投信積立で一番やってはいけないこと
iDeCo(イデコ)や401k、2018年から始まる積立NISAなど、投資信託を活用した積立投資が注目を集めています。相場が良い時も悪い時も毎月コツコツ一定金額を株式等で運用する投資信託に投資し続ける投信積立は、長期的に行うことで有効な資産形成の手段になります。
iDeCoやNISA等はあくまでも非課税等の「制度」の話であり、長期的に行う投信積立のメリットは以前から本や新聞などでも紹介されていました。実際に投信積立を実行した人は大勢います。しかし、うまく成果が出ない人が多くいるのも事実です。株式系の投資信託などよく本で紹介されている投資信託で積立をやっているのにうまくいかない人は「やってはいけないこと」を行っています。
それは「途中でやめてしまう」です。
毎月5万円ずつ投信積立を行っている場合、相場が下落し投資対象の価格が下がった時は5万円で買える量が増えます。この下落があるからこそ、量を積み上げることができ、後に成果がでるのですが、相場が下がった時は「悪いニュース」が多く出て、投資家心理としては怖くなります。そして途中で止めてしまう人が多いのです。
「積立投資信託の平均保有期間」はたった2年という調査結果もあります。投信積立を行っている人は長期で行うことが良いと勉強していて、頭では分かっているはずです。しかし悪いニュースなどを見ていると止めてしまうのです。
ではどうすれば長期積立を実行できるのでしょうか。
それはまず、投資の世界では「人は合理的な行動をしようとしながら、実際は非合理的な行動をしてしまう」という行動ファイナンスの考えを良く理解することです。
アメリカのファイナンシャルアドバイザーの重要な仕事の1つは、“顧客が途中で積立を止めてしまうことをお止めすること”だと言われています。
例えば、下記のチャートはある投資信託を2006年末~2016年末まで10年間、毎月10万円ずつコツコツ積立を行った場合のシミュレーションです。
1200万円の投資額が2008万円になっています。2012年まで相場が悪く株価は低迷していましたが、株価が下がっている時は量をいっぱい買えるので長期積立を行うには非常に重要な時期でした。しかし、その時の評価損益はマイナスでした。リーマンショックやギリシャショックなど投資家が不安になるニュースが続きました。そんな中、2007年から2012年までずっと含み損が続くと途中で止めてしまうのです。しかしずっと継続した人はその後大きなリターンに変わります。
株価が下がっている時は売るより、買った方が良いのですが、実際は下がった時に売ったり積立を止めたり「非合理的な行動」をとってしまいます。
ではどうすれば良いのでしょうか。
「株価が下がった時は評価金額を見ない」
「10年以上積立は絶対止めない」
など相場が下がった時に何もしないルールを、相場が下がっていない時にしっかり決めておくことです。
いざという時「非合理的な行動」をとってしまわないよう、普段からこのことを体に沁みこむくらい意識することが、積立投信で成功するための重要なポイントです。
【ご参考】
月間10万円2006年末~2016年末まで積立投資を行った一例
(出所:キャピタル・グループ)