2020年注目の「ユニコーン企業」とは
このところ新聞やテレビなどで頻繁に目にするユニコーン企業は、私たちの生活にも大きく関係しており、世界への強い影響力を持っています。今年2020年も引き続き、ユニコーン企業の動向には注目する必要がありそうです。
「評価額が10億ドル以上であること」「起業して10年以内であること」「非上場企業であること」「テクノロジー関連企業であること」の4つの条件を満たしている優良な企業のことを、ユニコーン企業と呼びます。
2020年に注目すべきユニコーン企業の選定にあたっては、今年のビジネストレンドを形成するキーワードである「IoT」「金融」「健康」から、それぞれ1社あるいは2社に厳選してご紹介します。
「IoT関連」の注目ユニコーン企業
2020年の注目技術のひとつは、モノのインターネットと呼ばれる「IoT」技術です。
IoTとは、電子端末だけでなくあらゆるモノをインターネットにつなげて操作や管理をする技術のことで、今後私たちの生活のさまざまなところで生かされる技術です。
このIoT分野で注目すべきユニコーン企業の代表格が、中国のツヤスマート社(TuyaSmart)です。
主に製造業の生産現場で活用される技術を開発している企業で、人工知能(AI)を活用することによって、低コストで容易に製品のIoT化を可能にするサービスを提供しています。
既にIoT技術を生産現場に活かす取り組みは行われてきましたが、莫大なコストを回収することが難しいというリスクがつきまとうものでした。しかし、ツヤスマート社の技術を使うことによって、導入コストが抑えられ、さらに導入プロセスも簡素化されます。
このツヤスマート社の創業者が中国最大手企業のアリババ出身であることも、同社に注目が集まっている理由のひとつです。
「金融関連」の注目ユニコーン企業
ITと金融を技術的に結び付ける取り組みはフィンテックと呼ばれ、世界中で多くのユニコーン企業が技術開発を進めています。
アメリカのストライプ社(Stripe)は、クレジットカードの照会ネットワークである決済プラットフォームと、スマホやパソコン端末で事業者がカード決済を管理するアプリケーションを一体化することで、容易にインターネット決済を導入する技術を提供しています。
ストライプ社の発表したレポートによると、インターネットビジネスは急成長している分野であるにもかかわらず、世界のあらゆる決済に占めるインターネット決済の割合は僅か3%に留まっています。
同社では、このような現状に注目し、事業者がスムーズにインターネット決済を実現させるための仕組みを開発し、さらにオンライン上で売り上げを管理するツールを提供することで、インターネットビジネスを加速させることを目標としています。
また、ストライプ社以外では、中国のフィンテック分野のユニコーン企業であるル・ドットコム社(Lu.com)にも注目しておく必要がありそうです。
ル・ドットコム社は、個人や中小企業を対象として、投資や融資などの金融サービスを行うシステムを開発しています。資金を必要とする側と、資金を提供したい側の双方を結び、いわゆるソーシャルレンディングを実現しています。
「健康関連」の注目ユニコーン企業
現代人の健康への悩みの大半がスマホやパソコンの使いすぎによって引き起こされていると言われているなか、健康問題への取り組みをおこなうユニコーン企業もあります。
アメリカのペロトン社(Peloton)は、個人の運動不足を解消することを目的としたビジネスを展開しています。
ペロトン社が提供するのは自宅用のエクササイズマシンと、スマホ用のアプリです。それぞれのマシンは全てインターネットに接続されており、アプリを使って運動の記録を確認することができます。また、適切な運動量についてのアドバイスも提供します。
自宅で気軽に運動ができるだけでなく、専門家からのアドバイスを受けられるサービスを提供することで、月額課金(サブスクリプション)契約の顧客を増やしています。
また、同じくアメリカのモデルナ社(Moderna)は、夢の新薬との呼び声が高いメッセンジャーRNA(mRNA)を利用した新薬の開発を行っています。
ユニコーン企業と言えば、いわゆるテック系の企業ばかりが目立つ印象がありますが、モデルナ社は医薬品の開発という昔ながらの業種で、存在感を示しています。
IT分野での強みだけでなく、ITにプラスした固有の技術力を持つことによって、既存のビジネスに対抗する会社を作り上げていく流れが、今後のユニコーン企業のトレンドになってくるのかもしれません。
2020年注目の「ユニコーン企業」まとめ
2020年注目のユニコーン企業を「IoT」「金融」「健康」の3つのキーワードからご紹介しました。
ここで紹介した企業の顔ぶれを見ても分かる通り、最近のユニコーン企業はアメリカと中国に集中しています。しかし、ユニコーン企業は国境を越えて世界展開するスピードが早いため、近い将来には日本への進出も予想されます。
海外の遠い存在であったはずのユニコーン企業が、いつの間にか日本でのサービスを開始しているというケースも珍しくありませんので、ここでご紹介した企業の動向については是非、注目して頂ければと思います。