孫正義も注目する「OYOホテル」とは?
インド発のホテルチェーンOYOは、ソフトバンクグループを率いる孫正義が1000億円を投資したことで、日本でも一躍有名になりました。
創業わずか6年で世界を代表するホテルグループであるマリオットに次ぐ客室数となり、日本でもわずか半年で100軒以上を展開するという速さで成長しています。
OYOホテルの事業展開のスピードを支えているは、日本のコンビニチェーンと同じくフランチャイズ方式を採用していることにあります。
今後も快進撃が続くと予想されるOYOホテルの特徴やビジネスモデルについて、詳しくご紹介します。
OYOホテル本部による充実したサポート体制
フランチャイズ方式を採用するOYOホテルでは、加盟ホテルに対して、さまざまなホテル運営の効率化のための仕組みを提供しています。
まず、OYO加盟ホテルでは、ホテル運営に必要な空室管理システムなどを無償で利用することが可能です。OYOに加盟することで、初期費用として負担となるシステム導入コストを削減できることは、ホテルにとって大きなメリットとなります。
さらにOYOホテルでは、人工知能(AI)を導入して季節や曜日ごとに適切な料金設定を行うシステムを保有しており、ホテル予約サイトの受付やレビュー管理についても無償で代行しています。
予約変更などのホテルへの問い合わせについても、OYOホテルのカスタマーサポートセンターが対応するため、電話対応のために従業員を配置する必要がありませんので、予約管理などと合わせてホテル側の人件費を大幅に削減することができます。
このようなシステム導入とサポート体制の整備によって、個々のホテルでの初期費用や運営コストが削減されることは、宿泊費を低く設定できるというOYOホテルの強みのひとつとなっています。
OYOホテルの徹底したブランディング
OYOホテルに加盟したホテルに対してのサポートは、システム導入などのIT技術などに特化したものだけではありません。
OYOブランドの統一性を保つためには、それぞれのホテルの建物の外観や内装について改装する必要がありますが、この改装費用の一部はOYOホテル本部によって補助されます。
すでにホテルとして営業してきた事業者にとっては、OYOに加盟することによってメリットがあることは理解しつつも、改装費用がかかることで二の足を踏んでしまう可能性がありますので、資金的な支援は加盟店の急速な拡大に貢献しています。
さらに、OYOホテルでは各ホテルに勤務するスタッフの研修や、クレーム対応のためのコンサルティングも行っています。このような人材育成にかかわるサービスの提供は、ホテルごとのコストを削減させるだけでなく、OYOブランドの統一性を保つ効果があります。
ホテルの建物というハードだけでなく、スタッフ研修というソフトに至るまで、加盟ホテルへの支援だけでなく、ブランド価値を高める効果をもたらす徹底的な取り組みを行っていることもまた、OYOホテルの強みのひとつです。
OYOホテルの特徴とビジネスモデルまとめ
OYOホテルが短期間で世界を代表するホテルグループを創り出すことに成功した秘訣は、フランチャイズ方式の採用と、加盟ホテルへの手厚いサポートにあります。
もうひとつOYOホテルの特徴として挙げられるのは、フランチャイズ契約に際して加盟料を請求しない点です。
コンビニなどで頻繁に問題となる高額な加盟料は、加盟店にとって大きな負担となることから、フランチャイズビジネスの問題とされています。
OYOホテルでは、フランチャイズの加盟料をとらず、ホテル営業によって得られた利益のなかから月々の費用を支払うモデルを採用しており、本部と加盟店が共に利益を上げるために努力する関係を構築しています。
ひとつひとつの取り組みを見れば、決して目新しいものばかりではありませんが、OYOブランドを育て、加盟店を増やしていくというビジネスモデルを着実に行っていることが、ここまでの急成長を実現させた理由といえるでしょう。
OYOホテルの日本での展開については、まだOYOホテルそのものの知名度が低いため、苦戦していると報じられています。外国人観光客の増加と共にホテル需要が高まる日本で、OYOホテルがどのような展開を見せるのか、今後も注目する必要がありそうです。