2021年の最強テーマ 「コロナワクチン」関連銘柄を徹底分析
オリンピックの延期や、国際間移動の激減など、年始には予想だにしなかった年となった2020年のコロナウィルス感染拡大は、2021年も引き続き、人々の最大の関心事となりそうです。
各国の政府や人々は、経済と安全という二択を迫られ、どちらも軽視できないという事情から迷走を続ける結果となっています。
このようなコロナ騒動に終止符を打つことが期待されるのが、コロナウィルスへの感染を予防するためのコロナワクチンの登場です。
世界各国で進行しているコロナワクチンの動向を確認しながら、関連銘柄を徹底分析します。
コロナワクチン開発の道のり
体内に侵入するウィルスの活動を阻害するワクチンには、コロナウィルスなどの対象への効果に加えて、人体への副作用の抑制も求められます。
このため、コロナワクチンに限らず一般的なワクチンの開発から実用化までの道のりは長く、一般的には5年ほどの歳月をかけた研究や臨床試験を経てから、政府への申請と承認が行われます。
試験のフェーズには第1段階から第3段階まであり、各段階をクリアすることによって実用化に至ります。
しかし、コロナウィルス向けのワクチンについては、世界的な医療崩壊や死亡者の増加などの感染拡大が進行中であることから、一部例外的な措置を採る政府によって承認手続きが急ピッチで行われています。
ワクチン実用化でリードする「ファイザー」
アメリカでは大統領選挙をはさんだ数か月間のうちに感染者数が計1300万人を超えるなか、待望のコロナワクチンを「ファイザー」が完成させ、世界でいち早くワクチン接種が開始されました。
ワクチン開発競争では後続のモデルナよりも1週間ほど早く、米食品医薬品局(FDA)への申請を行い、ワクチン使用の承認を受けています。
ファイザーは1849年創業のアメリカの製薬会社で、現在はニューヨーク証券取引所とロンドン証券取引所に上場しています。
ファイザーの株価は、ワクチン開発への期待が高まり始めた11月初旬から上昇しており、他社の動向にも影響を受けますが2020年もコロナワクチン関連銘柄としては最も注目される存在です。
ファイザーとの共同開発「ビオンテック」
世界に先駆けて予防接種が始まったファイザーのコロナワクチンは、ドイツ企業のビオンテックとの共同開発によるものです。
ビオンテックは、ナスダックに上場している医療系ベンチャー企業で、創業者がトルコ系移民の夫婦であることも、ドイツ国内では話題となっています。
サヒン氏とエズレム女史の夫婦が共同経営者となっているビオンテックは、コロナウィルス向けのワクチン開発に成功とのニュースによって株価が急騰しています。
ビオンテックは2008年創業の歴史が浅い企業ですが、170年の歴史を有するファイザーとの共同によるワクチン開発に成功したことで、今後の成長や活躍が期待されます。
日本のワクチン開発でリード「アンジェス」
アメリカの政府と民間による動きには遅れをとっているものの、日本国内においてもコロナワクチンの開発に向けた動きは進んでいます。
大阪に本社を置く遺伝子系バイオテック企業のアンジェスは、大手製薬メーカーなどに先駆けて開発から臨床試験の第2フェーズへといち早く段階を進めており、2020年12月の段階では最も実用化に近い位置にいます。
大阪大学を起源とする創薬ベンチャーであるアンジェスは、創業から3年後の2002年に東証マザーズに上場しており、遺伝子分野の研究やワクチン開発に強みを持っています。
ビオンテックのように大手製薬メーカーとの共同開発という方針をとらず、独自でコロナワクチンの実用化まで辿り着くことができるのかどうかに注目が集まります。
コロナワクチン関連銘柄を徹底分析
全世界がコロナウィルスによる大きな影響を受けた2020年の師走、年内の実用化は難しいと思われたコロナワクチンの承認がアメリカで実現しました。
イギリスのアストラゼネカ、中国のシノファーム、フランスのサノフィなどの製薬大手が臨床試験で苦戦するなか、米ファイザーと独ビオンテックが最初の承認を受けた形です。
ただし、実際のコロナワクチンの有用性については懐疑的な見方をする専門家も多いため、2021年は先行したファイザーやモデルナのワクチンの評判や効果と、後続のメーカー各社の開発状況の両面に注目しておく必要があるでしょう。