防災食、防災グッズ 何を買って何を準備する?
もしもの時に備えて買い揃えておこうと思っても、いったい何を準備すれば良いのか悩んでしまうのが防災食や防災グッズです。あまり大きな荷物になってもイザという時には持ち出せませんし、かといって少なすぎると心もとないものです。
また、性別や年齢、お住まいの地域によっても違いがありますので、一概にこれだけあれば万全だと言い切れないのも防災食や防災グッズの難しいところです。
そんな防災食や防災グッズについて、何を買って何を準備するべきなのかを考えるうえで大切なポイントをいくつかご紹介いたします。これを読みながら用意しておくべきだと感じたものをメモしつつ、万全の備えを整えてください。
消防庁「防災マニュアル」が推奨する4つのシート・リスト
災害の現場にいち早く駆けつける消防庁には、これまでの被災地において発生した問題への対処法がノウハウとして蓄積されています。まずは専門家の意見として、消防庁が推奨している4つのシート・リストについてご紹介します。
まず最初に挙げられるのが避難カードです。このカードは「氏名」「年齢」「住所」「性別」「血液型」などが記載されたカードで、家族全員が一枚ずつ持つことを想定したものです。このカードを身につけておくことによって、意識不明の状態になっても家族への連絡がスムーズに行われます。
次は備蓄品チェックシートです。災害復旧までの数日間を耐えることができるように「レトルト食品」「インスタントラーメン・みそ汁」「飲料水」のほか、常日頃から水を貯めておく「給水用ポリタンク」や「簡易トイレ」「ランタン」などがリストとして掲載されています。
三番目は非常用持出品チェックシートです。懐中電灯などの「避難用具」、救急箱や処方箋の控えなどの「救急用具」に加えて、「貴重品類」の項目の中に10円玉が含まれているのが特徴的です。避難所などに辿り着いたとき、公衆電話を利用するために10円玉があると便利なのだそうです。
最後は常時携行品チェックシートです。このシートに掲載されているものについては、外出先での被災を想定して日常的に持ち歩いておくことが推奨されています。最初に紹介した避難カードも、常時携行品のなかに含まれています。また、救助を求めるための「ホイッスル」もあると便利そうです。
防災食や防災グッズの準備は、3つの段階に分けて考えよう
イザというときに備える防災食や防災グッズを買い揃えるにあたっては、災害を3つの段階に分けて考えるのがおすすめです。ひとことで「災害」と言っても、想定される事柄が多すぎますので、もう少し細かく段階を分類して考えるというアイデアです。
第1の段階:安全が確保できるまで
災害が発生した直後には、まず自分や家族の安全を確保しなければなりません。大きな災害の場合には避難所まで到着することが第一優先の課題となります。
この段階では防災食については考える必要がなく、防災グッズとして「ヘルメット」や「ホイッスル」などの準備があることが重要です。また、水害が多い地域にお住まいの方は、少し大げさに感じられるかもしれませんが「ゴムボート」も防災グッズとして有効です。
避難するための余裕がある場合には、貴重品などを持ち出したいですので、やはり消防庁が推奨している非常時持出品チェックリストを用意しておくと便利です。
第2の段階:安全が確保できてから
避難所へと到着して安全が確保できた段階では、今後の災害の状況などについて情報を確保することに加えて、友人や親せきなどに生存確認と避難先の連絡を行うことが優先課題となります。
防災食としては、ひとまずお腹を満たして空腹を感じないことが重要になりますので、日持ちがして気軽に口に入れられる「乾パン」が重宝します。
防災グッズでは、大きな電力を消費せずに情報収集が可能な「携帯ラジオ」があると非常に便利です。ここ数年の避難所ではスマホを充電するための電源に人々が殺到するため、思うように充電ができずに多くの被災者がイライラした状態になります。持出可能な荷物に余裕があれば、ハンドルを回すだけで発電できる「携帯型発電機」があると非常に助かります。
イザというときにスマホに頼りすぎないことを念頭に入れれば、やはり消防庁が推奨している「10円玉」の確保はとても重要です。
第3段階:避難所生活が続く場合
災害の大きさによっては、しばらく避難所での生活が余儀なくされる場合もあります。この段階では一般的な支援物資は届いている状態ですので、個別に生活に必要なものを持っておくことが重要になります。
防災食では、インスタントラーメンや乾パンなどの偏った食生活が続くことになりますので、栄養補助食品である「サプリメント(特にビタミン)」があると便利です。また、食品ではありませんが、避難所で不安を抱えながらの生活で睡眠不足になる可能性がありますので「睡眠薬」が必要な場面もあります。
防災グッズでは、毛布などの基本的な寝具類については避難所で提供されるものを利用できますので、洗濯物を干すための「ひも類」や、睡眠を補助する「耳栓」や「アイマスク」があると、避難所での生活がラクに過ごせます。
また、お子さんがいる家庭では、日常的に遊んでいるオモチャを小さいもの結構ですから、最低でもひとつは持ち出すようにしてください。慣れない避難所での暮らしは子供にとって強いストレスとなりますので、これまでの生活で使っていたオモチャが心の支えになります。
買い揃えておくべき防災食・防災グッズのまとめ
あれこれと災害を想定しながら防災食や防災グッズを買い揃えようとすると、どうしても大きな荷物となってしまい、現実的には災害時に持ち出せないことが多いです。このため、避難所での生活が長引くことを想定しても、あまり大きな荷物になるものは防災食や防災グッズに適していません。
災害については3つの段階にわけて考え、それぞれの段階で必要なものをリストアップすることから始めてください。安全が確保できる前と後、さらには避難所での生活では、必要となる防災食や防災グッズには違いが出てきますので注意が必要です。
最終的に防災は体力勝負となってきますので、食事と睡眠には十分に配慮して防災食や防災グッズの準備をしましょう。また、地域の避難訓練に参加するなどの活動も、イザという時には非常に役立ちますので、時間に余裕があるときには積極的に参加するようにしてください。