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半導体市場に追い風なるか 「米国CHIPS法」を徹底分析

2022/11/24

米国の半導体供給能力の拡大とシェアの回復を目的としたCHIPS法が米国下院で可決し2022年8月9日(米国時間)にバイデン大統領が同法案に署名をしました。
長年、アメリカの半導体に関する問題点については議論があったにも関わらず、なぜ今になってアメリカはCHIPS法の成立を急いだのでしょうか?

この記事では、CHIPS法の概要と、アメリカがCHIPS法の成立を急いだ思惑について解説しています。

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CHIPS法とは

CHIPS法とは、アメリカ国内の半導体産業に関する政策で、米国商務省の標準技術局や国防省の元、米国の半導体エコシステムを再構築しつつ、国内に高給職を創出し、国家安全の強化を目指す政策です。
アメリカ国内の半導体に対して500億ドル(約7兆2,500億円(1ドル145円換算、以降同様)の補助金を投じるというもの。 さらに米国時間2022年9月6日、米国商務省は同省やその他の政府機関がどのようにこの補助金を半導体関連企業に割り振るか、概要を示しました。より詳しい内容については2023年上旬に公開される見通しです。

おおよその内訳としては、500億ドルのうち約3分の2にあたる280億ドル(約4兆円(1ドル145円換算、以下同様))はIntelなどの最先端のロジックチップや、メモリチップを製造する企業の支援に使用。100億米ドル(約1兆4,000億円)は既存チップの新たな製造能力、炭化ケイ素、カーボンナノチューブ材料関連の投資に用いられます。また残りの110億米ドル(約1兆5,000億円)は、製造機関創設などに割り当てられる予定です。

CHIPS法実施の背景

アメリカでCHIPS法が導入されたのは、半導体をめぐる深刻な問題が背景にあります。そもそも半導体は1959年にアメリカ人によって発明され、1990年にはアメリカ製が37%と大きなシェアを占めていました。
ところが現在では、日本や韓国、対話といったアジア勢が、アメリカの生産量を大きく上回るようになっています。

そうしたなか、新型コロナウイルス禍からの経済が急速に回復し、自動車を筆頭に多くの業種で半導体の供給不足が生じるようになりました。新型コロナウイルス後の供給制約を経験し、アメリカでは半導体製造を海外依存していることの危険性が高まっていくことになります。

なぜアメリカはCHIPS法案を急いだのか?

CHIPS法は2022年8月9日にバイデン大統領の署名をもって成立し、8月25日にはCHIPS法の実施を加速させる大統領令に署名をするなど、アメリカ政府急ピッチで進めている政策であることがうかがえます。

実は、CHIPS法のような政策は、前身であるSEMATECH(セマテック)の時期から実は議論が始まっていました。では、今になって、CHIPS法を急いで進める理由はどこにあるのでしょうか?

それは、アメリカ同様に半導体投資に巨額の投資をしている中国の存在です。中国の習近平国家主席は、後10年で1兆米ドルの投資を行なうと宣言するなど、半導体事業に強い取り組み姿勢を見せているのです。

CHIPS法では、半導体企業が国から支援を受けるためには、無効10年間中国国内で最先端半導体の増産や、生産能力の増強を行なわないなどの条件があります。これは実質対象企業に、中国から手を引くように求めている意図もあり、明らかに中国に対抗するための政策を言えるでしょう。CHIPS法は、世界でも最も重要な産業とも言える半導体産業をアメリカに取り戻すための法案というだけではなく、中国権威主義との戦いという側面もあるようです。

各半導体関連企業は、アメリカと取り組むことで製造できない国が生まれてしまうことになるため、こうした不利益をCHIPS法の補助金などで相殺できるのか難しい選択を迫られることになります。

対する中国もCHIPS法に対抗して、はるかに多額の資金を投入する政策を検討しているとも言われており、半導体をめぐる争いも米中は熾烈を極めています。

果たしてアメリカの思惑通り、CHIPS法がアメリカの半導体産業の回帰につながるのか、注視して見ていく必要があるでしょう。

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