過去最大の値上げ幅 2022年10月改定の火災保険料値上げを裏側から解説する
2022年10月に火災保険料が値上げとなります。
実は、過去7年で火災保険の値上げは今回で4度目です。値上率は過去最高の平均10.9%に及びます。
なぜ火災保険料はこんなに頻繁に値上がりしているのでしょうか?
この記事では、火災保険料の値上がりの理由や、値上げの対抗策について解説しています。
火災保険の値上げは2022年10月から
損害保険料率算出機構は、2021年6月に、火災保険の参考純率を平均10.9%引き上げることを発表しました。
同機構が発表する参考純率は、各損害保険会社から集めた契約や支払いに関するデータをもとに算出されるもので、各損害保険会社が火災保険料を決める基準になっています。
あくまでも、損害保険会社が保険料の参考にする数字なので、必ず値上がりするとは限りませんがおそらく多くの場合、2022年10月から火災保険料が値上がりをすると考えられます。
火災保険の値上げは過去7年で4回目
火災保険の値上げは過去7年で4回目。
そして、値上率は平均10.9%で過去最大になります。
【過去の火災保険の値上げ】
なぜ火災保険料は値上がりを続けるのか?
火災保険料が上昇を続けているのは、台風やゲリラ豪雨など大規模な自然災害により、支払保険金が増加しているためです。
火災保険の保険金の支払原資は、契約者から集める保険料なので、保険料を全く変更せずに、支払保険金だけが増加をすれば、損害保険会社の火災保険の収支は大幅に悪化してしまいます。
そのため損害保険会社は火災保険料を値上げする必要があるのです。
【火災保険の支払保険金】
【過去5年以内に起こった主な風水災と支払保険金額】
火災保険の改悪は、保険料だけではない
2022年10月の火災保険改定は、値上率がクローズアップされていますが、実は改悪はそれだけではありません。
2022年10月以降は、火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されます。
なぜ、火災保険の最長契約期間が短くなると改悪になるのでしょうか?
現在、最長契約期間は10年です。
10年間の火災保険契約を結び、10年分の保険料をまとめて一括で支払うと毎月払いよりも払込保険料総額は少なくて済みます。
また、契約期間中は保険会社が、支払保険金額が増えて保険料を値上げしたからといって追加で保険料を徴収することはできません。
つまり、2020年10月に10年の火災保険契約をすれば、2022年10月に保険会社が火災保険料を値上げしたとしても、値上げした保険料を反映できるのは2030年10月です。
しかし、火災保険の最長契約期間が10年から5年になると、5年分までしか保険料をまとめて支払うことができないので、10年分まとめて支払うよりも割引率は低くなります。
さらに、損害保険会社は値上げした保険料を反映しやすくなります。
つまり仮に、2023年10月にまた火災保険料が値上がりをすると仮定して、2023年1月に最長である5年契約の火災保険を契約した場合、保険会社は2028年の1月には値上げした保険料を反映できることになるのです。
したがって、火災保険の最長契約期間の短縮も、実質値上げと言われています。
火災保険料の値上げの対抗策は?
2022年の10月の火災保険料の値上げに対抗するにはどうしたら良いのでしょうか?
まず、火災保険を月払いで支払っている方は、値上げ前に10年契約の火災保険に加入をしてしまうことで、保険料が割引になるうえ、今後10年間は値上がりの影響を受けずに済みます。ただし、10年分の保険料を一括で支払わなくてはなりません。
また、火災保険の補償内容に不要な内容が含まれていないか、見直しをしてみるのも良いでしょう。
自治体のハザードマップなどを見て、自分の所有している建物所在地の水災リスクが少ないようであれば、水災による災害は補償しない(水災不担保)とすることで保険料を抑えることも出来ます。
ただし、水害は補償されなくなるなどのリスクが生じるため、補償内容の見直しは慎重に行う必要があります。
既に長期の火災保険に加入している方は、一旦解約をして、2022年10月までに10年契約に入り直す方法もありますが、長期契約の火災保険の中途解約は解約返戻金が減少してしまうため、見直しがデメリットになってしまう可能性もあります。
見直しでメリットがあるのか、必ず事前に確認をしましょう。
まとめ
2022年10月以降は、火災保険料はほとんどの場合値上がりとなります。
これは、自然災害の増加によって保険金の支払が増加していることが要因です。
また、保険料の値上がりだけではなく、火災保険の最長契約期間の短縮も改悪要素といえます。
2022年10月の火災保険料の値上げに向けた対抗策は限られていますが、改めて自分の資産を災害から守るという観点で、この機会に火災保険を注視してみてはいかがでしょうか?