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株式相続の注意点 知っておくべき取得費加算の特例とは

2021/04/19

親の死亡などによって資産を相続し、そのなかに株式が含まれていた場合には、相続した株式を売却したことによって得られた所得に対して、取得費加算の特例が適用されます。

取得費加算の特例は、条件次第によっては非常に大きな効果を生みますので、相続が発生する可能性のある方は是非知っておいてください。

やや複雑な計算を伴う特例ですが、専門的な用語を使わずに分かりやすく解説します。

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「取得費の特例」との混乱に注意

株式の取得費にかかる税制上の特例には、取得費加算の特例と混乱しがちな「取得費の特例」があります。

取得費の特例とは、平成13年9月30日以前に取得した株式を、平成22年12月31日までに売却した場合に適用されるものです。

平成13年10月1日の取引終了時点の株価の80%を取得費とみなすという特例が適用されます。

この特例は、相続された株式に対しても適用されるものですが、この記事で扱っているテーマである「取得費加算の特例」とは別ものですので注意してください。

「取得費加算の特例」とは

相続によって取得した上場株式を売却した場合、売買によって生じた金額から、株式の購入代金などの取得費を差し引いて所得税などが算出されます。

取得費を分かりやすく言えば、株式の購入時の株価のことです。

つまり、相続によって取得時と売却時の名義が違う場合であっても、通常の株式投資と同じく売買差益のみが課税の対象となります。また、株式の購入にあたって発生した手数料なども差し引いて利益を計算するという点も通常の株式投資と同じです。

しかし、相続によって受け取った株式に対しては既に、相続税が課税されています。このため、相続された株式の売却によって得られた収益に対しては、納税済みの相続税の一部を差し引くことが正しい税のバランスであると考えられています。

このような考えから生まれたのが、取得費加算の特例です。

取得費加算の特例の計算方法

相続した株式の売却益の計算時に取得費として加算することができる相続税の金額は、相続した全ての資産のうち、売却した株式が占める割合で計算されます。

つまり、「売却した株式の資産評価額」を「全ての相続資産の課税金額」で割った数字に、納税した相続税額をかけて算出された金額を、取得費として加算することができます。

「取得費加算の特例」の注意点

相続税の節税効果が高い取得費加算の特例には、3つの条件が設定されていますので注意が必要です。

まず、そもそもの話になりますが、売却する株式が相続によって取得されたものであることが第一の条件です。生前贈与された株式については特例の対象外です。

次に、相続が開始された日から3年10カ月以内に売却された株式のみが特例の対象となります。相続によって受け取ったあとも株式を保持し続けることで期間を過ぎてしまった場合には、特例を受けることができません。

また、相続を受ける遺族の話し合いが順調に進まず、3年10か月以上の月日が経過してしまった場合にも、特例が受けられない状態となります。

さらに、この特例が設けられている理由が、納税済みの相続税との二重課税の状態を回避することにありますので、相続税が発生していない場合には計算式が成立しませんので、特例を受けることができません。

株式相続の取得費加算の特例まとめ

相続された株式の売却にかかる所得税を抑える効果がある取得費加算の特例について注意点をまとめてご紹介しました。

この取得費加算の特例は、株式だけでなく不動産にも適用されるもので、計算式についても概ね同じようになります。

特例を上手く活用するためのポイントとしては、相続した全ての資産に占める割合が大きい株式から優先して売却することや、売買差益が大きな株式から優先して売却することなどが挙げられます。

3年10カ月以内という条件付きの特例であることを十分に意識して、上手く特例を活用していきしょう。

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