債券投資を投資信託で始めるメリットやおすすめの選び方
株式市場の活況が続く中、改めて注目が集まる債券投資。
債券投資に興味はあるものの、どのような方法で投資をすればいいのか分からないという方が投資信託を通じて行うケースは非常に多いかと思います。
本稿ではそのような方に債券投資を投資信託で始めるメリットやおすすめの選び方などをわかりやすく解説させて頂きます。
債券投資とは?
債券投資とは、投資家が発行体である企業に資金を貸し付けする代わりに、金利を得るという投資行動のことを言います。
その特徴については、1.固定金利で利息を受け取ることが出来る 2.期間(満期)の定めがある 3.満期までに売却をすると価格が変動する という部分があげられます。
また、企業や債券ごとに格付けという信用力の目安となるような指標が付与されており、格付けが高ければ高いほど信用力が高い発行体であり、低いほど信用力が低い発行体となり、当然のことながら信用力が低い発行体の債券ほど得られる利回りのメリットは大きくなります。
債券投資は投資信託がおすすめの理由
ここからは債券投資を行う際に投資信託を活用していくメリットを説明していきたいと思いますが、そもそもの投資信託の仕組みについても簡単に触れていきます。
投資信託の特徴は 1.小額から投資が可能 2.幅広い銘柄に分散投資が可能 というようなものがあげられます。
この2点の特徴が債券投資を行う上で重要になってきます。
まずは、分散投資という視点でお伝えします。
債券というのは投資対象が世界中の発行体から選択が可能な為、幅広い選択肢から購入をすることが可能です。
ただ一方で、一つの発行体に投資をするという形をとる為、その企業の倒産リスク(信用リスク)というものをダイレクトに負うことになります。
前述した格付けが低い発行体になればなるほど、利回りのメリットは大きいものの、この部分のリスクは非常に高くなります。
そこで分散投資という考え方が出てきます。
一つの発行体に投資した際の信用リスクを、投資信託を通じて幅広い銘柄に分散投資することにより軽減することが出来る為、この部分のリスクを特に抑制したという方にとっては適した投資行動といえそうです。
また、種類にはよるものの債券投資を行う際はある程度の資金が必要になるケースも多いですが、少額から投資可能な投資信託を活用することによって、投資初心者の方にとってはトライアル的な要素で行うこともできます。
投資信託(債券ファンド)の選び方
・債券ファンドの種類
ひとえに債券ファンドいっても様々な種類が存在します。
国内債券を投資対象としたものから、海外債券を投資対象にしたものまでまちまちです。
当然のことながら、投資対象が変わることによって、投資家が負うリスクもかなり変わることとなります。
海外債券などであれば、通貨が米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国通貨を投資対象とする為、投資通貨ごとの為替リスクが発生します。
また最近では、トルコリラやブラジルレアルなどに代表される新興国通貨への投資も流行しており、金利(利回り)が高い分、為替の変動リスクも大きくなるという点にも注意が必要です。
また債券単体での投資との違いでいえば、満期の定めがないという点になります。
個別債券での投資であれば、投資通貨の元本は発行体側で大きな問題が生じない限りは、満期を迎えることで確保されるという形になりますが、投資信託を通じて買い付けを行う場合には、満期が存在しないケースが多く、あくまでも投資している債券の価格変動によって成績が直結するという形になります。
また最近では劣後債などに代表される「ハイブリッド債券」などが注目されています。
一般社債と比べて、発行体破綻時の弁済順位が劣後するという一方で、その分得られる利回りメリットが大きくなる為、全世界的に金利が低下している環境下にあって、有力な投資先として検討している方も多いことかと思います。
ただ利回り面でのメリットはあるものの、こういったハイブリッド債券を投資対象にした投資信託については価格変動のリスクもその分負うこととなりますので、この点も注意が必要といえそうです。
・運用手法の違い
次に運用手法の違いについて解説します。
特定の指数に成績が連動する「インデックス運用」や指数を上回る運用成果を目指す「アクティブ運用」などの違いもおさえておく必要があります。
特にアクティブファンドに関しては、インデックスファンドと比較してコストがかかるということもあり、コストに見合った付加価(成績)があるかどうかなどは過去の実績などをしっかりと確認しておく必要があります。
具体的な話でいくと、昨今の低金利下ということもあり、投資信託での運用に組み込まれている債券のトータル利回りが運用に関わる手数料と比べてほとんど変わらなくなってしまっている投資信託も存在することから、やみくもに選んでしまわないことが特に大事になります。
投資信託(債券ファンド)にはリスクもある?
次にリスクという側面で説明をしていきます。
投資信託を活用することで様々な発行体の債券に分散投資出来ていたとしてもリスクは様々に存在します。
上記にあげた信用リスクや為替リスクに加え、債券そのものの価格変動リスクについても注意が必要です。
◆投資信託を通じた債券投資の主なリスク
・発行体リスク(信用リスク)
上記にも説明しましたが債券投資における最大のリスクといえます。
一つの発行体ではなく、複数の発行体に分散投資をしているため、単体の債券投資と比べて、この部分のリスクは軽減はされておりますが、不況時などはデフォルト(経営破綻等)する企業が増える傾向にあるため、一定の警戒は必要といえそうです。
・為替リスク
こちらも前述したとおりになりますが、特に新興国通貨などを投資対象にしている場合は大きな価格変動リスクを負うという点は特に注意が必要です。
利回りが大きい分、為替リスクも大きくなるという認識をしっかりと持って投資を検討されるのがよいかと思います。
・価格変動リスク
このリスクが債券投資を投資信託で行う最大のリスクといえそうです。
前述したように、投資している債券の価格変動がそのまま成績に反映される為、一般的には金利上昇時などの局面では債券価格が下落しやすいという点などを、十分に理解しておくことが重要です。
・その他リスク
他には劣後債や転換社債など、債券には様々な種類があるため、種類によっては様々な条項がついていたりするケースがあります。
投資信託の目論見書などを十分にチェックして備えるのがよいかと思います。
上記のように債券投資はシンプルに見えて様々なリスク(注意点)が存在します。
投資初心者の方や相談する専門家がいない方は、投資信託を通じて運用をすることで大きなリスクを負うことを回避することが出来ます。
最後に
本稿では投資信託を活用して、債券投資を行うメリットを中心に説明させていただきました。
一概に債券投資といっても、様々な種類の商品があり、その特徴は多岐にわたります。
投資信託を活用することによって、少額から投資可能で幅広い銘柄に投資をすることが出来る為、相談する専門家がいない方やこれから投資を始める方などにとっては非常に相性の良い投資法といえそうです。
一方で投資信託を活用することにより、一定のコストが発生することもあり、債券から得られる利回りを直接的に享受したいという方は専門家に相談するのがおすすめです。