毎年注目される夏の風物詩「ジャクソンホール」とは
日々経済に関するニュースや新聞を見ている方は、夏頃になると「ジャクソンホール会議に注目です」という言葉をよく見聞きするのではないでしょうか?
今回は、そんな夏の風物詩とも言える「ジャクソンホール」とは何か?またそこで開催されるジャクソンホール会議とはどのような会議なのか?について解説します。
ジャクソンホールとは?
ジャクソンホールとは、アメリカ西部ワイオミング州にあるロッキー山脈を一望できる高原リゾート地で、夏は避暑地、冬はスキーが楽しめる全米屈指の観光地と言われています。
ジャクソン市にあり、谷と斜面が形作る地形が「わな猟師」たちが穴に入ったかのように見えることから「ジャクソンホール」と呼ばれるようになりました。
ジャクソンホール会議とは
ジャクソンホール会議とは米カンザスシティ連邦準備銀行が毎年8月末に開催している経済政策シンポジウムのことで、正式名称は「Jackson Hole Economic Policy Symposium」と言います。
同会議は世界各国から中央銀行総裁や政治家や学者が参加して、世界経済や金融政策について議論を交わす場として大変注目を集める会議です。
会議自体は非公開の会議ですが、公表される指標や、参加者の記者会見などで発信される情報は市場関係者の注目を集めます。
1982年に初めてFRB議長が参加
FRB議長が初めて参加をするのは1982年からで、ジャクソンホールでの開催されたのもこの年です。米カーター政権下で1979年から8年にわたって第12代FRB議長を務めた故ポール・ボルカー氏に参加してもらうために、同氏の好きな渓流釣りができるジャクソンホールを選んだことが始まりと言われています。
もともと小さな勉強会からスタートしたものの、過去に何度か中央銀行総裁が金融政策の変更を示唆することもあり、市場関係者の注目を集めるようになりました。
過去に注目を集めた発言は?
実際にジャクソンホールでの発言を機に、大きくマーケットを動かした事例は複数あります。2010年の会議においては、第14代FRB議長であるバーナンキ議長が、不況下にあるアメリカ経済立て直しのために「量的緩和」を示唆したことです。
同じ会議に参加していた当時の日銀総裁の白川氏は、予定を早めて帰国して臨時の金融政策決定会合を開催し、追加の金融緩和を決定しました。
2014年はECBのドラギ総裁が追加緩和を示唆。直後の9月に開催されたECB理事会で政策金利の引き下げを決定しました。
また2020年の会議では、インフレ率を当局目標である2.0%に近づけるため、一時的に2.0%を上回る状態を受け入れることを示唆する内容を発表しました。
2023年のジャクソンホール会議の焦点は?
2023年度のジャクソンホール会議は8月24日~8月26日に開催されます。7月に0.25ポイントの政策金利の引き上げを行いましたが、今年中にもう一回利上げを行うのか?それを確認するうえで、パウエル議長が今の市場をどうとらえているのか?発言に注目が集まります。
ただし過度に市場が楽観視してしまう可能性があることから、政策金利の引き上げ終了を明確に宣言することはないでしょう。
パウエル議長自身も、「すべてはデータ次第」とコメントしており、雇用統計やCPI、PCEといった経済指標から物価、雇用に関する情報をチェックしつつ、パウエル議長の発言から微妙なニュアンスを読み取っていく必要があると考えます。
まとめ
ジャクソンホール会議とは、毎年8月末に開催される各国中央銀行総裁や知識人などが集まる経済政策シンポジウムです。同会議は過去に何度か中央銀行の総裁が重要な政策を示唆したこともあり、市場関係者の注目を集めるイベントになっています。
もし知らなかった人は、今後は8月末のジャクソンホール会議も重要イベントとしてチェックするようにしてください。