2020年税制改正大綱「退職金課税」のポイントをまとめた

2021/03/18

日本の税制では、個人が様々な形で受け取る収入の大半が所得税や住民税の課税対象となっており、退職金についても当然のことながら税金が発生する所得となります。

ただし、長年にわたって企業に勤務したことで得られる退職金は、次の生活をはじめるための資金や、老後を快適にするための原資であるため、他の所得と比べると税制的な優遇措置がとられてきた所得です。

しかし、このような所得税の優遇を悪用したケースが目立つようになったことから、抜け道を塞ぐことを目的として税制改正が行われています。

2020年税制改正大綱「退職金課税」のポイントをご紹介します。

退職金とは?

退職金への課税についての情報をまとめる前に、まずは退職金とは何なのかについてまとめます。

退職金とは、企業や組織に雇用されている人々が、退職することを理由として受け取ることができるもので、企業が定めた年齢に達したことで退職する定年退職のほか、自己都合による退職や、死亡によって雇用関係が無くなったときにも発生する可能性があるものです。

退職金の金額や、支払い条件については個別の雇用契約によって定められるものですが、「退職が理由で受け取る金銭」については全て、この記事のテーマである退職金に該当するものです。

退職金に対する優遇措置

給与や投資などによる所得と比較したとき、退職金は一時的に高額な所得が発生するものの継続することがない所得であることが特徴です。

また、これまでの勤務してきた年月によって支払われる金額に差が生じるものであるため、他の所得と同じような税率で課税することには違和感があります。

そこで日本の税制では、退職金に対する課税額を大きく下げる優遇措置を設けています。

具体的には、雇用年数によって1年ごとに40万円が所得控除されます。つまり、10年間勤めた会社を退職する場合には、400万円の所得控除があります。さらに20年を超える年数については1年ごとに70万円の控除が認められます。30年間勤務した会社を退職する場合には、20年分が年40万円、10年分が70万円となり、合わせて1500万円の所得控除となります。

また、退職金から控除額を差し引いたうえで、さらに2分の1の金額が課税所得となりますので、例えば30年間勤めた会社で3000万円の退職金があった場合でも、3000万円から1500万円を差し引き、さらに2分の1を乗じますので課税所得は750万円となります。

所得税の課税額の算出は、この750万円に対して行われますので、退職金の優遇が大きいことが分かるでしょう。

退職金課税の改正ポイント

退職金という税の性格から設けられている優遇措置ですが、一部では節税や脱税のために悪用するケースが目立つようになったため、適用の条件が設けられるようになりました。

これまで5年以下の任期だった役員に対しては、上記で説明した「2分の1」のルールの適用外とするという条件がありましたが、この適用外のルールの対象が役員だけでなく従業員が含まれることになりました。

つまり、5年以下の勤務では、役員も従業員も「2分の1」の優遇の恩恵を受けられないことになります。

ただし、従業員については役員よりも少しだけ条件が緩く設定されており、さきほどの勤続年数による控除を行った後の金額が300万円を超える部分についてのみ「2分の1」ルールの適用外となります。

2020年税制改正大綱「退職金課税」のポイントまとめ

退職金の優遇措置を利用して、様々な所得を「所得税扱い」として支払うことで本来支払うべき税額を減らす企みが目立ったことで、今回の改正が行われました。

このため、長年にわたって勤務をしてきた人々が受け取る退職金については、これまでと変更点は無く、手厚い優遇措置が適用されます。

高齢化社会が本格化する日本では、老後資金として退職金が果たす役割は大きいですので、納税逃れだと指摘されない範疇で、しっかりと退職金の優遇税制を活用しましょう。

勤続5年を超えていることが全ての優遇を受けられる節目となりますので、転職などを検討されている方は、ご自身の年齢と勤務可能年数についても考慮に入れるようにしてください。

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