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ご相談内容
お客様からいただいたご相談内容
株式は長期で保有し続けて良いのでしょうか。途中で売買をした方が良いのでしょうか?
世界の株式に分散するのであれば、長期継続保有を行うことの重要性は高いです。
「株式は長期保有」が正しい「三つの根拠」
株式投資を勉強しようと書店に本を探しに行くと、「正しい利益確定のやり方」「相場の読み方」「株式投資に役立つ経済ニュースの読み方」などの本があふれています。
日々の株価は大きく変動しており、うまくその変動を捉えることができれば、大きく儲かりそうに見えるかもしれません。また、株価は政府高官の発言、経済ニュースなどに大きく反応するため、その背景や理屈を理解することが重要に感じるでしょう。だからこそ、多くの個人投資家は本を手に取り一生懸命勉強しようとします。
また、個人投資家の中には特定株式の取引(頻繁な売買)で実際に大儲けするケースもあり、「カリスマ投資家」としてメディアを賑わすこともあります。彼らの「成功体験」が、株式投資のバイブル的扱いを受けることもあると思います。カリスマ投資家の裏で大勢の大失敗した投資家がいるはずですが、彼らの「失敗体験」が書店に並ぶケースは稀です。
このような事例を数多く見ると、多くの個人投資家にとって株式投資とは、「上手な売り買いを行うこと」に見えるでしょう。日々の価格変動も大きいため、場合によっては「博打と同じ」と感じる方もいるはずです。
ただ、これらはいずれも誤解です。長期の資産形成のためには、株式への長期分散投資が有効であると考えています。これには3つの背景があります。
①株式の短期売買はギャンブル性が高い
日々の株価変動で「さや抜き」を狙う個人投資家が多いのは事実ですが、長期で継続して稼ぐのは非常に難しく、ほとんどのケースは失敗に終わると思います。なぜなら、株式リターンを日次で計測した場合、上昇する日、下落する日の割合は概ね半々程度だからです。株式市場における日計り売買はほとんど丁半博打と言えます。
②株式のリターンが魅力的に見えてくるのは年単位から
世界の株式時価総額の約半分を占める米国株式市場の過去を振り返ります。
1960年~2017年の57年間の年次リターンを観察すると、年間ベースでプラスになった年は42回、勝率74%です。57年前に100ドルを投資していれば、2017年末には4600ドルを超えており、元本は46倍以上に増えています。
年率リターンに換算するとプラス6.8%で、株式市場は投資家に良好なリターンを提供してきました。もちろん、投資家はタダでこのリターンを手に入れたわけではありません。
全期間平均の年率リターンはプラス6.8%ですが、単年で一番上昇した年はプラス34%、一番下落した年はマイナス39%と幅広く散らばっており、過去において単年でリターンがぴったりプラス6.8%だったことは一度もありません。平均リターンが年率6.8%だっただけで、単年では大きな上昇と下落を繰り返してきました。投資家は57年間、非常に大きな価格変動に耐える必要があり、2桁以上のマイナスも10回記録しています。しかも、その内の2回はマイナス30%前後という大きな下落でした。
年率プラス6.8%のリターンは、この振れ幅に耐えた代償とも言えます。金融市場にタダで手に入るリターンはないのです。
③株式リターンの源泉
過去57年間の株式リターンは年率6.8%という話をしましたが、なぜ株式市場は投資家にこのようなリターンを提供することができたのでしょうか。
実はこの間、企業の稼ぐ利益も年率6.6%伸びていたのです。57年間の期間では、投資家は非常に楽観的になったり(ITバブルなど)、非常に悲観的になったりする瞬間もあり(リーマンショックなど)、株価と企業収益は一見無関係に見えるかもしれません。
ただし、行きすぎた悲観や楽観は修正されることが多く、長期では概ね相殺されます。結果として投資家の手元に残ったのは、企業の利益成長でした。
「なぜ企業の利益は長期で成長するのか?」というのはよく聞かれるポイントですが、その理由は、「人間の欲」と「企業間の競争」だと思います。少しでも良い生活をしたい、少しでも楽しみたいといった「人間の欲」は経済成長を促すドライバーです。世界経済はそうやって日々成長しています。東南アジア諸国など、現在勢いのある新興国を旅してみればすぐ感じることができるでしょう。
また、経済成長は企業の売上を伸ばす一方、企業活動も経済を成長させます。企業は一旦競争力を失うと、人材や資金の獲得ができなくなり、必ず行き詰まります。それを避けるためには、企業はコストを下げ、品質を改善し、工夫の効いた商品を市場に提供し続ける必要があるのです。
結果として企業活動は付加価値を生み、消費者を豊かにし、経済成長を促す糧になります。現在の私たちの生活では、コンビニ、スマホ等は不可欠なサービスですが、すべて民間企業が激しい競争の中から生み出したものなのです。
このように、株式投資に係る3つの背景をきちんと理解してから、長期継続投資を進めていきましょう。何事も知識はあるに越したことはないのですが、自分で一から勉強してすべてを学ぶのは膨大な時間を要します。まずは株式投資の勘所だけを押さえて、あなたも明日から株式の長期投資家の一員になりましょう。
- 須田 知樹 (Tomoki Suda)
- ファイナンシャルアドバイザー