2021年に向けて「NEXT FAANG」を調査した
IT業界は依然として技術革新が活発に行われており、後続の企業が続々と生まれ、現在の大手の地位を脅かし続けています。
マイクロソフトやインテルなどのハードに近いサービスを提供していた企業群が、一般的にGAFAと呼ばれる新興IT企業によって圧倒的な優位を覆されたように、また次の世代が生まれようとしています。
日本では「GAFA」と表すことが一般的なIT業界の超大手企業は、世界では「FAANG」と呼ばれるようになってきています。そして今、この「FAANG」を脅かす企業が少しずつ育ち始めてきました。
2021年に向けて「NEXT FAANG」の動向を調査してみました。
NEXT FAANGとは
「FAANG」という言葉自体、日本ではあまり聞きなれない言葉ですが、「GAFA」に「Netflix(ネットフリックス)」を加えた5つの企業の総称で、IT業界を代表する超大手企業群を指しています。
「Facebook(フェイスブック)」「Amazon(アマゾン)」「Apple(アップル」「Netflix(ネットフリックス)」、そして「Google(グーグル)」の5社は、本国のアメリカだけでなく世界中の人々の暮らしに深く入り込んでサービスを提供しています。
私たちにとっては既に、これら5社さえあれば生活には困らないという状況にまで達していますが、FAANGの座を脅かす存在が続々と続いており「NEXT FAANG」と呼ばれています。
NEXT FAANGの特徴としては、これまでパソコンやスマートフォンのなかに限定されていたFAANGの活動範囲を飛び出し、現実世界におけるAI、自動運転、ロボット、VRなどへとシフトしていることにあります。
世界中の人々が既にスマートフォンを手に入れた今、さらにワクワクする未来を提供しようとしているのがNEXT FAANGの狙いだと言えるでしょう。
NEXT FAANGの有望企業を紹介
では、具体的にNEXT FAANGの顔ぶれと事業内容などについて紹介していきます。
TSLA(テスラ) 時価総額 約40兆円
TSLA(テスラ)は、電気および自動運転を特徴とする高級車を販売する会社で、日本にもディーラーを展開するなど、すでに大企業として成功を収めています。設立当初は誰もが構想の大きさに驚き、実現性を疑っていましたが、CEOのイーロン・マスクのカリスマ性も手伝って、自動社会の巨人TOYOTAをも脅かす企業へと成長しています。
電気自動車(EV)や自動運転といった技術革新は、自動車産業において100年に1度と言われており、TSLA(テスラ)が革新をけん引する役割を担っています。
また、「ギガファクトリー」と呼ばれる巨大なバッテリー工場を自社で保有しており、電気自動車に欠かせないリチウムイオン電池の製造を行っていることから、自動車メーカーであるだけでなく他社への部品供給においても中心的な位置づけになることが予想されています。
NVIDIA(エヌビディア) 時価総額 約27兆円
NVIDIA(エヌビディア)は、アメリカの半導体メーカーであり、ゲームに使用するグラフィックボードなどを得意としています。また、AI(人工知能)や、ディープラーニング(機械学習)、自動運転などに不可欠な画像処理を行うGPU技術では、世界トップクラスの技術を持っています。
すでにNVIDIAは、CPUメーカーのIntel(インテル)の時価総額を抜いており、情報処理用の半導体の業界においては確固たる地位を築いています。
ALIBABA(アリババ) 時価総額 約73兆円
ALIBABA(アリババ)は中国拠点のIT企業で、国内の巨大市場へのサービス供給を足掛かりとして世界への展開を行っています。
世界の工場と呼ばれる中国の製造メーカーと、世界中の購入者(バイヤー)とを繋ぐネットショップ『アリババ』は既に、Amazon(アマゾン)とは異なる市場において大きなシェアを誇っています。
毎年11月11日(独身の日)に行われる割引イベントは、世界最大規模のネットセールとなっており、わずか1日の総売買金額が約12兆円という脅威的な数字を上げています。
アリババは他にも、ネットショッピングモールのTaobao(タオバオ)、電子決済サービスのAlipay(アリペイ)などのサービスも提供しています。
TENCENT(テンセント) 時価総額 約73兆円
TENCENT(テンセント)は、中国の深センに拠点を置く、アリババと同じく中国を代表する2大巨大IT企業のひとつで、ソーシャルネットワークのWechat(ウィチャット)を提供しています。
外国のITサービスの利用が制限されている中国において、14億人の人口に対してサービス提供しているため、その利用者数は圧倒的です。また、中国とのやりとりにはWechatアカウントが必須であると言わしめる程度のシェアを誇っています。
また、ソーシャルゲームにおいても中国国内シェアの50%以上を占めており、ゲーム業界では大きなシェアを持っていたソニーや任天堂の売り上げを既に超えていますので、2020年現在では世界一のゲーム会社です。
電子決済サービスのWeChat Pay(ウィチャットペイ)も、テンセントが提供している事業のひとつです。
Infosys(インフォシス)時価総額 約1.5兆円
Infosys(インフォシス)は、インドのシリコンバレーと言われるバンガロールに拠点を置くITコンサルティングやITアウトソーシングを主な事業とするインド国内第2位のIT企業で、インド企業で初めて米国ナスダック市場に上場を果たしました。
50カ国にも及ぶ事業展開の中で今、急速に進んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)分野での中心的な役割を担うことが期待されています。
労働力が安価であり、国内市場が巨大であることは中国とインドの共通の強みですが、インドについては英語を話せる人材が多いという特徴があり、インフォシスはこの特徴を上手く事業へと活かしています。
NEXT FAANGまとめ
NEXT FAANGは、パソコンやスマートフォンを飛び出して人々の暮らしの中に深く入り込む技術を提供していることに加えて、ITの中心地であるアメリカを飛び出してアジアの大国を拠点に置く企業が含まれているのが大きな特徴と言えます。
IT分野では、まず大きなボリュームの顧客を確保することで、一人あたりの顧客からの収益を抑えながら、市場でのシェアを拡大させることが求められていることから、大きな人口を抱える中国やインドには優位性があります。
既存のFAANGも決して事業の手を緩めず、次々と新しい施策を打ち出していますので世代交代は決して容易ではありませんが、私たちの生活を豊かにしてくれるサービスを提供するNEXT FAANGの動向には注目する必要があるでしょう。