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次世代エネルギーに次の主役 水素ビジネスを展望する

2021/11/04

水素エネルギーの活用は、日本のエネルギー政策の大きな柱の1つです。

日本の得意分野であるうえ、世界中に水素エネルギー活用の技術の導入が進めば、日本にとって大きな雇用拡大、経済効果が見込めます。
次世代エネルギ―の主役とも言われる水素ビジネスについて解説します。

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国を挙げて取り組んでいる水素エネルギー

かつて日本の近代化にとって、石油、石炭や天然ガスといった化石燃料は欠かせない存在でした。
もともと、日本は化石燃料などの天然資源には恵まれておらず、エネルギーが安定的かつ、低廉な価格で供給される「エネルギー安全保障」は日本にとって喫緊の課題だったのです。

 

その後、東日本大震災以降、原子力発電所を停止させ、火力発電所を稼働させた結果、2013年には温室効果ガスの排出量がピークに達し、エネルギー安全保障の確保と温室効果ガスの排出削減の問題を同時並行で進めていく必要性に迫られることになります。

そこで、これまでのエネルギー供給構造を変革するために、コストを抑制しつつ、エネルギーの供給方法を多様化することはできないか検討が行われました。その中で、注目を集めた方法の1つが「水素エネルギー」の利用です。

水素エネルギーの何がすごいの?

水素エネルギーのメリットは以下の2つです。

いろいろな物で作ることができる
水素は物質の性質上、さまざまな元素と結びついていて、地球上に存在しています。そのため、石油、石炭といった化石資源だけではなく、食品廃棄物、下水汚泥などさまざまものを原料として取り出せます。

温室効果ガスを排出しない
水素は、酸素と結びつくことで発電しても、燃焼させて熱エネルギーとして利用しても温室効果ガスを排出しません。

 

水素エネルギーを使ってどんなことができる?

水素エネルギーの技術を使えば、火力発電などの発電部門や、温室効果ガスを多く排出していた産業、トラックや企業の通勤など、多くの場面で水素エネルギーに取って代わり、温室効果ガス排出量を減らすことが期待できます。

日本はもともと水素エネルギー技術に秀でていた

水素と空気中の酸素を化学反応させると、電気と水を作り出せますが、燃料電池はこの仕組みを利用しています。「電池」という呼称がついているので、蓄電池のようなものをイメージしがちですが、電気と水を反応させて、電気を発電する装置を「燃料電池」といいます。実は、日本はこの燃料電池分野の特許出願件数が世界一。日本は水素エネルギー技術に秀でているのです。

また、温室効果ガスの排出量削減を目指しているのは日本の国だけではなく、全世界の課題です。温室効果ガスの削減につながる日本の燃料電池の技術が世界に導入されれば、将来的に全世界で2.5兆ドル。3,000万人の雇用が創出できるという試算もあるそうです。

このように水素ビジネスは、環境だけではなく、日本経済にも大きな良いインパクトを与えるため、大きな注目を集めているのです。

水素エネルギーは既に導入が進んでいる

日本では、水素エネルギーを利用した燃料電池を搭載した商品が既に販売されています。代表的な商品をご紹介します。

エネファーム
都市ガスやLPガスから電気とお湯を作る家庭用燃料電池です。一般家庭では25%の省エネに加え、40%の温室効果ガスを削減するといわれています。

燃料電池の乗り物
燃料電池を搭載しており、水素で電気を作って自動車の動力とする、燃料電池自動車(FCV(Fuel Cell Vehicle)や、燃料電池バス(FC(Fuel Cell)バス)も既に利用が始まっています。

 

水素エネルギーの今後の課題

燃料電池は製造コストが高く、エネファームにしても、FCVにしてもまだ販売価格は割高です。

またFCVの水素ステーションの設置が進んでおらず、ほぼ限られた地域しか水素ステーションがない状況です。燃料電池の耐久性についても課題が残ります。

まとめ

水素エネルギーは、世界的な温暖化ガス削減目標達成に効果的な方法であることや、日本国内の雇用や景気拡大への期待から国が先頭に立って推進している事業です。

まだ燃料電池を使った商品が普及していない点、インフラが整っていない点もあるうえ、商品自体も割高ですが、今後成長が見込める可能性の高い産業といえるでしょう。

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