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M&A業界に迫りくる 「2025年問題」について

2021/01/14

M&A業界で2025年問題が語られはじめたのは2004年頃のことで、すでに15年以上が経ち、いよいよあと4年後にはその時を迎えます。

2025年問題とは、少子高齢化が進む日本が直面しようとしている深刻な後継者問題です。

これまでにも日本各地で個々の会社では後継者問題の深刻化が顕著になっていたものの、社会全体として後継者不在による経済的な弊害が生じるのが2025年だと言われています。

経営者層が高齢化する一方で、後継者となる若い世代が少なくなるという構造的な問題に対して、M&A業界の準備は十分に整っているのでしょうか。

M&A業界にとって最大の山場を迎える「2025年問題」について解説します。

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日本経済の時限爆弾「2025年問題」とは

戦後の第1ベビーブーム(1947年から1949年頃)に生まれた、いわゆる団塊の世代が75歳を迎え、日本は超高齢社会に突入します。

政府が試算したところよると、75歳以上の人が約2180万人、65歳~74歳の人が約1500万人で、65歳以上の高齢者人口は3600万人となり、日本国民のうち30%以上、つまりは3人に1人が高齢者という社会になります。

また、2025年までには中小企業、小規模事業者の経営者のうち約245万人が70歳以上となります。そして、このうちの約半数の127万人(日本企業のうちの3分1)については、未だに事業の後継者を見つけられずにいます。

中小企業は、日本のすべての企業の99%を占めており、雇用ベースでは約70%程度を占めています。経済産業省と中小企業庁の調査では、2025年問題によって日本の中小企業に勤務する約650万人の雇用が失われ、約22兆円のGDPを損失するとの試算を発表しています。

日本における2025年問題は、私たちの生活に大きな影響を与えかねない日本経済の時限爆弾なのです。

過去と現在の日本の事業継承

事業継承の現場を具体的にイメージするために、もう少し詳しく中小企業の事情について説明します。

中小企業の事業継承は、ひと昔前であれば経営者の大半が家族へと引き継がれることを望んでおり、実際に家族経営によって事業継続が安定して行われてきました。

しかし、バブル崩壊後の不景気や価値観の多様化などの事情によって、後継者となったはずの子息が会社に携わっておらず、家族による事業継承の道が分断されているケースが珍しくありません。

これまで主流だった家族への事業継承が行われないことが、2025年問題の深刻化に拍車をかけています。

近年では、会社の役員や従業員など社内を熟知した人材に事業を継承する事例も珍しくありませんが、問題を抜本的に解決するような期待はできないのが実情です。

なぜなら中小企業では、経営を任せることができる適切な人材の確保ができておらず、また人材を見極めるためのノウハウが不足し、さらに後継者を育成する時間がないという複合的な要因によって、社内で適切な人材を見つけることが容易ではありません。

また、インターネットの発達によって情報交換が活発になり、事業後継者を見つけるための一助となった事例もありますが、経営者が高齢となっている中小企業では事業のデジタル化が遅れており、インターネットを十分に活用できないケースも多いです。

M&A業界と「2025年問題」

問題が山積したままの状態となっている「2025年問題」ですが、M&A業界からも積極的なアプローチが見られ、また政府もM&A業界を後押しすることで問題解決を目指しています。

例えばソフトバンクなどの大企業が、後継者不足で立ち行かなくなった中小企業のM&Aを盛んに行なっており、2025年問題の受け皿として機能するようになっています。

また、これに伴ってテレビや新聞でも「M&A」という言葉が頻繁に登場するようになり、以前と比べると日本人の中にもM&Aへの抵抗感は和らいできています。2000年代初頭にIT企業による敵対的買収が相次いだことから、M&Aそのものが悪いという認識が広がったことも、2025年問題の解決を複雑なものにしています。

さらに民間の動きでは、地方銀行などの地場のネットワークを持つ金融機関を中心としてM&A事業を主体とする部門を創設する動きが目立っています。地方銀行にとっては、事業資金の貸し付けによる収益が減少するなか、M&Aの仲介手数料に期待する思惑もあるようです。

一方、政府や官公庁においても、この問題を解決すべく、事業継承の際に発生する贈与税や相続税について税改正を行っており、M&Aを促進させるための援護射撃を行っています。

ただし、M&A業界からは行政からのさらなる支援を求める声が上がっているものの、告知や啓蒙活動については不十分な状況だと言えます。

M&A業界に迫りくる「2025年問題」まとめ

海外では当たり前に行われているM&Aは、経営者問題を解決する抜本的な手段ではあるものの、これまでの日本における認識の誤りや、中小企業の現場の実情などによって、決してスムーズには行われていません。

大企業や行政が先行する形になりますが、個人であっても中小企業や小規模事業をM&Aによって取得できる時代に突入しており、2025年問題を社会全体で解決するための環境づくりは整いつつあります。

2020年はコロナウィルスの感染拡大によって企業のデューデリジェンス(調査)が行なえず、M&Aの現場でも一歩後退という認識が強まっています。高齢化の勢いには変わりがありませんので、2025年問題の危機が高まった年と言えるかもしれません。

日本経済全体の抱える大きな問題である「2025年問題」を乗り切るためには、ビジネスや事業に関わる全ての人々の意識改革が求められています。

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