コロナ禍の新たな補助金「事業再構築補助金」を徹底解説
事業再構築補助金は、コロナウィルスの感染拡大の影響によって事業転換を余儀なくされている中小企業などを支援する目的で実施される補助金です。
上限金額が6000万円という高額の補助金額が設定されており、投資対象となる取り組みの範囲も広いことから、このところ話題になる機会が増えています。
「事業再構築補助金」の申請条件や、使途、注意点などをまとめて徹底解説します。
コロナの影響を受けた企業への補助
まずは事業再構築補助金が実施される背景と、申請が可能な企業の要件についてまとめます。
2020年初頭から世界的に猛威を振るっているコロナウィルスの影響により、人々はこれまでと同じ暮らしをすることができず、ニューノーマルの時代を迎えたと言われています。
大企業でもリモートワークが採用され、夜の会食などが厳しく制限されるなど、数年前までは当然だった日常が、コロナウィルスによって失われました。
人々の暮らしが変われば、商品やサービスを供給して利益を得る企業も、これまでの事業をそのまま継続することができず、事業の再構築をせざるを得ません。
このようなコロナウィルスによる事業転換を後押しするのが、その名の通り事業再構築補助金です。
①売り上げが下がっていること
事業再構築補助金を申請するためには、売り上げが下がっていることが必要条件として設定されています。
具体的には、直近半年間のうちの任意の3か月間の売り上げが、コロナ発生以前である2019年や2020年の1月から3月と比較して、10%を超えて下がっていることが条件となります。
経営者にとって10%もの売り上げの落ち込みは大打撃ですので、補助金を受け取ることにより事業を転換しなければならないということです。
申請時点からの直近半年のなかで最も売り上げが落ち込んだ3か月間を抽出し、2019年から2020年3月までのうちで最も売り上げが良かった3か月間と比較して、10%の落ち込みがあるかどうかを確認するようにしてください。
②事業の再構築に取り組むこと
事業再構築補助金は、売り上げが下がっていることに加えて、現状を改善するために事業の再構築に取り組むことを求めています。
これまでの事業のなかでアフターコロナの時代には不向きな事業を転換したり、アフターコロナに合わせた新分野へと進出することなど、再構築の種類は問われていません。
事業再構築補助金の特徴として、建物の改修工事や建設費用も対象となることが挙げられますので、企業によっては思い切った投資と事業転換に取り組めます。
最低限の条件として、これまでの事業をそのまま継続するのではなく、事業を再構築するという意志があることが必要となります。
③事業の再構築の計画を作ること
どれだけ事業の再構築の意志があっても具体的な計画がなければ、事業再構築補助金を申請することができません。
また、計画の策定にあたっては、認定経営革新等支援機関からの支援を受けることが必要となっています。
認定経営革新等支援機関とは、中小企業を支援するための専門的な知識やノウハウを持っている事業者を、中小企業が認定しているものです。
事業を再構築するにあたっては、専門家からのアドバイスを聞き、実現性の高い計画を策定することが求められているのです
事業再構築補助金の使い道
大きく3つの条件が設定されている事業再構築補助金ですが、その使途については自由度が非常に高いことが特徴です。
すでに解説した通り、建設や改修などの建物の工事についても補助の対象となっていることは、近年の補助金のなかでも非常に珍しいものです。
このため、それぞれの事業者や業種・業態に応じて、さまざまな取り組みに対して事業再構築補助金を活用することができます。
例えば、飲食店が新たにデリバリーを開始したり、製造メーカーが直販のオンラインサイトを開設したり、造園会社が独自のキャンプ場をオープンさせるなど、使い道は多岐に渡ります。
事業再構築補助金の申請の注意点
最後に、事業再構築補助金の申請における注意点を2つご紹介します。
まず、事業再構築補助金は、法人格を有する株式会社や合同会社などだけでなく、個人事業主であっても申請が可能です。
大型の補助金であるため個人事業主が対象外だと勘違いされているケースも目立ちますので、ご注意ください。
また、3000万円を超える補助を申請される場合には、計画策定にあたって認定経営革新等支援機関だけでなく金融機関とも協議をしなければならない点にも注意してください。
銀行などの金融機関の中には、認定経営革新等支援機関として認定されているケースがありますので、3000万円を超える申請をする際には、こうした金融機関に相談することも一手です。
補助金や助成金は、正しい知識をもって申請することによって採択率を大幅に引き上げることができますので、しっかりと専門家の意見を聞きながら申請を行うようにしましょう。