2024年以降の申告で変わる 住宅ローン控除手続きとは
2022年度税制改正により、2024年1月以降に建築確認を受けて新築された住宅で住宅ローン控除を利用するためには、省エネ基準に適合していることが要件となりました。今回は住宅ローン控除の概要と、2024年以降の住宅ローン控除の変更点について詳しく解説します。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、多くの方が住宅を取得できるよう、住宅ローンの利用者の利息負担を軽減する制度です。
住宅の新築や増改築で住宅ローンを利用した場合、要件を満たせば年末のローン残高の0.7%が所得税から最長13年間控除できます。また所得税から控除しきれない分は、住民税から控除されます。
住宅ローン控除の主な適用条件は以下の通りです。
【住宅ローン控除の適用条件】
- 住宅新築の日から6ヶ月以内に居住の用に供していること
- 控除を受ける年の12月31日に引き続き居住の用に供していること
- 住宅の面積が50㎡以上かつ床面積の2分の1以上を専ら自身の居住の用に供していること
- 合計所得金額が2,000万円以下※1であること
- 返済期間が10年以上の住宅ローンであること
※1一部例外あり
住宅ローン控除は2024年以降どう変わる?
住宅ローンの借入限度額や控除額は、住宅の環境性能や入居時期によって異なります。また2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅で住宅ローン控除を受けるには、省エネ基準に適合する必要があり、住宅ローン控除申請時に証明書が必要です。
【住宅ローンの借入限度額と控除額】
カッコ内は控除額:借入限度額5,000万円の場合、5,000万円×控除率0.7%=控除額35万円となります。
※2 住宅ローン控除の申請を税務署に行う際、確認済証の写しを提出し、2023年12月末までに建築確認を受けた住宅であることが証明できれば借入限度額2,000万円(控除額14万円)まで利用できます。また2024年6月末までに建築された住宅の場合、省エネ基準に適合しなくても2,000万円まで借入限度額が利用できる場合があります。
住宅ローン控除申請時に必要な証明書とは
住宅ローン減税の申請時には、省エネ基準以上に適合している証明書として、次のいずれか書類が必要です。
- 建設住宅性能評価書
- 住宅省エネルギー性能証明書
1と2は登録住宅性能評価機関が発行可能、2は建築士も発行できます。
控除額を最大限活用するために
控除額を最大限活用したい方は、極力借入限度額が大きい住宅を選びましょう。また中古住宅やリフォームも要件を満たせば住宅ローン控除の対象になるため、中古住宅を購入してリフォームをすれば控除の恩恵を高められます。
ただし新築13年に対して、中古住宅の控除期間は10年である点には注意が必要です。どのような中古住宅やリフォームが住宅ローン控除の対象になるかも、利用前に十分確認しておくことも大切です。
住宅ローン控除は確定申告が必要
住宅ローン控除は確定申告が必要です。ただしお勤めの方の場合は、初年度だけ確定申告を自身で行えば、以降は勤務先での年末調整で控除されるため、2年目以降は不要です。
個人事業主やフリーランスなど自身で毎年確定申告をしている方は、2年目以降も確定申告をしなければなりません。
確定申告の申告期間は原則、翌年の2月16日~3月15日です。しかし住宅ローン控除のような還付申告は1月1日から受付が開始されます。仮に申告期限内に申告できなくなった場合も、5年以内であれば申告可能です。
まとめ
住宅ローン控除は住宅取得促進を目的とした制度のため、金利が優遇されている傾向があります。しかし日本の金利政策が変わりつつあり、今後住宅ローン金利は上昇する可能性が高まっています。住宅ローン金利が上昇すると、住宅ローン控除の効果が薄れてしまうため購入やリフォームを検討している方は、スケジュールを前倒しにしたほうが良いでしょう。