世界第三位の経済大国になろうとしている国 インド
戦後日本がソ連を抜いて世界第二位の経済大国になるとは予想できなかったように、中国が今では日本を抜いて世界第二位の経済大国に躍り出ました。
中国がこれだけ経済規模が大きくなるとわかれば中国に投資をして、大きく儲けることができていました。
そして今、まさに日本を抜いて世界第三位の経済大国になろうとしている国があります。それがインドです。
インド経済が拡大している理由
2017年の名目GDP(USドル)でインドは2.6兆ドルと世界第6位に入っています。
中国が12兆ドルなのに比べるとまだまだ比較にならないレベルですが、人口が10億と中国に次ぐ規模で、毎年6%を超える高い経済成長を維持し続けるだけの市場があります。
中国が経済成長の伸びが鈍化してきているのに対して、インドは今後も高い経済成長をし続けて、将来的には名目GDPで中国を追い抜くかもしれません。
インドの経済が拡大している理由ですが、まず人口の半数以上が25歳以下と平均年齢が非常に若い点があります。
若いということは経済成長に必要な労働力がどんどん供給し続けられるということです。
次にモディ首相の経済政策が、インド経済の拡大に大きく寄与しています。
製造業に力を入れて1億人の雇用を創出することを目指した「メーク・イン・インディア」やITサービスの強化を目指した「デジタル・インディア」、州ごとに異なる税率を「物品・サービス税(GST)」として統一して、企業の経済活動の妨げになっていた税率を改善しました。
インド経済を支える産業
インド経済を支えるメイン産業ですが、1位は農業で、農地は国土の約55%を占めています。
インドの人口の約50%が農業に従事していて、農産物は主に国内で消費されて輸出は水産物と合わせて輸出品目の約13%ほどです。
インドはIT化が進んでいるとはいえ、輸出のメインは石油製品で輸出品目の約20%を占めています。
実はインドでも原油が産出されていて、石炭や天然ガスの埋蔵量も豊富です。しかしインド経済の規模に産出が追い付かず石油、石炭、天然ガスともに純輸入国です。
3番目の輸出品目として宝石・宝飾品があり、こちらも輸出品目の約13%を占めています。インドは貴金属の加工が重要な産業として成り立っていて、世界第2位の金消費国です。現時点では石油製品が一番ですが、モディ首相による製造業の強化でこれから他の製品が輸出品目の第1位になるでしょう。
経済発展を阻害する要因も
好調なインド経済ですが、一方で他の国にはない経済発展を阻害する要因がいくつかあります。
代表的なものがカースト制度で、1949年に憲法でカースト制度は廃止になりましたが、地方では根強くカースト制度が続けられています。
カースト制度ではカーストの種類によって勤められる職業が決められていて、職業選択の自由が無く雇用の流動性が極めて低い事が、経済発展を阻害しています。
次に宗教の違いがあり、インドはヒンドゥー教が多数を占めていますが、他にイスラム教やシーク教、キリスト教と複数の宗教が入り混じって、宗教対立が治安を悪くしています。
さらに言語も英語や公用語のヒンディーだけでなく準公用語として20種類以上あり、隣の州なのに言葉が違うという感じで、言語的な問題も生じています。
教育制度も不十分で都市部は先進国並みになってきたとはいえ、地方では学校に行けない子供たちもいるのが現状です。
しかし今のモディ政権は、今までのインドの政権と違って、インドの改革に力を入れていて、経済だけでなく教育や犯罪などの問題にも取り組んでいて、実際に成果が出ているようです。外資系企業も誘致に積極的で、外国の良き習慣や制度が徐々にインドに浸透していますから、モディ政権の積極的な国内改革で、国内が徐々に良くなっていくインドに、これから有望な投資先として注目をしていきましょう。