純資産額でみる投資信託善し悪しのポイントとは?
投資信託を選ぶ場合、投資対象(債券、株式など)、地域(国内、海外など)、投資方法(アクティブ、インデックスなど)などに注目するのはもちろんですが、「純資産額」も重要な判断要素になります。
投資信託を選ぶ基準として純資産額を見ることにどのような意味があるのでしょうか。
純資産額とは?
純資産額は、投資信託の規模を表すものです。純資産額は、純粋に運用することができる資金となることから、投資信託を選ぶ際の1つの基準として利用されています。
投資信託は、投資家から集められたお金を株式や債券などに投資してその運用を行いますが、その金融資産の時価は日々刻々変動します。したがって、純資産額も日々変動します。
また、金融資産からは、利息や配当などの収益も発生します。一方で、投資信託を運用するためには運用コストがかかります。そのため、「純資産額」は、金融資産の時価に利息や配当の収益を加え、運用コストを差し引いて計算されます。
純資産額をみる必要性
投資信託を購入する場合、①運用成績、②運用コスト、③残りの運用期間、④ファンドマネージャーなどをみると思いますが、それに加えて「純資産額」をみる必要があります。
なぜ、純資産額をみるかというと、投資の規模を把握する必要があるからです。投資の規模が大きければ安定的に運用できます。
純資産額が多ければ、いろいろな金融資産に投資する自由度が高まりますが、純資産額が少なければ、分散投資したくとも分散投資できないからです。
また、経費率を下げられることや銘柄の入替えをしやすいなどのメリットもあります。
ただ、純資産額の規模が大きければ大きい程良い投資信託なのかというとそういう訳ではありません。純資産額の規模が大きすぎると運用が把握しづらくなるというデメリットがあるからです。
個人で例えるなら、10万円を自由に使って良いと言われれば、いろいろ考えられますが、10億円を自由に使って良いと言われても何に使って良いかイメージが持てないということです。
そのため、純資産額の規模が大きくなりすぎた場合には、購入が制限されることもあります。
純資産額がどれ位あればよいかについて、特に基準はありません。ただ、一般的に純資産額は30億円以上必要と言われています。これは、信託報酬が1%と仮定した場合、信託報酬は3,000万円になるので、これ以下だと運用を継続することが難しくなると考えられているからです。
赤字では運用を継続することができないので、最悪の場合、途中で運用が中止される「繰り上げ償還」となってしまう可能性があります。
純資産額でみる投資信託善し悪しのポイント
純資産額の規模が小さくても大きすぎても良くないことがわかったところで、投資信託の善し悪しをどのように判断するかですが、基準価格との関係で見るとわかりやすいと思います。
投資信託の価格を表す「基準価格」は、純資産額を口数で割ったものですが、基準価格だけでは規模が減少したことには気づきません。
たとえば、運用が横ばいの状態で解約が増えると純資産額と口数が同時に減るので、基準価格は変わらないからです。
基準価格だけを見ていると、知らないうちに規模が小さくなっていて運用が行き詰まるということがあるので、基準価格と共に純資産額をみることが必要です。
投資信託を購入する場合には、基準価格が下がっているから買い時と判断するのではなく、純資産額が減っていないかについても確認する必要があります。
純資産額がどれ位あればよいかについて、特に基準はありませんが、純資産額が100億円以上あるものを選んでおけば間違いないでしょう。
まとめ
今回は、投資信託における純資産額について解説してきました。
投資信託というと「基準価格」ばかりが注目されがちですが、「純資産額」も重要な基準になるので、投資信託を購入する際はもちろん、購入後についても注意を払うようにしてください。