さまざまな分野の質問に対して、満足な回答が得られる可能性が高いとされています。
新バージョン「クロード2」もリリース
2023年7月11日、アンソロピック社はクロードの進化版にあたる「クロード2」をリリースしました。クロード2はコーディングや数学、推論スキルなどが改善され、中学校の数学クイズや司法試験の成績に向上が見られています。
また人間による回答に対するフィードバックや監視も併用され、有害な出力の制限が、クロードの2倍に向上したとも言われています。しかしアモディ氏は完成には、まだほど遠いと感じているようです。
背景にはAIが人間のコントロール下を外れてしまい、人類を絶滅にもたらすリスクが挙げられます。2023年5月、オープンAIのCEOサム・アルトマンをはじめとした350人のAI研究者は「AIによる人類絶滅リスクを軽減することは、核戦争やパンデミック対策と並ぶ世界の優先事項だ」と述べました。
アモディ氏は、アンソロピック社のテクノロジーが、AIによる人類絶滅リスクの回避に役立つと考えているため、有害な出力の制限についてきわめて高い水準を求めていると推測できます。
今後も急速にオープンAIは発展していくでしょう。これからもオープンAI市場をけん引するアンソロピックと、同社に投資をする企業の動向に要注目です。
最後に同社の公式サイトとSNSアカウントも紹介しますので、興味のある方は参考にしてください。
- 公式サイトURL:https://www.anthropic.com/company
- SNS(Ⅹ):https://twitter.com/AnthropicAI